ノルウェーの伝説的ポップ・バンド「a-ha」のボーカル、モートン・ハルケット氏が、パーキンソン病を患っていることを公にしました。このニュースは、多くのファンに衝撃をもって受け止められましたが、同時に彼の勇気ある決断に感動と励ましの声も数多く寄せられています。
1980年代から世界中でヒットを飛ばしてきたa-haは、代表曲「Take On Me」で一世を風靡し、今もなお多くの音楽ファンから愛され続けているグループです。その象徴的な高音ボイスと、クールで繊細な音楽性は、ポップ・ミュージックの一時代をつくりあげました。そんなバンドの中心的存在であるモートン・ハルケットの公表には、世界中のファンが深い関心を寄せています。
この記事では、モートン・ハルケット氏が明かしたパーキンソン病のこと、a-haのこれまでの歩み、そして病とともに歩むこれからの彼の姿勢について詳しくご紹介します。
■ モートン・ハルケット、勇気ある告白
2024年6月に入ってから報じられたこのニュースによると、モートン・ハルケット氏はパーキンソン病と診断されたことを公式に公表しました。パーキンソン病とは、脳の神経細胞が徐々に機能を失い、運動障害などさまざまな症状を引き起こす進行性疾患です。症状の進行は人それぞれで、治療法はいまだ確立されていないものの、近年では薬物療法やリハビリを通じて、生活の質を維持することも可能になってきています。
モートン氏はこの公表にあたって、自身の今後の音楽活動への影響についても触れました。病気による制約があることは否定しませんでしたが、「音楽をやめるつもりはない」と、これまでと変わらぬ情熱を語っており、多くのファンに希望を与えています。
■ 世界に衝撃を与えた「Take On Me」
a-haといえば、「Take On Me」の名を挙げる人が圧倒的に多いでしょう。この曲は1984年にリリースされ、翌1985年にアメリカをはじめとする国際的なヒットを記録しました。その魅力はモートン・ハルケットの3オクターブに及ぶ声域、耳に残るメロディライン、そして斬新なアニメーションによるミュージックビデオにあります。特にビデオは当時革新的とされ、MTV時代の象徴的作品となりました。
この曲を皮切りにa-haは「The Sun Always Shines on T.V.」「Hunting High and Low」などのヒットを次々と世に送り出し、北欧から世界的ポップ・スターの道を切り開きました。彼らの成功は、音楽業界におけるジャンルや国境の壁を越えた新たな可能性を示したと言っても過言ではありません。
■ 変わらぬ創作意欲とメッセージ
モートン・ハルケット氏がパーキンソン病と闘いながらも音楽活動を継続するという決断は、多くの希望を与えてくれます。年齢的にも60代後半に入った彼にとって、病気との共生は決して簡単ではないはずです。しかし、彼は「できる限りステージに立ち続けたい」という思いをはっきりと語っています。
加えて、今回の公表を通じて、パーキンソン病という疾病についての認知がさらに広がることが期待されます。社会的には非常に影響力のある存在である彼が、自らの病についてオープンに語ることは、多くの患者やその家族にとっても勇気付けられるものでしょう。そして、それが結果としてこの病に対する偏見の解消や、治療研究の支援へとつながっていくことにもなります。
■ 音楽ファンの声と今後のa-ha
モートン氏の発表に対して、SNSなどにはファンからの応援メッセージが多数寄せられました。「病気でもあなたは私たちのヒーロー」「歌い続けてくれるだけで幸せ」「あなたの音楽にどれだけ救われてきたか分からない」など、その一つひとつにa-haというバンドが世界中に築いてきた絆の深さが感じ取れます。
なお、a-haは現在も活動を継続しており、近年はツアーも開催されています。コロナ禍で中止や延期を余儀なくされた時期もありましたが、それらを乗り越え、2020年代に入ってから再び積極的にステージに立つ姿が見られるようになっていました。今回の発表が彼らのグループ活動にどのような影響を与えるかは未定ですが、モートン氏の強い意志からすれば、可能な限りファンの前で音楽を届け続ける覚悟があることは確実でしょう。
■ 病とともに歩む人生、そして未来へ
パーキンソン病は、誰にとっても決して軽いものではありません。しかし、それを公表し、なお創作の場へ立ち続ける意志を見せたモートン・ハルケット氏の姿は、多くの人にとって「生きることの意味」、「自分自身の人生をどう選び取るか」を考えさせてくれるものとなりました。心から拍手を贈りたいと思います。
私たちができることは、彼の音楽をこれからも聴き続けること、彼の発信するメッセージに耳を傾けること、そしてパーキンソン病という病気に対する理解を少しでも深めていくことです。その積み重ねが、次第に大きな共感と支援の輪をつくり出していくことを願います。
a-haはこれまでも、そしてこれからも、私たちの心の中に美しい音楽を届けてくれる存在であることには変わりありません。モートン・ハルケット氏のこれからの歩みに、心からのエールを送りたいと思います。