レアル・マドリードとともに多くの栄光を築き上げてきた“魔術師”が、ついにその歴史に幕を下ろす時がやってきたようです。2024年6月、クロアチア代表MFルカ・モドリッチ選手が今季限りでレアル・マドリードを退団する方向であることが複数のスペインメディアより報じられ、大きな話題となっています。本記事では、長年にわたってマドリディスタたちに愛されたモドリッチ選手の功績や、今後の去就、そして彼のプレーが世界中のサッカーファンにもたらした影響について振り返ります。
ルカ・モドリッチという存在
ルカ・モドリッチは1985年9月9日生まれのクロアチア人ミッドフィールダー。その圧倒的なテクニックと試合を読む力、そしてチームを前線から後方までつなぐ司令塔としてのセンスは、現代サッカーの中盤における最高の芸術と言っても過言ではありません。彼のプレースタイルは、いわゆる派手なゴールよりも、ゲームメイクやリズムの構築といった中盤での貢献に価値を見出すタイプであり、サッカーにおける”美”を理解する者にとっては至高の存在でした。
2012年にトッテナム・ホットスパーからレアル・マドリードに移籍して以来、彼はチームの中心選手として活躍。瞬く間にその技術力と戦術眼でスタメンに定着し、中盤を支えるキープレイヤーとしてクラブに数々のタイトルをもたらしました。
輝かしいマドリードでのキャリア
モドリッチがレアル・マドリードで過ごした12年間で掲げたタイトルは数知れず。ラ・リーガ優勝やコパ・デル・レイはもちろん、UEFAチャンピオンズリーグ制覇を5度経験し、その全てで中核を担ったことはサポーターの誰もが知るところでしょう。
特に2017–2018シーズンのチャンピオンズリーグでは、チームの中盤を支配し、攻守のバランスを高いレベルでキープ。大会後のロシア・ワールドカップではクロアチア代表を決勝進出へと導き、自身は大会最優秀選手に与えられるゴールデンボールを受賞。そしてその年、バロンドールを受賞し、長年リオネル・メッシとクリスティアーノ・ロナウドが独占してきたこの賞を手にするという快挙を達成しました。
これにより、彼が単なるクラブの主力であるだけではなく、時代を代表するサッカー選手の一人であることが証明されたのです。
退団報道へのファンの声
今回報じられたモドリッチの退団報道は、多くのサポーターに衝撃を与えました。彼は既に38歳という年齢でありながら、今季も限られた出場時間の中で随所にそのクオリティを見せてきました。若手中心に再編が図られるマドリードの中においても、彼の存在はベンチでも心の支えとなり、ピッチに立てば違いを生み出せるレベルにあります。
それゆえ、今回の報道によりSNS上では「ありがとうモドリッチ」「まだプレーを見たかった」といった惜別の声が多数寄せられています。長年、レアル・マドリードの10番として中盤の支配者であり続けたモドリッチの退団は、クラブの歴史に一つの節目をもたらすことでしょう。
なぜ今、退団なのか
報道によると、モドリッチは現時点で正式な移籍先を決定していないものの、中東やアメリカなどからの関心も強く、近々決断が下されると見られています。今季のモドリッチは比較的ベンチに座る機会が増え、一部の若手選手とのポジション争いにおいて徐々に主力から外れるケースもありました。しかし、その中でも「プロフェッショナリズム」と称される通り、文句を言うことなくチームの一員として尽力してきました。
また、EURO2024が目前に迫るなかで、モドリッチ本人としては代表キャリアにも一区切りを打つ覚悟を持って臨んでいるともされており、クラブと代表の両方で新たなステージへと進む準備をしているのかもしれません。
そして何より、モドリッチほどの選手であれば、自らキャリアをどのように締めくくるかを熟慮し、納得のいく形で次のステップへ進みたいと考えていることでしょう。クラブとの話し合いの中でもその意向が尊重され、今回のような形での移籍が静かに調整されていると思われます。
次の舞台はどこなのか
現在、サウジアラビアのクラブを筆頭に中東からの関心が高いとされています。また、アメリカのMLSも引退前のスター選手として大きな魅力を持つ存在としてモドリッチに注目しているようです。
サッカーのピッチでは決して派手ではないが堅実で、サポーターから信頼されるタイプのモドリッチにとって、環境が大きく異なるリーグでのプレーは新境地となるかもしれません。どのクラブを新天地に選ぶかは不明ですが、彼ならどこに行っても必ずチームに安定とクリエイティビティをもたらしてくれるはずです。
未来に向けて:モドリッチから学ぶこと
ルカ・モドリッチのプレーを見て、多くの若い選手は自分のプレースタイルを構築しました。派手なスキルや得点力以上に、チームに貢献する、試合を司る、仲間を生かすという要素がいかに重要かを、彼はこれまでのキャリアを通じて示してきました。
その姿勢は、サッカーに限らず、スポーツ全般や社会生活においても学ぶべき点が多くあります。どんな逆境にも屈せず、仲間とともに前に進む。自己犠牲をいとわず、組織の中で自分の役割をまっとうする。そんな彼の生き様そのものが多くの人々の胸を打つのです。
おわりに
永遠とも思えたルカ・モドリッチのレアル・マドリードでの日々にも、ついに別れの時がきたようです。しかし、その輝かしい足跡はクラブの歴史に深く刻まれ、ファンの記憶にいつまでも残るでしょう。
どんな舞台に行ったとしても、彼のサッカーに対する姿勢や美しいプレーは多くの人に影響を与え続けることでしょう。私たちはその軌跡を称え、新たなステージでの活躍を静かに、そして心から願いたいと思います。
ありがとう、ルカ・モドリッチ。あなたのサッカーを、私たちは決して忘れません。