2024年5月、一組のお笑い芸人が日本中の注目を集めています。それが「クールポコ。」です。“な～にぃ？やっちまったな！”という決めゼリフとともに登場する彼らの芸風は、一度見たら忘れられないインパクトとともに、どこか懐かしく、温かみのある笑いを提供してくれます。そんな彼らが、再び大きな話題となっています。今回注目されたのは、いわゆる「餅をつく役」に専念するという姿勢。芸人としての“相方を生かすための陰の立役者”的なポジションに焦点が当たった珍しいケースです。この記事では、「クールポコ。」のコンビがなぜ今再注目されているのか、そしてその魅力について深掘りしていきます。
■ クールポコ。とは？
まずは「クールポコ。」の基本情報から整理しましょう。彼らはお笑いコンビで、樽美酒（たるびし）タイプの袴姿と、古風なコント形式が持ち味の芸風で知られています。「男は黙って〇〇！」というセリフや、大きな杵で餅をつくパフォーマンスが代表的で、そのどこか懐かしいスタイルに多くの人が惹かれました。テレビ番組だけでなく、ライブ、イベント、さらにはSNSでも支持を集めており、一度ブームが過ぎ去った後も、着実にファン層を築いてきました。
■ 「餅をつく役」が再評価のきっかけに
今回、彼らが再び脚光を浴びることとなったのは、“餅をつく役”としての在り方が「職人的」だと評価されたことが発端です。ステージ上で一人が大きくツッコミを入れながらセリフを発する一方、その背後でずっと黙々と「餅をついている」もう一人の存在──それが注目されたのです。この餅つきの動きは一見冗談のようですが、実際は非常にリズミカルで技術が求められるもの。間違えればパフォーマンスのテンポが崩れるだけでなく、「安全面」にも影響が出るレベルです。
芸人というと、どうしても注目されやすいのは前に出てセリフを発する方ですが、クールポコ。においては、この「裏方のように見える側」がいかに全体の雰囲気を主導しているかが認識され始めたのです。これは、日本の多くの職場、家庭、社会構造の中でもよく見られること。目立たないけれど無くてはならない役割に、改めて光が当てられたと言えるでしょう。
■ “やっちまったな！”だけじゃない、深い芸風の奥行き
彼らの代名詞である「やっちまったな！」というセリフは、ある意味で時代と逆行するような“昭和男児”的なイメージを持ち合わせています。ですが、その背景には現代社会へのパロディがあり、時には社会への風刺にも接続されています。大きく誇張された動きやセリフによって笑いを生み出す手法は、視聴者の「あるある！」という共感と結びついており、単なるギャグにとどまらない、人間性を反映した芸でもあると感じさせられます。
特に、今のように多様性や柔軟性が求められる社会の中で、クールポコ。の芸は単なる固定観念ではなく、「昔はこうだったよね」「でも今は違うよね」という温故知新の視点を提供しています。彼らのネタには、過去を懐かしく振り返りながらも、現代とのギャップに笑いとして昇華するセンスがあります。
■ 二人三脚で作る世界観
芸人として長く活動し続けることは、決して簡単ではありません。ネタの更新や世代交代、変化する社会の価値観など、乗り越えなければならない壁は多いものです。その中でクールポコ。は、それぞれの役割を研ぎ澄ませながら、独自のスタイルを取り続けています。
今回話題になった「餅つき役」が注目された背景には、相方の掛け合いを支える「職人芸的な動き」に対する新たな評価があります。ネタ中の“餅をつく”動作は、ただの小道具的なアクションではありません。それ自体がツッコミに対するリズムを生み出し、観客の笑いを引き出すキーポイントとなっているのです。
「漫才」や「コント」というと、どうしても言葉のやりとりや設定に目が行きがちですが、クールポコ。のネタは、そうした視点に加えて“動き”の巧みさ、舞台上での“空気感”の共有が非常に重要です。その土台を担っているのが、いわゆる「餅をつく役」。言葉で笑わせるだけでなく、所作ひとつで笑いを誘うそのスキルに、多くの人が気づき始めたのです。
■ SNS時代における再ブレイク
2020年代に入り、YouTubeやTikTokなどのショート動画プラットフォームの台頭により、過去のネタが再評価されたり、新しい形で拡散されたりする例が多々見られています。クールポコ。もその波に乗り、かつてのネタがSNSでバズを起こしたことがきっかけで、若い世代にも認知が広がっています。
再ブレイクの仕掛けとして効果的だったのは、“親子で笑える”という点でしょう。時にはおじいちゃん世代が懐かしみ、時には子どもがマネをする──そんなシーンが全国の家庭で生まれているのです。世代を超えた笑いとして、安全で安心感があり、心が温まるような芸が今再び求められているとも言えます。
■ お笑いと日常の共通点
「餅をつく役」が話題になるという事象は、一見ユニークに映りますが、これは私たちの生活にも広く通じるテーマでもあります。たとえば、職場でのサポート役や、家庭での裏方的な役割を担う人々。何かを支えるために表に出ないけれど、確実にそこにいて全体の流れを支えている存在は、どの社会にも存在します。
そして、そうした役割には目立った評価がなされにくいことが多いのも事実です。しかし、今回のクールポコ。のように、「縁の下の力持ち」に光が当たることは、現代日本が求めている“共感と敬意”の象徴でもあるように感じられます。
■ まとめ
「な～にぃ!? やっちまったな！」──このフレーズに代表されるクールポコ。の笑いが、単なる流行りを超えて再び注目されている理由には、“笑いの本質”とも言えるものが潜んでいます。それは、誰かがいて、誰かを支える役割があるということ。そして、そのすべてが一つの舞台で調和しているということ。
舞台の上で餅をつく芸人、そしてその芸に声を重ねるもう一人の芸人。二人の息の合ったパフォーマンスに、まさに「べらぼうに」魅了される人たちが増えています。再評価された“餅をつく役”は、現代社会が求める多様な価値や、それぞれの役割への敬意の現れかもしれません。
ユーモアの役割は、人と人とを繋ぎ、時代を越えて笑い合える場を生み出すこと。クールポコ。の存在は、それを体現していると言えるでしょう。
これからも彼らが作り出す独自の世界に、ますます期待が集まります。
