今季、メジャーリーグ・ニューヨーク・メッツで活躍する千賀滉大投手の成績に注目が集まっています。2023年シーズン、千賀は日本プロ野球（NPB）・福岡ソフトバンクホークスからポスティング制度を利用してMLBに移籍し、初年度からメッツのローテーションの一角として確かな存在感を発揮しました。
本記事では、特に大きな話題となった「千賀の防御率 由伸抜きリーグ首位」というトピックを中心に、彼のMLBでの活躍、注目すべき数字、そして今後の期待について紹介していきます。
■ 千賀滉大、初年度で見せた「日本のエース」の実力
2023年シーズンを通じて、千賀滉大は27試合に登板し、12勝7敗、防御率2.98という素晴らしい成績を収めました。これはナショナルリーグ（NL）全体で見ても非常に優秀な記録で、セイ・ヤング賞候補の一角に名前が挙がるほどでした。
特に防御率2.98は、アトランタ・ブレーブスのスペンサー・ストライダー（ERA3.86）、ザック・ギャレン（ERA3.47）など、他の優秀な投手たちと比較してもトップクラスで、最終的には「規定投球回に達したナ・リーグ投手中で1位」という成績。これは驚異的なことで、新人としては特筆すべき結果といえます。
これにより、「千賀の防御率 由伸抜きリーグ首位」という見出しが報道されたのです。
■ 「由伸抜き」とは何か
記事タイトルで使われている「由伸抜き」の「由伸」とは、同じく日本からメジャーに挑戦しているサンフランシスコ・ジャイアンツの左腕・山本由伸投手のことではなく、厳密には現段階（※2024年4月時点）でMLBでの登板成績が明確に現れていないことから、この記事では山本ではなく、過去の渡米選手（例えばダルビッシュ有、大谷翔平投手）などとの比較の文脈ではなく、「千賀個人の成果としての成績独走」について紹介していると考えられます。
つまり、「他にこの成績を超える者がおらず、リーグトップの防御率をマークした」というパフォーマンスに対する評価として伝えられている表現なのです。
■ 魅力的な投球スタイルと「ゴーストフォーク」の威力
千賀投手の最大の武器といえば、なんといっても「ゴーストフォーク」と呼ばれるスプリットフィンガー・ファストボールです。この魔球的な変化球は、打者の手元で急激に落ちることで知られており、MLBでも大変な驚きをもって迎えられました。
このゴーストフォークによって、千賀は多くの三振を奪うことができ、年間202奪三振と、200奪三振の大台に乗せた唯一の日本出身投手となりました。これは、メジャーの剛腕たちと肩を並べる数値で、シーズン中は「打者の目の前から突然消える！」と評された変化球にメディアもファンも大いに注目しました。
■ 不安視された制球面も克服しつつある
メジャー移籍直後、多くの解説者やメディアが懸念していたのが、千賀の「制球面」でした。日本時代から時折制球が不安定になるとされ、四球数の多さが課題と指摘されていました。
しかし、シーズンを通して千賀は着実に適応を見せ、特定の回で球数が増える傾向を持ちながらも、点を取られない状況を作ることに成功しました。被打率も.203と極めて優秀で、特にピンチの場面での精神力の強さが印象的でした。
四球は64と少し多めとはいえ、それをカバーできる奪三振力と勝負強さ、そしてランナーを出しても得点を許さない投球が光ります。特に終盤戦には、本人も「メジャーのボールにもマウンドにも慣れてきた感覚がある」と語っており、来季に向けたさらなる進化が期待されます。
■ チームの低迷を救った存在感
メッツは、シーズン前には高額年俸を誇る先発投手陣やスター選手たちを擁し多くの期待を背負っていました。しかし、シーズン途中に成績不振や故障者の続出により、主力のトレード放出など大きな方針転換を強いられる年となりました。
その中で、千賀だけが安定して先発を務め続け、孤軍奮闘の形でチームの投手陣を支えました。投手陣ではほぼ唯一ともいえる計算できる投手として、他の選手やファンからも大きな信頼を得る存在に。
まさに、成績だけでなく、精神的支柱としても千賀滉大はメッツにとって欠かすことのできない選手となったのです。
■ 今後への期待と展望
千賀は現在30歳。メジャーではまだ若手といえる年齢であり、今後さらに向上する可能性は高いです。アメリカのメディアにおいても「今後数年のメッツのエース候補」として紹介されています。今年経験した多くのアメリカ球場での登板環境や、打者の傾向を今後に活かすことができれば、防御率、奪三振、勝利数の全てにおいて更なる上積みが期待できるでしょう。
また、千賀自身は「もっとチームの勝利に貢献できるピッチングをしたい」と謙虚に語っており、勝ち星が伸び悩んだことについては来季の課題としています。自らに厳しく、高い目標を掲げる千賀滉大の今後の活躍から目が離せません。
■ 最後に：日本人メジャー投手の系譜に輝きを加える存在
これまで、野茂英雄、大谷翔平、ダルビッシュ有、田中将大ら、数々の日本人投手がメジャーで輝いてきました。そこに2023年、新たな名前として千賀滉大がその系譜に加わったことは、多くの日本人ファンにとっても誇らしい出来事です。
「千賀の防御率 由伸抜きリーグ首位」という見出しは、単なる数字の事実以上に、彼が困難を乗り越えてアメリカの地で結果を出した証でもあります。来季以降も、日本人選手の活躍が続けば、更なるMLBファンの裾野拡大や、野球人気の向上にもつながることでしょう。
前人未踏のステージでも、果敢に挑戦し続ける千賀滉大の姿は、多くの人々に勇気と希望を与えてくれます。今後も彼の一挙手一投足に注目していきたいですね。
