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7歳、あきらめなかった防災士――小さな勇者が教えてくれた「夢」と「備え」の大切さ

7歳が防災士に 4回不合格でも諦めず掴んだ夢

近年、日本各地で自然災害の頻発が懸念され、防災への関心がますます高まる中、一人の少年がその情熱で多くの大人たちに勇気と希望を与えています。わずか7歳という年齢で防災士の資格を取得したのは、千葉県に住む小学校1年生の植田陽翔(うえた・はると)くん。まだランドセルを背負う年齢の彼が、なぜ防災士を目指し、4度の試験不合格にもかかわらず夢を掴むことができたのでしょうか。その背景や家族の支え、そして彼が今後見据える未来についてご紹介します。

きっかけは「西日本豪雨」のニュース

陽翔くんが防災に興味を持ったきっかけは、2018年に発生した「西日本豪雨」のニュースでした。ニュースで土砂崩れや浸水、被災者の生活の様子を見た彼は、「どうしてこんなことが起きるのか?」「困っている人たちのために、自分にも何かできないだろうか」と考えました。

幼いながらも人の役に立ちたいという思いが芽生えたことが、大きなターニングポイントでした。その気持ちが日に日に強くなり、「防災士になりたい」と家族に訴えたのです。防災士は、民間の資格でありながらも、地域での災害対応や防災啓発など、重要な役割を担う存在。そのため、筆記試験や研修など一定の知識と熱意が求められます。本来は18歳以上が対象とされていますが、受験自体には年齢制限がないため、陽翔くんの挑戦が始まりました。

4度の不合格…それでも諦めなかった理由

防災士の試験勉強は、大人でも難易度が高いと言われています。それにも関わらず、小学1年生の彼が挑んだこと自体が驚きですが、最初の4回の受験では、いずれも合格には至りませんでした。問題文の理解や漢字の読み方、専門用語の難しさなど、数々の壁が彼を待ち構えていました。

しかし、陽翔くんは決して諦めませんでした。その裏には、彼の「必ず防災士になって、誰かの力になりたい」という純粋な思いと、家族のあたたかいサポートがありました。問題文の意味がわからなくても、家族と一緒に調べ、絵や図で知識を整理するなど、彼なりの勉強法で少しずつ理解を深めていったのです。

また、家では「1日〇ページ」という小さな目標を立て、地道にコツコツと進めていきました。ゲームをする時間を減らし、図書館で防災に関する本を読むなど、真剣な姿に家族も「この子は本気だ」と確信するようになったといいます。

運命の5回目の試験、ついに夢が叶う

そんな努力がついに実を結んだのが、5回目の挑戦。2024年6月中旬、ついに防災士の資格試験に合格し、史上最年少防災士として登録されることとなりました。この快挙は、多くのメディアにも取り上げられ、彼の行動が全国の人たちに勇気と感動を与えました。

合格を知った瞬間、本人は「やったー!これでやっと防災士になれた!」と喜びを爆発させ、涙ぐむ姿に周囲も感動したといいます。支えてきた家族も、「彼の努力を見ていたからこそ、私たちも諦めることの大切さを学んだ」と語りました。

「自分の住む街を安全にしたい」—防災士としての第一歩

晴れて防災士となった陽翔くんは、今後の活動についても明確なビジョンを持っています。「自分の住んでいる街を安全にしたい」「災害についてわかりやすく教える絵本を作りたい」「同じくらいの歳の子どもたちにも防災の大切さを知ってもらいたい」と笑顔で話します。

現在は、地元の防災イベントなどに積極的に参加し、子どもたち向けに防災クイズを出したり、防災リュックの中身を展示したりする活動を始めています。「子どもが子どもに教える」という新しい形の防災教育が、陽翔くんの手によって広がり始めているのです。

社会全体に投げかけるメッセージ

陽翔くんの今回の挑戦は、私たち大人にも多くの気付きと勇気を与えてくれます。「年齢に関係なく、やりたいことを信じて努力すれば実現できる」「困難にぶつかっても諦めなければ、いつか道は開ける」という、まさに未来を担う世代からの強いメッセージではないでしょうか。

また、今後全国の教育現場や自治体でも、より子どもたちが防災を身近に感じられるような取り組みが加速していくことが期待されます。陽翔くんのような存在が、「防災」を難しいものではなく、自分たちの暮らしに直結した「大切な学び」として広めていくことが、日本全体の防災意識向上につながるのです。

おわりに

今回は、わずか7歳という年齢で防災士の資格を取得した植田陽翔くんの壮大なチャレンジについてご紹介しました。4度の不合格にもへこたれず、夢へ向かって突き進んだその姿勢は、世代を超えて多くの人の心に届いたことでしょう。

日本列島が多くの自然災害にさらされる中、防災に対する備えは「特別な誰か」だけでなく、私たち一人ひとりが主体的に関わるべき重要なテーマです。陽翔くんのような存在がいることを知るだけで、身近な防災に取り組むきっかけになるかもしれません。

今後も、彼の活動から目が離せません。そして私たちもまた、小さくてもできることから「備える力」を育んでいきたいものです。