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ローラ メルシエ、日本市場からの撤退──愛された“素肌美”ブランドの軌跡と今後

2024年4月、世界中のコスメファンに愛されてきたアメリカ発のラグジュアリーコスメブランド「ローラ メルシエ(LAURA MERCIER)」が、日本市場からの撤退を発表しました。この一報は、多くのファンに衝撃と動揺をもたらし、SNSをはじめとした各メディアでも大きな話題となっています。

長年日本で親しまれてきたローラ メルシエが、なぜ日本を離れることとなったのか。その背景や影響、そしてこれまでに日本市場で築いてきたブランドとしての軌跡などを、振り返りながら見ていきましょう。

■ ラグジュアリーとナチュラルを両立させたブランド「ローラ メルシエ」

ローラ メルシエは、フランス出身のメイクアップアーティスト、ローラ・メルシエ氏によって設立され、1996年にアメリカでブランドをスタートさせました。彼女の信念は、「素肌感を生かした、自然体の美しさを引き出すメイク」。その哲学は製品作りにも貫かれており、フローレスフェイス(Flawless Face)というコンセプトを中心に、肌本来の美しさを際立たせるベースメイクアイテムが多く展開されてきました。

特に、「ルースセッティングパウダー トランスルーセント」は、ブランドの代名詞的な存在。ナチュラルな仕上がりと崩れにくいキープ力で、多くのメイクアップアーティストや美容系インフルエンサーからも絶賛され、日本国内でも不動の人気アイテムとして長らく愛されてきました。

■ 日本での躍進と存在感

ローラ メルシエが日本に上陸したのは2000年代初頭。それから約20年をかけて、日本のビューティー市場にしっかりと根を張り、百貨店を中心に多くの実店舗を展開してきました。高品質なベースメイク製品を武器に、美意識の高い日本人女性たちに選ばれ続け、国内コスメブランドと並び称される存在感を確立していました。

百貨店コスメ売り場のなかでも洗練された雰囲気を放ち、特に20代中盤から40代の女性に根強い支持を得ていたことは、同ブランドの「上質さ」と「信頼感」の証とも言えるでしょう。

■ 日本撤退の背景

そんな人気ブランドが、なぜ日本市場から撤退するという決断を下したのでしょうか。

今回の報道によれば、2024年9月末をもってローラ メルシエの日本での全店舗を閉店する予定という発表がなされました。運営会社である資生堂傘下の日本法人「資生堂ジャパン」が展開してきたローラ メルシエですが、事業構造の見直しや市場環境の変化を踏まえ、日本市場におけるブランド展開を終了するとしています。

日本国内では、外資系高級ブランドの競争が激化しており、さらにコロナ禍以降のライフスタイルの変化とも相まって、売上が伸び悩んでいた可能性も指摘されています。また、オンライン主体への移行が急速に進む中で、リアル店舗中心の展開がコスト的な面でも見直しを迫られた背景も垣間見えます。

■ ファンの間で広がる戸惑いと悲しみの声

ローラ メルシエの撤退ニュースが報じられると、SNSでは「学生時代からずっと愛用していたブランドなのに」「パウダーが本当に優秀でこれ以上のものが見つからない」「日本で今後どうやって手に入れればいいの?」といった悲しみや不安の声が多数寄せられました。

なかでも、長年メイクの定番アイテムとして愛用してきた人たちにとって、「これだけ愛されていたのに本当に撤退するの?」というショックは小さくなく、日本撤退後のフォローや代替手段についても関心が高まっています。

■ 撤退後の対応と今後の展望

現時点で発表されている情報によると、2024年9月末までは既存店舗およびECサイトでの販売が継続されるとのこと。また、ECサイトについては今後の処遇は検討中であり、一定の期間は継続も考慮されているようです。

加えて、海外公式サイトや越境EC(海外からの購入を可能にするサービス)などを通じて、引き続きローラ メルシエ製品を手に入れる道が確保される可能性もあります。具体的な案内は今後発表されていくと予想されるため、今後の公式情報に注目が集まります。

■ これまでの感謝と共に

ローラ メルシエは、単なる「外資コスメブランド」という括りを超えて、多くの日本人女性の「肌づくり」「メイクの基礎」に多大な影響を与えてきました。特にベースメイクにおいては、ナチュラルで整った肌、つまり“素肌感”を大切にする日本の美意識と見事にマッチし、多くの愛用者にとって「なくてはならないブランド」だったと言っても過言ではありません。

今回の撤退は一つの区切りであると同時に、長い年月をかけてブランドの信頼と実績を積み重ねてきた証とも言えるでしょう。

■ 最後に

ラグジュアリーでありながら温かみがあり、機能性と美しさを兼ね備えたローラ メルシエは、確かに日本での一時代を築いたブランドでした。今回の撤退は残念なニュースではありますが、その功績は揺るぎないものとして多くの人の記憶とコスメポーチの中に残り続けるはずです。

今後ローラ メルシエの製品を入手する道が続いていくことを願いつつ、これまでの素晴らしい製品と、日本で歩んできた歴史に敬意と感謝の気持ちを表したいと思います。

愛用者の皆さまも、残りの期間でぜひお気に入りのアイテムを手に入れ、ブランドとの思い出を振り返ってはいかがでしょうか。そして、今後また新たな形でローラ メルシエが日本の地に戻ってくる日が来ることを、静かに願いたいところです。