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あなたの家にも来るかもしれない「ニセ逮捕状詐欺」──巧妙な手口と身を守るための対策

2024年に入り、再び「架空請求詐欺」や「ニセ逮捕状詐欺」といった、巧妙かつ悪質な手口による事件が相次いでいます。中でも、最近報道された「ニセ逮捕状」による詐欺事件は、多くの人々に衝撃を与えました。この記事では、この「ニセ逮捕状詐欺」に実際に巻き込まれた被害者の証言や、詐欺の手口、そして私たちができる対策について詳しく解説します。多くの方にとって他人事ではなく、自分自身の安全を守るためにも知っておくべき内容です。

■ 実際に起きた「ニセ逮捕状詐欺」の被害

今回報道された事件では、実在する公安部を名乗る人物から電話があり、電話の内容は「あなたの名義が犯罪に使われた可能性がある」「資金洗浄に関与しているとして、逮捕状が出ている」というものでした。突然のことに驚いた被害者に対して、さらに「財産を一時的に保護、確認する必要がある」と言い、自宅に直接訪れることを告げます。

実際に訪問してきたのは、スーツ姿の男。身分証と思しきものを提示し、「逮捕状が出ている」「協力すれば身柄の拘束はしない」と説明。さらに、信用を強調するためか、東京地検の関係者をかたるもう一人の男と電話で話させるといった周到な演出までされました。

被害者は到底自分が犯罪に関与したとは思えなかったものの、「逮捕されるかもしれない」という不安から、相手の指示に従うままに現金や口座情報を渡してしまいます。もちろんこれは巧妙に構成された詐欺であり、後に警察へ相談することで被害が判明しました。

■ 詐欺の巧妙な手口に共通する「不安の植え付け」

この手の詐欺に共通する点は、「あなたが何か悪いことに巻き込まれている」という不安を利用することです。多くの人は犯罪とは無縁であり、「自分が罪を犯すはずがない」と考える一方で、「もしかしたら何かの間違いがあったのでは」と一瞬でも思うと、その不安につけこまれてしまいます。

今回のケースでは、「逮捕状」という非常に強いインパクトのある文言が用いられ、それを直接的に示すことで恐怖心をあおる手法が使われました。しかも、電話だけでなく実際に人物が訪問してくるリアリティ、そして司法関係者を名乗る人物との電話など、演出の緻密さが被害者の心を揺さぶります。

■ 名義貸し・資金の一時預かりはすべてウソ

警察や検察が市民の財産を任意で預かる、現金を確認する名目で取りに来るという行為は、実際には存在しません。仮に法的手続きとして必要であれば、必ず裁判所を通した正式な手続きが取られ、現金の受け渡しを個別に行うことはありません。

また、「あなたの名義が犯罪に使われている」「口座が資金洗浄に利用された」といった言葉も、典型的な詐欺の文言です。もし本当にそうであれば、警察からではなく関係する金融機関や捜査機関から正式な通知を送付され、必要な応答の手続きがあります。電話や突然の訪問による通知は、まず疑ってかかるべきです。

■ 被害を防ぐために大切な心構え

このような詐欺に巻き込まれないためには、次の3つの心構えが非常に重要です。

1.「自分は大丈夫」と思い込まない
詐欺被害に遭う人は、決して「騙されやすい人」ではありません。むしろ、真面目で責任感が強く、規則を守るタイプの人ほど、「警察や司法関係者に協力しよう」と思い、詐欺師の指示に従ってしまう傾向があります。自分に限ってと思わず、常に「疑う目」を持つことが重要です。

2. 個人情報や財産の話が出たら一度立ち止まる
誰かに電話で自分の個人情報や口座情報、または資産や現金に関する話をされたら、一度深呼吸をしましょう。その情報を本当に信じていいのか、相手は本当に信頼できる人物なのかを冷静に判断してください。すぐには返答せず、家族や知人に相談する、あるいは詐欺相談窓口に問い合わせるのが安全です。

3. 一人で対応しないこと
詐欺のターゲットになるのは高齢者だけではなく、誰でも対象となります。特に、不安を感じているときほど、人は判断を誤りやすいものです。そんな時こそ、信頼できる家族や友人、そして警察や消費者センターに相談することが大切です。

■ 詐欺に遭った後でも遅くない、すぐに相談を

もしも同様の被害に遭ってしまった場合、すぐに最寄りの警察や都道府県の消費生活センターへ相談しましょう。「もうお金を渡してしまったから遅い」と思ってしまうかもしれませんが、被害回復の手続きや他の被害拡大の防止にとって、速やかな報告は非常に意味があります。

また、家族や友人がいち早く異変に気づいてあげることも被害防止には効果的です。普段と違う言動や急にお金の話をしだした場合など、周囲が敏感になってサポートすることが、被害から救う鍵となることもあります。

■ 終わりに:詐欺は決して他人事ではない

今回ご紹介した「ニセ逮捕状詐欺」は、見知らぬ人が突然訪れ、本人の不安を煽りながら心理的に追い詰めてくる非常に巧妙な詐欺でした。しかし、気を付けていれば防げることも多くあります。

「正しい知識」と「冷静な判断」、そして「誰かに相談する勇気」を持っていれば、自分も家族もこのような詐欺から守ることができます。社会全体で情報を共有し、声を掛け合いながら、詐欺に強い地域・家庭づくりを目指すことが、今の私たちに求められています。

最後に──不審な電話や訪問があったら、「すぐに対応せずに相談する」。このシンプルな行動が、被害を未然に防ぐ第一歩です。どうかこの記事が、少しでも皆さまの安全の一助となることを願っています。