近年増加する葬儀に関する相談
誰しもが人生のどこかで向き合うことになる「葬儀」。悲しみに暮れる中、迅速に遺体の搬送や式場の手配などを進めなければならず、精神的・経済的な負担が大きくのしかかります。そんな中、国民生活センターには葬儀に関する相談が数多く寄せられており、相談件数は増加傾向にあります。
背景にある不安とトラブル
高齢化が進む中、小規模かつシンプルな葬儀が増える一方で、葬儀社とのトラブルも目立ってきています。たとえば「最初に提示された費用より大幅に増額された」「火葬場の予約ができていなかった」などの声があります。特に、見積もりが曖昧なことで想定外の費用が発生し、遺族の負担が増すケースが後を絶ちません。
インターネット上の脱法的広告の存在
近年ではインターネット上で「無料」「格安」といった文言を使用した派手な広告が多数見られるようになりました。なかには法令のグレーゾーンを活用し、実際には現地で高額な費用を請求するような業者も存在し、被害に遭う方も増えています。こうした広告は、一見すると信頼できるように見えるため、注意が必要です。
どうすれば安心して葬儀を行えるのか
- 複数の業者から見積もりを取る
- 口コミや実績を確認する
- 見積書に「何が含まれているか」を具体的にチェックする
- 市区町村で推奨されている葬儀社を検討する
また、自治体のサービスや消費者センターなども積極的に活用しましょう。合理的な価格でサービスを提供している公共葬儀制度や支援制度も存在します。
国民生活センターの役割と働きかけ
国民生活センターは、消費者から寄せられる相談内容を分析し、改善のための提言を行います。今回の報告では「消費者が安心して葬儀を任せられる環境の整備」や「ネット広告の内容を厳しくチェックする必要性」が指摘されています。将来の自分や家族のためにも、安心して利用できる情報の整備は急務です。
「終活」のススメと情報リテラシーの重要性
近年では「終活」という言葉も広まり、自分の最期を見据えて事前に準備をすることが推奨されています。信頼できる相手に自分の意思を託し、希望する葬儀の形や予算感を書き留めておくと、遺族の負担も軽減されます。情報に踊らされることなく、正しい知識を得る姿勢が求められています。
まとめ
葬儀は人生の最終地点であり、今を生きる私たちが考えるべき「未来の準備」です。安易に広告に頼ることなく、情報を精査し、複数の相談先を持つことで、不安とトラブルから自分や家族を守ることができます。心穏やかに最期を迎えるためにも、今からできる準備を始めましょう。
