全国のミニストップが店内製造を中止
コンビニチェーン「ミニストップ」が、これまで約30年にわたって続けていた店内製造販売を全店で中止することが明らかになりました。全国におよそ1,400店舗ある同チェーンは、「できたて」のホットスナックやソフトクリームなど、店内で手作業により製造される商品の提供で知られてきました。特に、Xポテトやソフトクリームといった人気商品は、その鮮度と品質が多くのファンに支持されてきました。
中止の背景:人手不足と効率化
今回の決断の背景には、深刻な人手不足と、店舗運営業務の効率化が挙げられています。ミニストップを運営するイオングループは、店舗従業員の負担軽減と業務の標準化を図るため、中央工場方式への移行を決定しました。これにより、商品は本部で一括製造され、各店舗には配送・提供のみが求められる形になります。
ユーザー目線での変化
今回の変更により、ミニストップユーザーにとっては以下のような変化が想定されます:
- 商品の提供時間の短縮
- 製品の品質・味のばらつき縮小
- “できたて感”の消失による体験価値の低下
とくにホットスナック類やソフトクリームにおいては、店内製造のライブ感が魅力のひとつであっただけに、「工場製造品」に変わることで顧客満足度にどのような影響が出るかが注目されています。
業界全体で進む“脱・人手依存”の流れ
ミニストップの動きは、コンビニ業界全体が直面している課題を象徴するものとも言えます。労働力の確保が難しくなる中、各社はデジタル化、セントラルキッチン方式、無人レジの導入など、さまざまな方法で「脱・人手依存型」運営へと舵を切っています。
例えば、セブンイレブンは一部商品においてAIによる需要予測と自動発注システムを導入しており、ファミリーマートも店舗省人化に向けて積極的に設備投資をしています。
ブランドの“強み”が試される時代へ
今後、顧客がどのコンビニを選ぶかは単純な「利便性」だけでなく、ブランドとして何を提供できるかにかかってくるでしょう。ミニストップは、今回の動きの中で「品質を維持したまま、手軽に美味しい商品を提供する」という新たな方向性を打ち出す必要があります。消費者に“代わりのない体験”を提供できるかが、これからの課題となるでしょう。
私たちが注目すべき点
・労働環境改善と顧客満足度のバランスの取り方
・コンビニ製品の未来:AI化・自動化との共存
・提供体験からプロダクト品質への価値移行
日常に溶け込む存在であるコンビニエンスストアがどう変わるのか。その進化の過程に注目するとともに、私たち消費者も「選ぶ目」を持って接していく時代に突入しています。