2024年国会議員の平均所得は2513万円に――最新の所得報告書から見る国会議員の収入事情
2024年6月28日、国会議員の2023年の所得報告書が公開されました。今回の発表によると、衆議院と参議院の国会議員の平均所得はおよそ2513万円となっており、前年より約42万円増加しています。これは、日本の一般的な会社員の平均年収(およそ450万円前後)と比べて、約5~6倍に相当します。
本記事では、この数字の意味や背景、国会議員と我々国民との所得ギャップ、議員報酬の内訳などを詳しく見ていきます。また、民主主義社会の担い手として、国会議員にどのような責任と役割が求められているのかについても考えてみましょう。
所得報告書とは?
まず、今回公表された「所得報告書」について簡単に説明します。所得報告書は、国会議員や政務三役(大臣、副大臣、政務官)などが、前年1年間に得た収入に関して記載し、毎年6月までに国会に提出することが義務付けられている書類です。これは、政治家の収入の透明性を確保し、不正や腐敗を防止するための重要な制度です。
所得の内訳は、大きく分けて議員報酬(基本給)、各種手当、政党からの支給金、講演などによる副収入、不動産収入、株式の配当金などがあります。一方で、政治活動に関わる支出や、議員会館の家賃、秘書への給与などは差し引かれていません。
2023年の国会議員の平均所得とその傾向
衆参両院合わせた国会議員の平均所得は2513万円で、2022年より42万円の増加となっています。政党別や男女別、地域別などの詳細はまだ明かされていませんが、全体として前年に比べて微増傾向にあることがわかります。
また、個別で見ると、1億円を超える所得を報告した議員も数名おり、特に自民党の重鎮や企業経営者出身の議員、資産家で知られる国会議員が高額な所得を記載しています。なかには株式配当や不動産収益が年収の大半を占めているケースもありました。
このように、議員の所得には大きな差があり、職業政治家としての収入以外にも多様な収益源を持っていることが見て取れます。
国会議員の給与制度の基本
国会議員の給与は「歳費」と呼ばれ、国家公務員(特別職)として法律によってその額が決められています。現在、国会議員の基礎的な歳費は年間約2000万円(毎月129万円の歳費に加えてボーナスが年2回支給)です。
これに加えて、文書通信交通滞在費(月額100万円)がありましたが、こちらは2022年に「調査研究広報滞在費」に改称され、使途の公開が義務付けられ、日割り支給へと変更されました。この改正は、以前から国民の間で不透明さの指摘があったため、その声を受けたものです。
また、立法事務費(毎月65万円)も支給され、これらを含めると、国会議員一人あたり年間3000万円以上の歳費や関連手当を受け取っています。
高所得に対する国民の声
今回の平均所得発表に寄せられた世論やSNS上での意見を見ると、「所得が高すぎるのでは」、「もっと国民に寄り添ってほしい」という声が多数見受けられます。
特に物価高騰や雇用不安が続くなかで、自分たちの生活と大きな乖離を感じる人も少なくありません。年金支給額や最低賃金が議論される中、国会議員の収入が大きく取り上げられるのは、ごく自然なことともいえます。
一方で「仕事量や責任を考えれば妥当」、「優秀な人材を政治の世界に呼び込むためには一定の報酬は必要」とする意見もあり、社会全体の信頼を前提にした報酬体系であることは多くの人が理解しているようです。
政治家の所得公開とその意義
このように国会議員の所得が公開される制度は、民主主義国家にとって非常に重要です。政治家の私的な収入が不正に政治に影響を及ぼすリスクを最小限にするためには、広く国民に情報が開示されることが欠かせません。
また、有権者が適切な判断を下す材料として政治家の信頼性を測る指標にもなり得ます。選挙を通じてリーダーを選ぶ社会において、政治家の公私のバランスや倫理観が問われることは当然のことです。
今後に求められること
今後の課題として、より詳細な使途公開や、政治資金だけでなく私的な資産の開示範囲の見直しも求められています。2022年に始まった調査研究広報滞在費(旧・文書通信交通滞在費)の使途公開のように、説明責任を果たす姿勢が信頼回復への第一歩です。
また、今回の所得データが示すように、議員の中には巨額の資産を持つ人もいれば、地域活動費や地元支援に多くの支出を割いている人もいます。単に「高い、低い」の議論に留まらず、「なぜその収入なのか」「どのような活動に活用されているのか」を可視化し、「成果」に連動した評価ができる仕組みづくりが求められます。
おわりに:私たちにできること
政治家の所得に関心を持つことは、決して嫉妬や風評の対象とするためではなく、「公人」としての彼らを知る重要な手がかりです。それは私たち市民一人ひとりが、政治に参加し、社会の未来を形作るという視点につながります。
政治家の給与がどれだけであれ、それに見合った働き、責任、誠実さがあるかどうか。それこそが本当の評価軸であり、私たち有権者は選挙を通じてその在り方をチェックしていく権利と義務があります。
今後もこうした公開制度を注視しつつ、政治と自分の生活がつながっていることを念頭に置きながら、責任ある選択をしていきたいものです。