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「最低賃金1500円へ──すべての働く人に“安心して暮らせる社会”を」

全労連「最低賃金1500円へ」—今こそ誰もが安心して暮らせる社会を

2024年4月、全国労働組合総連合(全労連)は、最低賃金を直ちに時給1,500円に引き上げるよう強く求める提言を行いました。これは、日本全国で進む物価上昇や生活費の増大に対応して、すべての働く人々に一定の生活保障を実現するための切実な要請といえます。

本記事では、全労連による呼びかけの背景や意義、そして私たちの暮らしに与えるであろう影響について、詳しく見ていきたいと思います。

最低賃金とは何か?

まず、最低賃金とは、企業が労働者に対して支払わなければならない最低限の賃金のことです。現在、日本では地域ごとに異なる最低賃金が設定されており、2023年度の全国加重平均は約961円でした。これは前年から大幅に引き上げられたものの、世界の先進国と比較すると依然として低い水準にあります。

全労連が求める「時給1,500円」という水準は、単なる数字の変更ではなく、フルタイムで働くすべての人が、最低限度の文化的生活を送るために必要な水準と考えられています。

背景にあるのは「生活の厳しさ」

この要請の背景には、近年の物価上昇と実質賃金の減少によって、多くの労働者が生活の苦しさを感じている現実があります。

例えば、食料品価格や光熱費の上昇は家計に直撃しており、収入が増えないままの状態で支出ばかりが増えてしまうという悪循環が生じています。特に、一人暮らしの非正規労働者や、子育て世帯、高齢者などでは、「働いても生活が成り立たない」という苦情が後を絶ちません。

また、正規雇用だけでなく、パート・アルバイトなどの非正規雇用者が年々増加しているなかで、こうした層を中心に最低賃金水準の影響が顕著に表れています。全労連は、最低賃金を1,500円に引き上げることで、社会全体の消費を活性化し、ひいては経済全体の健全な循環に役立つと主張しています。

「いま、賃上げが必要な理由」

全労連は、東京都内で行ったデモ活動において、「いまこそ生活を守る最低賃金の大幅引き上げが必要」だと訴えました。全国で100人以上が参加したこのデモでは、「暮らしよくする最賃1,500円」などのスローガンが掲げられました。

彼らの主張にはいくつかのポイントがあります:

1. 実質賃金の減少を補う:現在の賃金水準では、過去よりも物価が高騰している分、実際に人々が使えるお金は目減りしています。1,500円に引き上げることで、このギャップを埋めることができます。

2. 労働の価値を正当に評価する:清掃や介護、販売など、社会を支える様々な仕事が、十分に評価されていない現状があります。最低賃金の引き上げは、こうした職種に従事している人々へのエールとも言えるでしょう。

3. 格差の是正につながる:最低賃金を上げることによって、低賃金層と高所得層の格差がある程度是正され、社会の分断が緩和されると考えられます。

世界に目を向けると…

世界を見渡すと、例えばアメリカのカリフォルニア州では2024年に時給16ドル(約2,200円)以上の最低賃金が導入されています。イギリスやフランス、ドイツなどの欧州諸国でも、すでに日本より高い最低賃金が採用されています。

もちろん、それぞれの国家が抱える状況は異なりますが、「働く人が安心して暮らせる社会をつくる」という点において各国が共通しています。日本もまた、その水準に近づいていくことは、長期的に見て社会全体の安定に寄与することでしょう。

懸念の声と向き合う

一方で、最低賃金の急激な引き上げには、事業者側からの懸念の声も存在します。特に中小企業や個人経営の店舗などでは、人件費の増大によって経営が圧迫されるのではないかという不安が広く共有されています。

これに対して、全労連は単なる賃金引き上げだけではなく、政府の中小企業支援策や税制の見直しなど、総合的な対策パッケージを一体として進めるべきと訴えています。例えば、社会保険料の軽減や設備投資への補助なども組み合わせることで、企業の負担を和らげながら最低賃金引き上げの実現を図ることが可能です。

私たち一人ひとりが考えるべき「公正な社会」

最低賃金の引き上げというテーマは、単なる経済的な議論ではなく、「どのような社会を目指すか」という価値観の問題でもあります。

すべての人が働いて正当に評価され、生活の不安から解放される社会——それは、誰もが安心して結婚や子育て、将来設計を描ける社会の基盤ともなるでしょう。働き続けても生活が破綻するような状況は、私たちひとり一人にとっても無関係ではありません。

今後、最低賃金のあり方は社会的にも大きな注目を集めるテーマとなっていくとみられます。与えられた条件の中でどのように公正な経済システムを構築していくか、私たち市民の声がその鍵を握っています。

まとめ:安心して暮らせる社会のために

全労連が掲げた「最低賃金1,500円」という目標は、多くの人々にとって切実な願いであり、「安全・安心な社会」を実現するための一歩でもあります。

確かに、労働市場や経済状況は一筋縄ではいかない複雑な課題を抱えています。その中で、どうすれば社会全体にとってバランスの取れた対策となるのか。企業、政府、市民がそれぞれの立場から課題に向き合い、支え合いながら進んでいくことが、本当の持続可能な社会づくりへの鍵になるのではないでしょうか。

私たちは皆、より良い社会を願っています。その第一歩として、最低賃金の引き上げについて、今改めて真剣に向き合う時が来ているのかもしれません。