「山本太郎が語る“庶民”のための政治──れいわ新選組、その熱き志とは?」
2024年6月、多くの国民が生活に不安を感じ、政治と距離を置いている今、その中心に再び現れた政治家がいる。かつて俳優として一世を風靡し、現在は政治の世界で“庶民の代弁者”として活動する山本太郎。その姿勢と主張に、今、多くの人々が注目を集めている。
6月12日の参院本会議にて、れいわ新選組代表の山本太郎参院議員(49)が、年金制度改革議論の中で発した言葉が新たな波紋を広げた。それは、岸田政権が推し進める年金制度の在り方に対する真っ向からの異議申し立てだった。
「将来、若者世代が年金を満足に受け取れないのではないか」
そんな不安は、今や全国の若者たち共通の疑念となっている。それを国会の壇上で、明確な言葉で指摘したのが山本太郎である。
山本は、政府が掲げる「支給水準維持」を疑問視し、「水準とは相対的なもの。現状での受給額でも、人々が生きていけていない。支給水準を維持するというのは人々を貧困の連鎖に閉じ込める意味にすぎない」と訴えた。さらに、現下の物価上昇、非正規雇用の増加──これらが将来的に年金制度をより不安定なものにすると指摘し、「政治の責任放棄」だと声を上げた。
この主張の裏には、山本太郎自身の特異な経歴と、これまでの政治姿勢がある。
山本は1974年、大阪府生まれ。高校を中退後、芸能活動を開始し、1990年代にはテレビドラマ『ロングバケーション』や映画『バトル・ロワイアル』などに出演し、人気を博した。だが、2011年の東日本大震災とその後の原発事故を契機に、彼の人生は大きく舵を切る。芸能界に背を向け、脱原発を訴える活動家として、精力的に街頭に立った。
そして2013年、参議院議員選挙に東京選挙区から無所属で立候補し、初当選。誰もが予想しなかったサプライズだった。既存の政党とも距離を置き、「命を守る政治」の実践を目指す彼は、2019年に「れいわ新選組」を立ち上げる。党名は、幕末の志士たちになぞらえたもので、「弱き者の側に立ち、力を持つ者に立ち向かう」精神を象徴する。
そのれいわ新選組は、結党当初から障害のある候補者を擁立し、「真の多様性とは何か」を国会に問い続けてきた。2022年には、衆議院への復帰も果たし、常に現場感覚を持った訴えを続けている。
2024年の国会でも、山本は引き続き一貫した姿勢を崩していない。6月の国会では、年金制度だけでなく、低所得者層の実情、生活保護の問題、労働者の権利など幅広いテーマに触れ、政府施策の具体的な矛盾を指摘した。その中でも、特に注目されたのが次のような発言だった。
「少子化、人口減少、雇用劣化、年金制度崩壊、どれもが長年放置されてきた政治の帰結にすぎない。この環境で年金制度が持続するなどと説明されても、説得力はない」
冷静かつ理路整然とした述懐の中に、山本の怒りと無力さへの挑戦が込められていた。裕福な家庭に生まれ育ったわけでもなく、政治エリートでもなく、自ら街頭に立ってきた彼にとって、この国会での一言一言こそが、信念の具体化である。
一方、この日の議論において、政府は「今後3年に1度の財政検証に基づいて支給水準を見極める」として現行制度を堅持する政策方針を説明した。だが、山本はそれだけでは十分ではないとし、「根本的な社会保障制度の再設計と、富の再分配機能の強化」が必要だと説く。
また、山本の政治スタイルとして際立っているのが、難解な経済用語を使わず、一般市民の目線と言葉で訴える点だ。支持者の間では、「太郎の話は、わかりやすい」「自分たちのために本気で怒ってくれている」といった声が後を絶たない。
彼が代表を務める「れいわ新選組」もまた、財界や既得権に縛られない自主財源と、ボランタリーな支持者の献身によって支えられている。与党・野党を問わず、選挙の度に大企業からの献金が注目される中で、れいわのような草の根政党の存在は異色といえる。
「今のままでは使い物にならない制度で、生きていけなくなる人が増えていく。それを止めるのが政治だし、それにブレーキをかけるために、自分はここにいる」
大見得を切るでもなく、怒号を飛ばすでもなく、静かに、そして確かな言葉で語られたこの言葉には、議場にいた誰もが思わず聞き入ったという。
現在、世論調査においても、若年層からの支持がじわじわと広がっている。SNSでは「#山本太郎しかいない」「#れいわに希望を」といったハッシュタグも散見され、彼が語る“社会の痛点”に共鳴する層が確実に存在していることを示している。
政治とは特権階級のものではない。貧しき者、弱き者、声を上げられない者のためにある──。
山本太郎の信条は、決して過激なポピュリズムではなく、現代日本が忘れかけている当たり前の価値観を、改めて我々に問い直すためのものかもしれない。
今、日本のどこかにいる“誰か”の生活を、一歩でも改善するために。山本太郎の戦いは、続いていく。