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高田延彦、ゴジラ-1.0に魂震わす 「真の強さ」と再生のメッセージを語る

2024年6月14日、元プロレスラーでタレントの高田延彦(たかだ・のぶひこ)氏が映画「ゴジラ-1.0」のブルーレイ発売を記念したイベントに出演し、その発言が多くの注目を集めました。イベントでは、アメリカ・アカデミー賞視覚効果賞を受賞した本作のクオリティや、同映画が宿すメッセージに対する深い共感を語り、改めてその多才なキャリアを映し出しました。

「ゴジラ-1.0」(読み:ゴジラマイナスワン)は、2023年に公開され、従来の怪獣映画の枠を超えた「人間ドラマが際立った名作」として多くの人々の心をつかみ、その高い映像技術とストーリーテリングで、日本映画としては初めてアカデミー賞視覚効果賞を受賞するという快挙を成し遂げました。そんな作品に賛辞を贈る場に、高田氏の姿があったという事実だけでも注目に値します。

高田氏はこの日、映画への賛辞とともに「日本人の作り手たちが本気を出すと、これほど素晴らしいものができる」と熱く語りました。そして、ゴジラが象徴する“破壊への恐怖”や“人類の業(ごう)”というテーマが、現代社会にも深くつながっていることに触れると、自身が闘ってきたリングの上とも重ね合わせ、「表現するものに宿る“魂”がすべての迫力に繋がっている」と述べました。

この言葉には、スポーツ、演技、社会活動と多岐にわたる異なる分野で絶え間なく自己表現を続けてきた高田氏ならではの想いが込められています。

高田延彦氏は、1962年神奈川県横浜市生まれ。1980年に新日本プロレスに入門し、1981年にプロデビュー。1990年代にはUWFインターナショナルというプロレス団体を立ち上げ、本格的な“実戦的格闘技路線”を標榜した試合スタイルで人気を博しました。1990年代後半からは総合格闘技PRIDEの顔ともなる存在となり、ヒクソン・グレイシーとの世紀の一戦なども経て、日本の格闘技ブームを牽引しました。

引退後もそのカリスマ性と発信力を活かして、タレント、コメンテーター、社会活動家として多彩な活躍を続けています。最近では、イクメン・パパとしての姿や、いじめ撲滅活動への参加、SNSでの活発な情報発信などを通じ、人々の心に寄り添ったメッセージを送り続けています。

だからこそ、映画「ゴジラ-1.0」に感じ取った“人間ドラマ”に共鳴し、メディアの前でその内面を語る姿には、かつての闘志とはまた違う表情がありました。

イベントでは、司会者から「戦ったヒーローとして、今の日本に必要な“強さ”とは?」という質問も投げかけられました。高田氏は少し間を置いて、「本当に強い人というのは、自分が守るべきもののために闘える人。映画の主人公も決して強くないけど、心に強さを持ち、生き直そうとする…そういう姿勢こそが真のヒーローなんだと思う」と答え、映画に込められた“再生”のメッセージを自身のフィルターを通して伝えました。

また、時折見せるユーモラスな一面もイベントを盛り上げました。映画の印象的なシーンについて問われると、「いやぁ、ゴジラの迫力がすごくて思わず椅子から立ち上がりそうになりましたよ。あれ、リング上に現れたら僕でも逃げます!」と笑いながらコメントし、会場を和ませました。

しかし、その直後には「でも正直なところ、この映画を観るまではこんなに感動するとは思っていなかった」と率直に語り、「技術も演出も魂もここまで進化している。これが“日本の映画”として世界に評価されたことに、ただただ誇りに思う」としみじみと振り返りました。

「ゴジラ-1.0」は実在の島を参考にした描写や、戦後日本の人々の葛藤と社会復興をテーマにした重厚な筋立てが高く評価されており、視覚的な圧倒感だけでなく、物語的にも観る者の心を突き動かす要素に満ちています。特に、戦後という時代設定とゴジラによる破壊が“人災”とも捉えられる点で、いまの世界情勢にも通ずるテーマを孕んでいます。

高田氏の中でもこの「再生」というキーワードが強く響いたようで、「自分にもターニングポイントは何度もあった。過去の敗戦も経験もすべてが今の自分につながっている」と回顧し、「映画が誰かの背中を押すことがあるように、僕の言葉も必要とする人に届けば」と語った言葉には、現役時代と変わらぬ情熱が宿っていました。

最後に、参加者から「ゴジラのような敵が日本に現れたらどうしますか?」という質問が飛ぶと、「そりゃ逃げますよ!僕ももう還暦過ぎましたから(笑)。でも、もし大事な人がその場にいたら…きっとまた闘うと思いますよ」と笑顔で答える高田氏。その“漢(おとこ)気”に、会場には温かい拍手が響きわたりました。

プロレスラーとして闘い抜いた肉体、タレントとしての明るさ、そして一人の人間としての優しさ。高田延彦という人物が歩んだ軌跡と、彼が語るゴジラへの賛辞は、単なる映画宣伝の枠を超え、日本が誇る文化と表現の力を改めて私たちに思い出させてくれます。映画「ゴジラ-1.0」を観たことがある人も、まだ観ていない人も、高田氏の言葉を通して感じた想いとともに、今再びその“魂の咆哮”に耳を傾けてみてはいかがでしょうか。