近年、日本代表チームの人気が下降傾向にあるとの報道がなされています。その影響を感じ取っているのが、現在スペインの名門レアル・ソシエダで活躍し、日本代表でも中心選手として期待されている久保建英選手です。彼は、サッカー日本代表に対する世間の関心の低下に対して、強い危機感を覚えていると語りました。
かつて日本代表がW杯や国際大会に出場するたびに、テレビに釘付けになった視聴者も多かったことでしょう。代表戦ともなれば、街の電気屋に人が集まり、国を挙げての一大イベントのような雰囲気に包まれていたのが印象的でした。そうした風景が徐々に薄れていく中で、選手たちは何を感じ、どう向き合っているのでしょうか。今回は、久保選手の発言と現在の代表人気に関する背景、そして今後への展望について掘り下げて考えてみたいと思います。
【久保建英の危機感】
久保選手は、W杯予選前の取材の中で、「代表への関心が下がってきていると感じています」と率直な思いを吐露しました。日本サッカー界を牽引する存在であり、自身も世界で戦っている一流の選手である久保選手が現状に対して「もっと注目されるようにしなければ」と感じているというのは、非常に重みのある発言と言えます。
彼の言葉はただの個人的な感想ではなく、選手としての責任感と、日本サッカー全体の未来を見据えた真摯な問題意識に根ざしています。「どうすれば子どもたちが代表に憧れる存在になれるのか」「もっと代表戦を見たいと思ってもらえるようになるにはどうすればいいのか」――そんな問いを、久保選手は自らに投げかけているのです。
【代表人気低下の背景】
代表人気の低下には、いくつかの要因が考えられます。
まず、視聴態度の多様化が挙げられるでしょう。サッカーに限らず、スポーツ観戦のあり方がテレビ中心から配信やSNSに移行している現在、従来と同じように「視聴率」だけで人気を測るのは難しくなっています。世代ごとに見方も違い、若年層はスマートフォンでダイジェストやハイライト動画を見る傾向が強まっています。
さらに、日本代表における「スター性」の変化も影響しているかもしれません。過去の中田英寿選手や本田圭佑選手のように、社会現象にも似た注目を浴びる選手が次々と現れていた時代に比べると、現在はチーム全体のレベルが底上げされてきている一方で、個人として強烈なアイコン性を持つ選手が少なくなっているという指摘もあります。
また、代表戦の舞台となるW杯やアジアカップといった大会の注目度も、国際サッカーそのものの激化により、国内だけで完結しがちな関心が持続しにくくなっている側面もあるでしょう。
【選手たちの誇りと責任】
それでも、「代表でプレーすることは特別」と語る選手たちの想いは今なお健在です。久保選手もまた、クラブでは得られない重みや、国を背負うプレッシャーを感じながらピッチに立っていることを再三、インタビューで明かしています。
選手たちは決して「人気がないからやる気が出ない」「注目されなければ意味がない」といった考えを持っているわけではありません。それどころか、こうした状況を打開しようと、自身で積極的にメディアに登場し、ファンとの交流を深めたり、ピッチ内外での発信を増やすことで反響を呼ぼうと努力を重ねています。
久保選手のような若手スターが、「危機感」を抱くことはマイナスではなく、むしろサッカー界にとって前向きな意味を持つものだといえるでしょう。なぜなら、それは次なるステップへの出発点だからです。
【これからの日本代表に求められるもの】
では、日本代表が再び高い関心・人気を取り戻すためには、何が必要なのでしょうか。
第一に挙げられるのは、やはり「結果」と「感動」です。W杯での好成績や、強豪国との試合での勝利は、ファンの心を最も強く動かす瞬間です。もちろん、それは簡単な道ではありません。しかし、目標に向けて一丸となって戦う選手たちの姿そのものが、人々の心を打つのです。
第二に、選手一人一人の発信力と個性も重要です。SNSやYouTubeなどのプラットフォームを活用し、自分の考えや日常、トレーニングの様子を発信することで、選手個人としてファンに親しみやすい存在となることができます。人々は、名前や顔を知っている選手が頑張る姿に、特別な想いを抱くものです。
そして何より、代表戦を一つの「体験」として大切にしていく文化の醸成が必要です。スタジアムでの応援、家族や友人と観戦する夜、試合終了後の「今日はすごかったね」「あのゴール見た？」という会話――サッカーをきっかけに生まれるこうした瞬間が、人々を引きつけ、次の試合を楽しみにさせる原動力になります。
【これからの挑戦を応援しよう】
今回の久保建英選手の発言は、今のサッカー代表に必要な改革と、未来を見据えた再出発の合図でもあります。すべてのスポーツは「見る人」「支える人」「愛する人」によって支えられているということを、改めて考えさせられました。
私たち一人一人が、たとえ小さな関心でも示していくこと。それがやがて大きな応援の力となり、選手たちの背中を押すことにつながるはずです。久保選手をはじめとする若き代表戦士たちが、これからどのように日本代表を変えていくのか、そしてその過程でどんなドラマが生まれるのか、今こそ注目していきたいところです。
再び人々が代表戦で熱くなり、全国が一体となるような興奮を取り戻せる日を信じて――私たちも一緒に、未来の日本代表を見守っていきましょう。
