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「猛暑の夏、子どもはもっと暑い!?“こども気温”から考える熱中症対策と大人の責任」

近年、日本でも夏の暑さが厳しさを増す中で、熱中症や体調不良のリスクがますます高まっています。このような中で注目されているのが、「こども気温」と呼ばれる考え方です。これは、子どもたちが感じる暑さが大人よりも高く、実際には大人が感じる気温より最大で7度も高くなる場合があるというものです。この記事では、この「こども気温」とは何か、なぜそのように温度差が生じるのか、そして私たち大人がどのように注意し、対策していくべきかについて詳しく紹介します。

「こども気温」とは?子どもの目線から考える暑さ

一般的に、天気予報などで伝えられる気温は1.5メートル程度の高さ、つまり大人の胸の高さに設置された測定用の温度計で測られています。大人が感じる暑さはこの数値が基準ですが、小さな子ども、特に幼児などは身長が低く、地面から近い場所にいる時間が長いため、実際にはもっと高い気温環境にさらされています。たとえば、アスファルトの上に近い高さでは、照り返しの放射熱が直撃し、気温が大人よりも5度から7度も高くなることがあるのです。

加えて、子どもは体温調節機能が未熟で、体内の熱を上手く発散できません。そのため、自分の身体が暑さで負担を感じていることに気づきにくく、そのまま活動を続けてしまうケースも少なくありません。また、自分の体調変化を言葉で上手に大人に伝えられないなどの事情から、気づかないうちに熱中症のリスクが高まってしまうおそれがあります。

体温調整能力の違いに注意

子どもたちは、汗腺や皮膚からの汗の分泌が未熟なため、体温調節をする力が大人よりも劣っています。さらに、身体に占める水分の割合が大人よりも多いため、水分が失われる速度も早く、脱水症状にも陥りやすいのが特徴です。これらの要因が重なると、短時間で体温が上昇し、熱中症の症状が急激に進行する可能性があります。

たとえば、外で遊んでいた子どもが突然「眠い」「だるい」と訴えたり、顔色が悪くなったりした場合は、すでに熱中症の初期症状が出ている可能性もあります。こうした兆候を見逃さずに、すぐに涼しい場所へ移動する、水分と塩分の補給を行うなどの対応が必要です。

外出時や屋外活動時の工夫

では、実際にどのようなことに気をつければ「こども気温」によるリスクを軽減できるのでしょうか。以下にいくつかの注意点を挙げてみましょう。

1. アスファルトや地面の放射熱に注意
外出時には、日陰の多いルートを選ぶ、地面からの放射熱が直撃しない芝生や土の道を選ぶなどの工夫が有効です。また、ベビーカーを利用する場合、赤ちゃんの顔が日差しに直接当たらないように日除けシートを活用する、断熱素材を敷くといった対策も重要です。

2. 服装は通気性を重視
できるだけ風通しのよい、吸湿性のある素材を選ぶようにしましょう。綿素材や速乾性の機能素材などで汗を逃がしやすい服装にすることで、体温の上昇をやわらげる効果があります。

3. 小まめな水分補給と休憩を
子どもはのどが渇いたことに気づきにくいため、大人が意識的に定期的な水分補給を促す必要があります。特に外遊びや通園・通学時には、水筒などを必ず持たせ、水やスポーツドリンクなどでこまめに水分と塩分を補給するようにしましょう。

4. 暑さ指数(WBGT)を参考に
環境省や気象庁などでは、熱中症リスクを示す「暑さ指数(WBGT)」を日々発表しています。この数値は、気温、湿度、放射熱を総合して評価したもので、気温だけでは分からない「暑さの感じ方」の目安にもなります。この数値が高い日は外遊びを避ける、登園・登校時間をずらすなどの柔軟な対応も検討しましょう。

5. 家庭や学校での教育も重要
子ども自身が「暑い」「しんどい」と感じたときに、大人に伝える習慣を身につけることも大切です。また親や保育、教育現場のスタッフが「こども気温」の考え方を知っておくことで、日常の中でリスク管理がしやすくなります。

「子どもファースト」の視点で行動しよう

今年の夏も猛暑が予想されており、特に子どもたちの健康と安全を守るためには、周囲の大人の理解と準備が欠かせません。「自分が暑いと感じているから、子どもも同じくらいだろう」と考えるのではなく、「子どもはもっと暑い環境にいる」と意識することが大切です。

例えば、真夏の炎天下に保育園への送迎や公園などでの遊び、屋外イベントなどがある際には、大人の判断で活動の時間帯を調整する、中止または屋内の施設に変更するなど、柔軟に対応する姿勢が求められます。

また、高齢者と同じく、子どもも「高リスク者」として考えるべき存在です。すぐに自分で対策がとれないからこそ、周囲の大人が常に体調の変化に注意を払い、「こまめに(水分を)飲もうね」「ちょっと日陰に入ろうか」などの声かけをすることが、最も基本でありながら重要な熱中症予防となります。

まとめ:子どもの視点から夏を乗り切る

「こども気温」という考え方は、まだまだ一般には浸透していないかもしれません。しかし、その影響は決して軽視できないものです。大人以上に暑さの影響を受けやすい子どもたちのために私たちができることは、まずは「子どもの目線」で暑さをとらえ直すことです。

身長が低ければ地面からの熱を直接受ける、体温調節機能が不十分、水分保持力が弱いといった特性を考慮して、日々の生活の中での行動や判断を「子どもファースト」に切り替えていくことが、これからの猛暑の乗り越え方につながっていきます。

みなさんもぜひ、今年の夏は「こどもの気温」を意識して行動してみてください。そして、家族の中で、地域の中で、子どもたちの命を守ることを第一に、涼しく安全な毎日を過ごせるよう心がけましょう。