2024年6月、愛知県小牧市にある幼稚園で発生した、3歳の女の子がプール遊び中に意識不明になったという報道が大きな注目を集めています。このような痛ましい事故は、保育施設や教育現場に子どもを預ける保護者にとって非常に心が痛む出来事であり、また私たち全ての大人にとっても、子どもの安全をどう確保するかについて改めて考えさせられるものです。
本記事では、報道内容に基づき事故の概要を整理し、幼児教育施設における安全管理の在り方や、子どもの水の事故を防ぐためにできる具体的な対策について紹介していきます。
事故の概要:小牧市の認可保育施設で
報道によれば、事故は6月3日午前10時頃、小牧市内の私立幼稚園で起こりました。その日は晴れており、園では子どもたちがプールで水遊びをしていた時間帯だったとされています。このプールはビニール製で、深さは約40センチの簡易型プールだったとのことです。
園の職員が子どもたちをプールで遊ばせているなか、3歳の女の子がうつ伏せの状態で浮かんでいるのを発見されました。すぐに救助され、園職員による心肺蘇生(AEDの使用も含む)が行われ、救急搬送されたものの、女の子は意識不明の重体という状況です(報道時点での情報)。
小牧市や管轄の愛知県警が事故の詳しい経緯や安全管理体制について調査を進めており、園内での監視体制や対応の適切さについても今後検証されることとなります。
小さな子どもと水:たった数センチの水深でも起こる「溺水事故」
多くの人が「ビニールプール」や「水深が浅い」というワードから、一見、そこまでの危険性を想像しにくいかもしれません。しかし、実際には子どもの水の事故は、家庭の浴槽やバケツ、さらには道路の側溝の水たまりといった、ごく身近な環境でも起こることがあるのです。
特に3歳未満の幼児は、自分で水面に顔がついたときに即座に立ち上がったり、助けを求めたりする反応が難しい場合があります。さらに、急に水の中でバランスを崩したり、転倒した際にパニックになってうまく対処できないことも多いです。
そのため、水深が浅いからといって油断することは決してできません。溺れるときは音もなく、静かに沈んでいってしまうので、周囲の大人が気づかないことが多いのです。この「静かな溺水」は、しばしば監督者がすぐそばにいても気づくのが遅れる原因の一つになっています。
なぜこのような事故が起きてしまうのか
現時点では、詳細な監督体制や職員の配置について明らかにはなっていません。しかし、園内でのプール活動となれば、一定の監視人員やルールづくりが必要です。国の定めるガイドラインなどでは、保育園・幼稚園などでの水遊び活動においては、常に複数の職員が子どもから目を離さず、緊急時にすぐ対応できる体制が推奨されています。
もしも園側に人手不足や活動中の配置ミスがあった場合、再発防止のためにも改善が求められるでしょう。もちろん、園としても安全対策を講じたうえでの活動だった可能性もありますが、事故が発生した以上、その原因が何だったのかを明らかにし、適切な対策につなげていくことが必要です。
私たちが今、できること
今回の事故から学ぶべきことは、「子どもと水との関わり方」に対して私たち大人が改めて真剣に向き合う必要がある、ということです。特に以下のような点について、考えることが重要だといえます。
① 子どもの水遊び時は絶対に目を離さない
水遊びや入浴など、水に接する場面では必ず大人が近くで見守ること。しかも「見ているつもり」ではなく、常に子どもの動きに意識を集中させることが大切です。
② 水場での事故は一瞬で起きる
たとえ数秒間でも目を離したすきに事故が起こることがあります。電話、来客、家事など、日常の些細な行動によって注意がそれてしまわないよう、水遊び中はそれ以外の行動を控える必要があります。
③ 保育施設や教育現場では、職員配置と監視体制の整備を
すべての保育現場で、年齢や人数に応じた職員の配置と明確な監視ルールづくりが求められます。子どもが安全に遊べる環境を整えるためには、日頃の訓練やシュミレーションも有効です。
④ 家庭でも水の危険を学ぶ機会を
家庭でも、子ども自身に水の怖さについて理解してもらうことが重要です。楽しく水とふれあいつつ、万が一の場合にはどうすべきかを教えるため、年齢に応じた「水辺ルール」などを話し合う機会をつくってみましょう。
さいごに:誰もが「当事者」になり得る
今回のような事故が起きたとき、私たちはつい「保育施設側の対応に問題があったのでは」と感じてしまいがちです。もちろん検証は必要ですが、同時に大切なのは、「自分にも起こりうること」として受け止める姿勢です。
子どもは大人の目と手を通じて守られている存在です。保育施設だけでなく、家庭、地域、社会全体で「子どもを守るしくみ」が浸透しなければ、こうした事故は根本的に防ぐことが難しいのです。
だからこそ今回の出来事を、責任追及だけで終わらせるのではなく、「どうすれば同じことが繰り返されないか」「家庭や社会で何ができるか」という視点で、多くの人が考え、行動につなげていくべきだと感じます。
3歳という、人生の始まりにあるかけがえのない命が今も意識不明の状態にあるという事実を重く受け止め、一日も早い回復を心から願いながら、同じことが起こらない未来のために、私たち一人ひとりができる行動を積み重ねていきたいと思います。