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SNS偽情報、投票影響を「心配」する声が84%に──私たちが直面する新たな課題
近年、私たちの暮らしにおいてSNS（ソーシャル・ネットワーキング・サービス）は欠かせない存在となっています。情報収集、友人・家族との連絡、趣味やニュースの共有など、多くの場面でSNSは活躍しています。しかし、その便利さの反面、正しい情報と偽りの情報が容易に混在するリスクが指摘されています。特に、選挙に関連する情報がSNS上で拡散されることによって、有権者の判断に影響を与える可能性について、今、大きな懸念が広がっています。
総務省が行った最新の調査によると、「SNS上の偽情報や誤情報が投票行動に影響を与えることを心配している」と回答した人の割合は、なんと全体の84%に達しました。この結果は、SNSの情報が私たちの日常生活に浸透している一方で、情報の信頼性に対する不安もまた広がっていることを示しています。
SNSで増える偽情報とその影響
SNSは誰もが手軽に情報を発信できる利点を持っています。しかし、その性質ゆえに、根拠のない噂や意図的に誤った内容を広める行為も後を絶ちません。特に選挙期間中は、特定の候補者や政党に対して有利または不利となる情報が次から次へと流れることがあり、受け取る側としては真偽を見極めることがますます難しくなっています。
調査によれば、誤った情報を見聞きした経験があるという人も少なくありません。具体的には、「SNS上で選挙に関する明らかな偽情報を見たことがある」と答えた人は約26%にのぼりました。この数字は、無視できない規模で偽情報が広まっている現状を物語っています。
なぜ偽情報が影響を持つのか
私たちは日々、膨大な情報に触れています。その中には即断即決を求められる場面も少なくありません。「短い動画」や「一目でわかる画像」といった形式で流れてくる情報は、必ずしも深く考える時間を与えてくれるものではありません。こうした状況が、情報の真偽を精査する前に信じてしまうという事態を生みやすくしているのです。
また、SNSでは自分と似た考えの人同士がつながりやすいため、同じような意見や情報だけが自分の周りに溢れる「フィルターバブル」という現象も起こりがちです。これによって、異なる視点や事実に触れる機会が減り、自分の信じたい情報だけを受け入れてしまうリスクも高まります。
偽情報対策は進んでいるのか
総務省は、SNS上の偽情報対策を進めるため、プラットフォーム事業者に対して自主的な取り組みを求めてきました。各SNS企業も、偽情報や誤情報を減らすための施策を打ち出しています。例えば、特定の投稿にファクトチェック（事実確認）を施したり、虚偽情報に関する警告を表示する機能を導入したりする取り組みが行われています。
しかし、こうした施策にも限界があります。情報の真偽を判断するには時間とリソースが必要ですし、利用者一人ひとりの行動に依存する部分も大きいからです。実際、調査では「SNSプラットフォーマーや政府機関による偽情報対策に期待している」と答えた人は多かったものの、一方で「完全な対策は難しい」と感じている人も少なくないという結果になりました。
私たちができること
このような現状を踏まえると、やはり私たち一人ひとりが「情報を正しく見極める力」を養うことが不可欠です。具体的には、以下のようなアクションが有効でしょう。
1. 情報の出どころを確認する
投稿された情報が、きちんとしたニュースソースに基づいているのか、不明な個人発信なのかをチェックすることが大切です。
2. 一つの情報だけを鵜呑みにしない
異なるニュースメディアや情報源を比較することで、より正確な理解につながります。
3. ファクトチェックサイトを活用する
誤情報や偽情報を検証している専門のサイトを参考にすることで、情報の真偽をより客観的に判断することができます。
4. 冷静な対応を心がける
仮に衝撃的な内容や感情を揺さぶる情報に触れた場合でも、すぐにシェアするのではなく、一度冷静になって情報の正確性を見極めましょう。
私たちの「一票」を守るために
選挙は、私たち一人ひとりの意志を社会に反映させる貴重な機会です。しかし、偽情報によってその判断が歪められてしまっては、本来の民主主義の意義が損なわれてしまいます。だからこそ、SNS時代を生きる私たちは、情報リテラシーを高め、自分自身の判断を守る意識が求められています。
総務省の調査結果からも分かるように、多くの人がSNS上の偽情報に不安を感じています。これは言いかえれば、「よりよい未来を築きたい」と願う多くの人々の表れでもあります。情報の波に流されるのではなく、自ら考え、確かめ、行動する。その積み重ねが、私たち一人ひとりの投票行動をより確かなものにしていくでしょう。
今後も、総務省によるモニタリング体制の強化や、SNSプラットフォームの取り組みの進化が期待されます。しかし、それと同時に私たち自身が主体的に情報と向き合うことも、これまで以上に重要になってきています。
2024年は、国内外で重要な選挙が行われる年でもあります。どうか、SNSを利用する際には、情報の真偽をしっかりと見極め、周囲にもその重要性を伝えていきましょう。そして、自らの一票を誇りを持って行使できるよう、正確な情報に基づいた判断を心がけたいものです。
偽りのない情報社会を目指して──一人ひとりの意識と行動が、未来を大きく変えていきます。
