梅雨の時期は特に注意を!耳の中にもカビが生える可能性とは?
じめじめと湿気が増す梅雨の季節。家の中の壁や風呂場にカビが発生しやすくなるこの時期、私たちの体にも思わぬ影響が及ぶことがあるのをご存知でしょうか?近年、「耳の中にカビが生える」ケースが報告されており、特に梅雨時期には患者の数が増える傾向にあると言われています。
今回は、「耳の中のカビ=外耳道真菌症」と呼ばれる病気について、その原因や症状、予防策、そして万が一なってしまった時の対処方法まで、詳しく解説していきます。耳の健康を守るためにも、ぜひ参考にしてください。
耳の中にカビ?「外耳道真菌症」という病気とは
耳の中に発生するこの病気は、正式には「外耳道真菌症(がいじどうしんきんしょう)」と呼ばれています。耳の入り口から鼓膜までの通路(外耳道)に、主にカビの一種である真菌が繁殖して炎症を引き起こすものです。
真菌は私たちの身の回りに常に存在している菌であり、皮膚や爪、水回り、空気中など、あらゆる場所に生息しています。しかし、通常私たちの体には免疫機能が備わっており、多少のカビが体に付着したからといって簡単に感染することはありません。
しかし、ある条件が揃うと、真菌は急速に増殖します。とくに湿気が多く高温な環境では真菌が活発化しやすく、耳の中も例外ではないのです。
外耳道真菌症になりやすい人とは?
外耳道真菌症は誰にでも起こり得る病気ですが、次のような方は特に注意が必要です。
・蒸し暑い環境に長時間いる人
・イヤホンを長時間着用する習慣がある人
・耳掃除を頻繁に行う人
・湿疹やアレルギーなど、皮膚のバリア機能が低下している人
・糖尿病など、免疫力が低下している人
・水泳やシャワー後に耳の中が濡れたままの状態が多い人
特に梅雨の季節は、高湿度の環境が耳の中にも影響を与えるため、外耳道が蒸れやすくなります。また、イヤホンを長時間装着する習慣のある人は、耳道の通気性が悪くなり、真菌の温床となってしまうこともあります。
さらに、自分では清潔にしているつもりでも、頻繁に耳掃除をすることが逆効果になる場合があります。過度な耳掃除は耳の皮膚を傷つけてしまい、そこから真菌が侵入するリスクを高めてしまうのです。
どんな症状が出る?外耳道真菌症の主なサイン
外耳道真菌症にかかると、次のような症状が現れることがあります。
・耳の中のかゆみ
・耳だれ(耳から液体や膿のようなものが出る)
・耳の詰まり感や閉塞感
・聞こえにくさや耳鳴り
・においを伴う分泌物
・耳の中の皮膚が白や黒、黄色っぽくなる(カビが目視できることも)
これらの症状は他の耳の病気(例えば外耳炎や中耳炎など)とも似ているため、自己判断は禁物です。症状が長引いたり、強くなったりする場合は、必ず耳鼻咽喉科を受診するようにしましょう。
かゆみだけだからと市販の点耳薬を使って自己処理をすると、かえって症状を悪化させる恐れがあります。特に真菌は抗生剤が効かないため、誤った薬の使用によってバランスが崩れ、真菌がさらに繁殖する場合もあります。
外耳道真菌症の治療方法とは
外耳道真菌症の治療において最も重要なのは、耳の中にあるカビを物理的に取り除くことです。耳鼻科では、顕微鏡を使って耳の中を観察しながら、専門の器具で真菌や耳だれ、汚れを丁寧に除去します。
その後、抗真菌薬を含む点耳薬などを数日〜数週間にわたって使用することで、完全な治癒を目指します。治療には通常、数回の受診が必要になることが多いです。
重要なのは、症状が良くなったからといって勝手に投薬をやめないこと。中途半端な治療は再発のリスクを高めますので、医師の指示に従ってしっかりと治療を継続してください。
外耳道真菌症を防ぐための予防法
外耳道真菌症は日々の生活習慣を見直すことで、ある程度まで予防することが可能です。以下のポイントを意識して、カビから耳を守りましょう。
① 耳掃除は控えめに
耳掃除は必要以上に行うと皮膚を傷つけたり、逆に汚れを奥へ押し込んでしまったりすることがあります。基本的には、耳垢は自然に排出される仕組みになっているため、入口付近を軽く拭う程度で十分です。
② 耳を乾燥させる習慣を
入浴後や運動後に汗をかいたときは、タオルやドライヤーなどで耳の外側を乾かしましょう。ただし、耳の奥まで綿棒等で触る必要はなく、外耳道の湿気を放出する程度でOKです。
③ イヤホンやヘッドホンの長時間使用に注意
密閉性の高いイヤホンやヘッドホンを長時間使用していると、耳の中が蒸れてカビが繁殖しやすい環境になります。時折外して通気させたり、イヤーパッドをこまめに清掃する習慣をつけましょう。
④ 免疫力の維持
栄養バランスの良い食事、適度な睡眠、ストレスケアなど、基本的な健康習慣が免疫機能の維持に繋がります。慢性疾患を抱えている方は、耳のケアもしっかりと意識すると良いでしょう。
⑤ 異常を感じたら早めに受診
かゆみや痛みなど、耳に異変を感じたら我慢せず、早めに耳鼻科を受診することが大切です。早期発見・早期治療が重症化を防ぎます。
梅雨時期だからこそ耳ケアを意識しよう
梅雨の季節には、カビによって様々な健康トラブルが起きやすくなります。室内の除湿や清掃だけでなく、自分自身の耳の中にも潜む危険を見逃さないようにしましょう。
耳のかゆみや聞こえづらさは、放っておくと思わぬ病気につながることがあります。特にこの時期に症状が出た場合は、外耳道真菌症を疑ってみることも大切です。
ちょっとした習慣を見直すことで、耳を守ることは十分可能です。この梅雨を快適に過ごすためにも、ぜひ今日から耳のケアを心がけてみてはいかがでしょうか。