夏の到来とともに、多くのご家庭やオフィスでエアコンの使用頻度が高まってきます。冷たい空気で快適な室内を保つために欠かせないこのエアコンですが、いざスイッチを入れると、「モワッ」とした嫌な臭いが漂ってくる…そんな経験をしたことはありませんか?この記事では、そのようなエアコンの悪臭の原因と対策について、専門家の話をもとにわかりやすくご紹介します。
エアコンの悪臭――なぜ発生するのか?
エアコンの使用開始時、つまりシーズンの初めに電源を入れたとたん、「なんともいえないカビ臭さ」や「生乾きのような臭い」が部屋中に広がる、というのは多くの人が感じたことのあることでしょう。この悪臭の主な原因となっているのが、エアコン内部に溜まった「カビ」や「ホコリ」、そして「水分」です。
エアコンは室内の空気を吸い込んで冷却し、再び送り出す構造になっており、この過程でフィルターや熱交換器(エバポレーター)に空気中のホコリや花粉、湿気が付着します。長い期間掃除を怠っていると、それらがエサとなってカビや雑菌が繁殖しやすくなり、やがて臭いの原因となるのです。
特に梅雨や夏の湿度が高い時期には、エアコン内部に残った水分が乾燥しづらく、カビの発生が促進されます。その状態でエアコンを稼働させると、繁殖したカビや雑菌が空気とともに室内に放出され、あの「モワッ」とした嫌な臭いが発生してしまうというわけです。
悪臭を抑えるための基本対策
では、このエアコンの悪臭を防ぐためにはどうすれば良いのでしょうか。専門家は次のような対策を提案しています。
1. 定期的なフィルター掃除
最も手軽で効果的な方法が、フィルターの掃除です。メーカーにもよりますが、一般的には2週間に1回程度の洗浄が推奨されています。フィルターに付着したホコリはカビの温床となるため、取り外してぬるま湯でやさしく洗い、しっかり乾燥させることが大切です。
2. エアコン使用後の送風運転
エアコン使用後に「送風モード」で10〜30分ほど稼働させることで、機内の水分を乾燥させることができます。これにより内部が乾燥し、カビや雑菌の繁殖を抑える効果が期待できます。最近の機種では自動で乾燥運転を行うモデルも増えているので、説明書でチェックしてみましょう。
3. 熱交換器の清掃
フィルターだけでなく、もうひとつ重要なのが「熱交換器」の清掃です。この部分には水分や汚れが溜まりやすく、カビや細菌が繁殖しやすいため、専用の洗浄スプレーを使って定期的に清掃することが推奨されています。ただし手の届きにくい内部の清掃には専門知識が必要となるため、心配な方はプロに依頼した方が安全です。
4. 室外機のチェックも忘れずに
エアコン臭の原因は室内機ばかりではありません。室外機の周辺にゴミや落ち葉が溜まっていると換気がうまくいかなくなり、結果として室内の空調効率や清潔さにも影響します。年に数回は室外機の周囲も確認して、清掃しておくのが良いでしょう。
プロのクリーニングを活用するのも効果的
「フィルター掃除はしてるけど、どうしても臭いが取れない」「エアコンの奥からドロリとした水が出てきた」といった場合には、プロのクリーニング業者に依頼するのもひとつの方法です。
エアコンの構造は複雑で、奥の方にこびりついた汚れやカビは一般家庭の清掃では取り除きにくいものです。プロの業者であれば、専用の機材や洗浄剤を使って分解洗浄を行うことができ、見えない内部まですっきりとキレイにしてくれます。
特に小さなお子さんや高齢者がいる家庭、アレルギー体質の方がいる場合には、エアコン内部の衛生状態にもより一層気を配りたいところ。クリーニング代金は1台あたり1万〜2万円ほどが相場ですが、快適な空気環境と安心を得られると思えば、決して高い投資ではありません。
最新エアコンは自己清浄機能付きも
最近のエアコンには、カビの繁殖を抑えるための「内部クリーン機能」や「自動洗浄機能」が搭載されたモデルも登場しています。使用後に自動で送風乾燥を行ったり、フィルターにホコリがたまると自動で排出してくれたりと、手間を大幅に減らしてくれる便利な機能です。
これから新しくエアコンを購入・買い替えを検討している方は、こうした衛生面の機能も重視して選ぶとよいでしょう。
まとめ:使う前の一工夫で快適な夏を
エアコンからの「モワッ」とした悪臭は、適切な対策をとることで予防・軽減が可能です。まずはフィルターの掃除や送風による乾燥運転を習慣にし、数年ごとにプロのクリーニングを取り入れることで、清潔で心地よい空気を家庭に届けることができます。
暑い夏だからこそ、涼しさと同時に「空気の質」にもこだわりたいもの。定期的なメンテナンスを心がけて、快適で健康的な夏を過ごしていきましょう。