俳優・舘ひろしさん(74)が、2024年6月20日に行われたTBS系ドラマ「Believe-君にかける橋-」の最終回に合わせて行われたインタビューで、俳優業への変わらぬ愛情と、近年の心境の変化について語りました。この記事では、舘さんの輝かしいキャリアと、彼自身が語った「これから」の思いを交えながら、その魅力に迫ります。
—
「俳優業は今でも楽しい」と舘ひろし
—
舘ひろしさんが演じるキャラクターといえば、ダンディで硬派、そしてどこか哀愁を漂わせた男たち。1970年代後半にバンド「クールス」でデビューした舘さんは、その後「西部警察」(1979年~1984年)や「あぶない刑事」(1986年~)といった人気刑事ドラマシリーズで圧倒的な存在感を放ち、日本中の視聴者を虜にしてきました。
今回出演していた「Believe-君にかける橋-」では、橋づくりに情熱を注ぐ建設技師役を好演。ド直球の“正義感”を失わず、度重なる困難にも負けず挑み続ける男を演じ、舘さんはこう語ります。
「年齢に関係なく演じる楽しさは変わらない。ただ、体力的にはそろそろ潮時かなとも思う時がある」
それでもカメラの前に立つと、立ち姿、低く響くセリフ回し、心の機微を絶妙に表現する表情、どれも変わらぬ「プロフェッショナル」。その姿に、ファンはあらためて舘さんの凄みを感じたに違いありません。
—
舘ひろしという男、自由を求めて
—
愛知県名古屋市で生まれた舘さんは、学生時代にアメリカ文化に強い影響を受けます。特にバイクと音楽に傾倒し、大学時代にはローリング・ストーンズに憧れバンド活動を開始。1974年には伝説のロカビリーバンド「クールス」を結成。レザージャケットにサングラス、独特の男臭いファッションは、日本の若者たちの心をとらえ、後の「クールス・ブーム」を巻き起こしました。
同時に映像の世界にも手を伸ばし、ドラマ「西部警察」で本格俳優デビュー。当時の舘さんは、不器用ながらも「男とは、こういうものだ」と全身で表現する唯一無二の存在でした。硬派でありながら、どこかナイーブな表情も見せるその演技は、今なお多くの共演者、監督たちからも称賛されています。
—
年齢を重ねた今、舘ひろしが思うこと
—
74歳となった現在でも、舘さんはストイックな姿勢を崩していません。
「現場には遅れない、台本は頭に入れておく、衣装にも気を配る。当たり前だけど、それを続けるってことが大事だと思うんです」
彼が大切にするのは”プロ意識”。若い頃よりもむしろ「人に迷惑をかけないこと」「完璧ではないができる限りのベストを尽くすこと」の重要性を深く感じていると語ります。
最近、心に変化も出てきたそうです。かつては「自由にやりたい」という思いが強かった舘さん。しかし今は、スタッフや共演者への感謝の念が自然に湧いてくるといいます。
「年齢を重ねるごとに、現場にいるだけでありがたいって思えるようになったんだね」と、どこか穏やかな笑顔を見せました。
—
「Believe」最終回、そして未来へ
—
「Believe-君にかける橋-」の最終回では、舘さん演じる主人公たちが最後に辿り着く「信じること」の力が大きな感動を呼び、多くの視聴者から「涙が止まらなかった」「最近のドラマで一番良かった」と高い評価を得ました。
それを受け、舘さんはしみじみと語ります。
「これからの人生、俳優かどうかに限らず、誰かの期待に応えるってことをちゃんとやっていきたい。それが多分、今の自分にできる一番大事なことだと思うんです」
舘ひろしは、「孤高のスター」でありながら、歳月とともに「誰かを想う優しさ」を身にまとった、また新たな輝きを放つ存在へと進化していました。
—
人を惹きつける理由は、変わらない「覚悟」
—
どんな時代にあっても、舘ひろしが持ち続けてきたもの、それは「覚悟」です。バンド活動にせよ、俳優業にせよ、中途半端な気持ちではなく、命を削るようにして向き合ってきたからこそ、多くの人の心を打ってきました。
「かっこいい」と簡単に口にできるものではなく、彼の背後にある努力、葛藤、覚悟のすべてが、”真実のかっこよさ”を形作っているのです。
—
これからも舘ひろしは、静かに、しかし熱く燃え続ける
—
役者として、そして一人の男として、今なお高みを目指し続ける舘ひろし。74歳を迎えた彼が、これからどんな作品と出会い、どんな表情を見せてくれるのか。その歩みから、私たちはこれからも「生きる力」をもらい続けることでしょう。