2024年6月24日から、ついにiPhoneでマイナンバーカードの機能を使えるようになる新たなサービスが開始されました。これにより、これまで物理的なカードでしかできなかったさまざまな手続きや本人確認が、スマートフォン、特にiPhone上で完結できるようになります。
近年、日本政府はデジタル庁を主導に「デジタル化」の推進を掲げており、その中心にはマイナンバーカード(以下マイナカード)の普及と活用があります。また、生活に欠かせないスマートフォンとの連携強化は、国民の利便性を高める重要な一歩とされています。この記事では、iPhoneへのマイナ機能搭載の背景から、そのメリット、今後の展望までをわかりやすく紹介していきます。
iPhoneでマイナンバーカードの機能が使えるように
2024年6月24日より、本格的にスタートするのが、iPhoneにマイナカード機能を搭載するシステムです。これにより、iPhoneユーザーは専用のアプリを通じてマイナンバー機能にアクセスできるようになります。
具体的には、「スマホ用電子証明書搭載サービス」と呼ばれており、iOSの機能を活用して、安全に本人認証が可能になります。これにより、コンビニでの住民票の取得、各種行政手続き、健康保険証の利用、確定申告などのオンライン申告にこれまでのような物理カードを持ち歩くことなく、スマートフォン一つで完結できるようになります。
このサービスに対応しているのは、まずはAppleのiPhone 8以降の機種とされています。専用アプリをインストールし、必要な設定を行うことで、スマートフォン自体がマイナカードと同等の機能を持つことになります。
利用方法は?
マイナ機能をスマートフォンに搭載する際、まず必要なのは専用アプリのダウンロードです。2024年6月24日以降、App Storeから「マイナポータルアプリ(仮称)」など、対応アプリを入手できるようになります。
その後、セキュリティコードや本人確認を経て設定を完了すると、iPhoneに内蔵されているセキュアエンクレーブ(Secure Enclave)という、高度なセキュリティ機能を持つ領域にデータが保存されます。これはApple Payなどのモバイル決済でも利用されている技術であり、非常に高い安全性を誇る仕組みです。これにより、悪意ある第三者からの不正アクセスを防げるよう設計されています。
この手続きには、初回の登録時に物理的なマイナカードを使用する必要があるため、一度設定を済ませてしまえば、その後はカードを持ち歩く必要がなくなります。
なぜiPhoneなのか?
これまでにもAndroid端末では一部機種においてマイナンバー機能の搭載がスタートしていましたが、国内でiPhoneユーザーの割合は約半数とされており、やはり大多数の国民にとって使いやすいプラットフォームとの連携は不可欠です。
政府は当初からスマートフォンとの連携を強化する方針を打ち出しており、Androidに続いてiPhoneユーザーにも同様の利便性を提供することで、より多くの人がマイナカードを日常的に活用できる環境が整っていきます。
この「スマホにマイナンバー搭載」という仕組みが整えば、各種オンライン申請や行政手続きの負担が大幅に軽減されることが期待されます。例えば、コンビニでの各種証明書の発行も、スマホひとつで行えるようになれば「わざわざカードを取り出す」「暗証番号を打ち込む」といった操作も、最小限にとどめることが可能です。
利便性と安全性――どちらも両立
マイナカードをスマホに取り込むメリットで最も大きいのはやはり「利便性の向上」です。忘れがちな物理カードの代わりに、常に持ち歩いているスマートフォンでさまざまなサービスが利用できるというのは、生活スタイルに馴染んだ自然な流れと言えるでしょう。
一方で「スマホに重要な個人情報を入れるのは不安」と感じる方も少なくないはずです。しかし、ここで活躍するのがAppleが提供するセキュリティ技術です。Appleのスマートフォンには、先述の「Secure Enclave」のほか、Face IDやTouch IDによる個人認証、「二要素認証」や「暗号化通信」の徹底など、高度なセキュリティレイヤーが随所に施されています。
また、もしスマホを紛失した場合でも「デバイスのリモートロック」や「データ消去」などの機能によって、個人情報の漏洩リスクを極力低く留められるよう配慮されています。これらの機能を総合的に組み合わせることで、利便性と安全性を両立しています。
今後の展望と課題
iPhoneにマイナンバー機能が追加されたことで、今後は生活におけるあらゆる場面でスマートフォン活用の幅がさらに広がっていくと見られています。行政手続きに限らず、医療機関での本人確認や、災害時の公的支援、教育関連の証明書発行など、多様なシーンでの活用が期待されます。
一方で、スマホ利用が難しい高齢者や、スマートフォンを持っていない方へのサポート体制もしっかりと構築していく必要があります。また、マイナンバーカードそのものの制度的理解やセキュリティへの信頼感を高めていく取り組みも今後の大きな課題となるでしょう。
さらに、自治体ごとに異なるオンラインサービスへの対応や、アプリの使いやすさといったユーザー体験の向上も重要なポイントです。テクノロジーが日々進化する中で、その恩恵を誰もが受け取れるような「包摂的(インクルーシブ)」なデジタル社会の構築が求められます。
まとめ:iPhoneでマイナンバーを、私たちの暮らしにもっと身近に
iPhoneにマイナカード機能が搭載されることは、私たちの生活をより便利に、そしてスマートに進化させる大きなステップです。毎日持ち歩くスマートフォンで、役場に行かなくても様々な手続きが完了する未来。それを一歩現実に近づける試みとして、今回の取り組みには大きな期待が寄せられています。
今後も技術と制度とが手を取り合って、一人ひとりの暮らしを支える道具としてマイナンバーの利活用が進んでいくことが望まれます。そしてこの進化が、誰にとっても安心・安全で、使いやすく、日常に溶け込んだものになっていくような工夫が積み重ねられていくことでしょう。
限られた機器から始まったこのスマホマイナカード時代――数年後には、私たちが何気なくスマホをタップすれば、さまざまな公的サービスにシームレスにアクセスできる、そんな「新しい日常」が当たり前になっているかもしれません。技術の進歩がよりよい暮らしを届けてくれるよう、私たち一人ひとりも前向きにその変化を見守っていきたいものです。