2021年の東京オリンピックで日本中に感動を与えた元競泳選手、大橋悠依さん。個人メドレーで2冠を達成した彼女は、その活躍により一躍国民的なヒロインとなりました。そんな彼女が2023年秋に現役を引退し、現在は新たな人生を歩んでいます。今回は、引退後の大橋悠依さんの現在の様子や、彼女が語る「第二の人生への想い」についてご紹介します。
■オリンピック2冠の快挙とその後の葛藤
2021年の東京五輪では、200メートル、400メートルの個人メドレーで日本女子史上初の快挙となる2冠を達成した大橋悠依さん。その姿は多くの人に希望と勇気を与え、競泳界だけでなく全国民の記憶にも深く刻まれました。
しかし、東京五輪後には来るべきパリ五輪を見据えてさらなるトレーニングに励む一方で、自身の競技への向き合い方に迷いが生じていたと言います。金メダリストとしての自分と、競技者としての自分とのギャップに悩み、時にはスランプを経験することもありました。
2023年の日本選手権を最後に現役を退いた彼女は「やりきった」という思いとともに、大きな区切りに達したと感じたそうです。引退を決断するまでには、数えきれないほどの葛藤と向き合ってきたと語っています。
■引退後の新たなステージ――スポーツの“楽しさ”を伝える活動
現在の大橋悠依さんは、競技者の生活から一転して、スポーツの魅力を広く伝える活動に取り組んでいます。例えば、テレビやイベントなどのメディア出演を通じて、競泳の楽しさや自身の体験談を語る機会が増えてきました。
最近では、日本テレビ系のバラエティ番組「世界まる見え!テレビ特捜部」に出演し、普段の素顔や競技に打ち込んでいた頃の話を、ユーモアを交えて披露する一幕もありました。以前は水泳帽とゴーグル姿が印象的だった彼女も、バラエティ番組では柔らかな笑顔で観客を和ませるなど、競技とは違った魅力を発揮しています。
また、地元・滋賀県での地域貢献にも積極的に取り組んでおり、学校を訪れた講演や、水泳教室で子どもたちとふれあう機会もあるとのこと。選手時代には得られなかった「人とのつながり」や「喜びを共有する感覚」が、今の彼女の生活を彩っているようです。
■「努力は報われる」――伝えたい言葉と想い
大橋さんの言葉で特に印象的なのは「努力は報われる」という一言。数々の試練を乗り越えて辿り着いた東京五輪での栄光。そこには、計り知れない努力と忍耐がありました。そんな大橋さんだからこそ、この言葉には説得力があります。
彼女は、今の活動を通じて、子どもたちや若い世代に「夢を持ち続けることの大切さ」と「結果以上に過程の価値」に気づいてほしいと語っています。メダルや記録だけでは測れない、多くの努力や成長がそこにあることを伝えたいと。これは、スポーツだけでなく、日常生活や仕事、人間関係においても共通する大切なメッセージかもしれません。
また、現役時代には競技成績のプレッシャーのなかで、自分に厳しくなりすぎることもあったと振り返っています。けれども今は、「完璧じゃなくてもいい」「自然体でいることの大切さ」を学び、かつてとは違った視野を持てるようになったそうです。
■未来への展望――「自分らしさ」を模索する日々
引退から約半年。現在の大橋さんは、まさに“模索の時期”にいると話します。すぐに指導者の道に進むわけではなく、まずは自分にできることからチャレンジし、その中で自分らしさを見つけていく段階だと言います。
現役時代には叶わなかった「旅行に行く」「趣味に時間を使う」といった日常の楽しみも噛みしめながら、暮らしの中に幸せを見出す経験は、新しいインスピレーションをもたらしているようです。
今後は、より多くの場面でスポーツの魅力や、自身の人生経験から導き出されたメッセージを発信していくことを考えているとのこと。どのような形になるにしても、「水泳で得た感動や感謝の気持ちを、多くの人に届けること」が彼女の大きな目標です。
■私たちにできること――次の世代へ思いを繋ぐ
多くの人々に勇気を与えた大橋悠依さんの姿は、これからの時代を生きる子どもたちへの素晴らしいロールモデルでもあります。競技を終えた今も、彼女はその明るさと誠実さで多くの人々に希望を与えています。
これからも競技とはまた違った形で、多くの人々と関わり、影響を与えていくであろう大橋悠依さん。私たち1人ひとりも、彼女のように「自分と向き合い、自分らしい人生を歩む」ことの大切さを見つめ直してみてはいかがでしょうか。
第二の人生でもなお人々に感動を届ける彼女の姿は、私たちにとって大きな道しるべとなるはずです。これからの活躍にも期待が高まります。