2024年の参議院選挙が、3連休の中日に実施されることとなり、各地の選挙管理委員会からは戸惑いや懸念の声があがっています。この記事では、「3連休中日に参院選 選管から愚痴」という報道内容をもとに、このスケジュールが選挙運営や有権者にどのような影響を与えるのか、また私たちがその中でどのような行動をとるべきなのかを整理し、考えてみたいと思います。
■ 投開票日は3連休の中日、選管職員は困惑
総務省が発表したところによると、2024年の参議院議員通常選挙の投開票日は「7月14日（日）」となる予定です。この日はちょうど3連休（7月13日（土）〜7月15日（月・海の日））の真ん中、つまり「中日」にあたります。これに対して、全国の選挙管理委員会の職員からは「スケジュール的に非常に難しい」「準備が十分にできない恐れがある」といった懸念が寄せられています。
選挙管理委員会の多くは、選挙の公正かつ円滑な運営を担う非常に重要な役割を持っています。投開票日には、投票所の設営や人員配置、投票用紙の確認、開票作業など、膨大な業務が伴います。これらの準備や後処理をするためには、通常よりも多くの労力と時間が必要となります。
3連休の中日に投開票日がある場合、職員は13日から15日まで連日の勤務が求められることになります。本来であれば、祝日や週末には家族との時間を取ったり、休息にあてることができるはずですが、今回のスケジュールではそれが困難になります。限られた人員で迅速かつ正確に運営をしなければならず、「非常に負担が大きい」というのが職員たちの率直な声です。
■ 国民の側にも影響が広がる可能性
一方で、選管職員の負担だけではなく、有権者の行動にも影響が出るとみる指摘もあります。たとえば、3連休は旅行や帰省などで外出する人が多く、居住地から離れてしまって投票にいけないというケースも少なくありません。
特に若年層や子育て世代は、連休を利用して家族で出かける予定を立てるケースも多く、積極的に投票所へ足を運ぶという意識が薄れがちです。結果として、投票率の低下が懸念されます。これまでも選挙が連休と重なった際には同様の傾向が見られており、今回も「投票率が下がるのではないか」という声が上がっています。
■ 期日前投票の重要性がますます増す
こうした背景から、期日前投票制度の利用促進がますます重要になってきています。期日前投票は、選挙日当日に予定がある人が、予め投票することができる制度です。すでにこの制度は多くの市民に活用されており、期日前投票所数も年々増加しています。
2022年の参院選では、期日前投票者数が全有権者の約25％を占めるなど、その数は年ごとに増えている傾向にあります。今回のように3連休の中日に本選挙が設定される場合、期日前投票を利用することで「選挙」と「予定」のどちらも大切にすることが可能です。
自治体によっては、駅構内やショッピングモール、大学構内などに臨時の投票所を設けるなど、アクセスのしやすさを重視した取り組みも多数行われています。「投票に行くのが面倒」と感じる方も、仕事帰りや買い物のついでに寄れることで、ぐっとハードルが下がります。
■ 時代に合わせた選挙運営の見直しも必要
今回のニュースを受けて、あらためて考えたいのは「選挙のあり方」そのものです。特に近年では、少子高齢化や人口移動の激化、働き方の多様化などにより、選挙運営も柔軟な対応が求められています。
例えば、海外ではインターネット投票を導入している国もあり、日本でも実証実験が進められています。完全なオンライン選挙は技術的・法的なハードルがまだ存在していますが、将来的には投票のスタイルが大きく変わる可能性もあるでしょう。
また、選挙告示後の情報提供や候補者の公約周知に関しても、デジタルメディアを通じた一層の工夫が求められます。選挙に参加する市民が「自分に関係あること」として理解できるような仕組みがあれば、投票率の向上にもつながるはずです。
■ 私たちにできること：「選ぶ」ことは未来への責任
最終的に、投票率や選挙の意義を支えるのは一人ひとりの有権者です。どれほど選挙の制度や仕組みが変化しても、私たち自身が「参加する意識」を持っていなければ、制度は十分に機能しません。
「自分の1票では何も変わらない」と思うかもしれませんが、その1票の積み重ねが社会をかたち作っていきます。だからこそ、私たち一人ひとりが「未来を選ぶ意志」を示すことが大切なのです。
たとえ投開票日が連休中の中日であっても、期日前投票や不在者投票の制度をうまく活用すれば、自分の権利を行使することは十分に可能です。この機会に、家族や友人と「なぜ投票が大切なのか」を考え、話し合ってみるのも良いかもしれません。
■ まとめ
2024年の参院選が3連休の中日に設定されたことで、選挙管理委員会の業務の負担が大きくなり、有権者側にも投票への影響が懸念されています。しかし、そうした状況だからこそ、制度を正しく理解し、期日前投票などを活用して自ら選挙に参加することが大切です。
政治や社会をより良いものにするためには、誰か任せではなく、私たち自身が意志を示すことが不可欠です。選挙は新しい未来を選び取る機会。忙しい日常の中でも、その大切な1票を大事にしていきましょう。
