滋賀県の結婚支援で成婚急増！地域を挙げた「ご縁づくり」の取り組みとは？
少子化、未婚率の上昇、晩婚化——。日本が直面するこれらの社会課題に対応するため、各自治体では様々な取り組みが進められています。そんな中、近年注目を集めているのが滋賀県の結婚支援施策です。その成果は顕著で、民間のマッチングアプリと自治体が協力した取り組みなどにより、成婚数が急増しているという報告もあります。
本記事では、滋賀県がどのような工夫で結婚希望者たちを後押ししているのか、背景にある社会的な課題や取組内容、成果、そして今後の展望について詳しく紹介します。
なぜ今、自治体による結婚支援が注目されるのか？
日本全国で少子化が深刻化している中、政府や地方自治体は出生数の回復を重要な政策課題と位置づけています。特に、若者の未婚率の上昇や、そもそも出会いの機会が少ないという現代的な課題に対して、自治体レベルで支援を行う動きが加速しています。
結婚は基本的に個人の自由であり、ライフスタイルも多様化した現代では「結婚支援」による公的関与は難しい面もありますが、それでも「結婚したいが出会いがない」というニーズに応える施策は、多くの人々に支持されはじめています。
特に地方では、人口減少や過疎化への危機感が強く、若者の定住・Uターン促進の観点からも、結婚・出産・子育てを地域ぐるみで支える体制を整える必要性が高まっています。
滋賀県の取り組みの特徴：民間と行政の連携で効果倍増
滋賀県ではこれまでにも、結婚に関する支援策を継続的に行ってきましたが、2022年から特に大きな動きがありました。それは、民間の婚活支援事業者「Pairs（ペアーズ）」との提携による「しが出会いサポートセンター」運営の大幅な強化です。
このセンターでは、対象となる県民に対し、専門のアドバイザーによるサポートや、年10回以上の出会いイベントを開催するなど、婚活に本気で取り組みたい人への後押しを行なっています。さらに、オンラインでのマッチング機能や、スマートフォンから簡単に申込できる利便性も向上させています。
こうしたデジタルとリアルを融合させた「ハイブリッド型」の支援が功を奏し、わずか1年で実際に結婚に至るカップルの数が顕著に増加しました。
成果は数値にも表れており、2023年度には滋賀県の支援を通じて「成婚」となった件数が前年比で約3倍に増加。これは、他県に比べても圧倒的に高い水準であり、全国的に注目される成功モデルとなりつつあります。
利用者の声：「安心感」が大きな後押しに
実際に滋賀県のサービスを通じて結婚に至ったカップルからは好意的な声が多く寄せられています。
「ただアプリで出会うだけではなく、プロのアドバイザーに相談できるのが心強かった」「イベントでは自然な形で異性と交流でき、安心して関係を深めることができた」など、出会いのきっかけだけでなく、その後のフォロー体制が評価されています。
特に女性利用者からは、「安全・安心な環境で婚活ができる」という自治体主導の取り組みに対する信頼感が高く、真剣な出会いを求める人々に選ばれているようです。
また、参加者の年齢層は幅広く、20代後半から40代、さらには子育てが一段落した再婚希望の方まで、多様なニーズに対応したプログラムが展開されている点も、利用しやすさに繋がっています。
地域全体で「ご縁づくり」の風土を育む
滋賀県のユニークな点は、単なる婚活の場を提供するのではなく、「ご縁づくり」を地域全体で支えるスタンスにあります。たとえば、県内企業と連携して若手社員同士の交流会を開いたり、地元の名所を活用した婚活イベントを企画したりと、地域ぐるみで出会いの場を作る工夫が随所に見られます。
こうした取り組みは、結婚という個人のライフイベントに対して、地域社会も「応援者」として寄り添っていくという、新しい風土を築きつつあります。婚活事業者だけでなく、地元自治体や企業、NPOなど様々な主体が連携することで、活動の幅と深さが一層増しています。
今後の展望と課題
滋賀県の取り組みは多くの成果を上げていますが、今後さらに発展させるためにはいくつかの課題も存在します。
ひとつは、結婚支援サービスの「継続性」です。単年で成果を出すことと同時に、継続的にユーザーを増やし、参加者の定着を図る仕組み作りが求められます。また、都市部と比べて交通インフラが限られる地域では、「実際に会う機会が持ちづらい」という課題もあります。これらに対応するためには、より柔軟なオンライン交流や、地域ごとのニーズに合ったプログラムの充実が鍵となるでしょう。
さらに、結婚を希望しない層や、結婚後の生活までを見据えた支援も視野に入れる必要があります。つまり、「結婚支援」は単にマッチングするだけでなく、恋愛、交際、結婚、そしてその後の暮らしまで、一貫した視点での支援体制が必要となってきます。
まとめ：滋賀県の挑戦が全国のモデルケースに
滋賀県が展開する結婚支援は、「出会い」にとどまらず、「地域に根ざした安心感あるご縁づくり」という新しい価値を提供するものです。民間との連携、デジタル技術の活用、地域との一体的な取り組みという三本柱により、短期間で目に見える成果を上げている点は、多くの自治体にとって参考になるアプローチだと言えるでしょう。
今後、全国で同様の取り組みが広がっていくことで、結婚や子育てを通じた幸せを支える社会的なインフラが強化されていくことを期待したいと思います。
一人ひとりが望めば、きっと誰もがすてきなご縁に出会える。そのための手助けを、行政が本気でサポートする時代が始まっています。滋賀県の挑戦は、これからの日本における「人と人とのつながり」のあり方に、一石を投じているのかもしれません。
