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40代からの住宅ローン破たんリスク──家を失わないために知るべき現実と対策

近年、日本社会では住宅ローン破たんのリスクが深刻化しており、特に40代以降の世代において顕著な傾向が見られています。2024年5月27日に配信された報道「住宅ローン破たん 40代以降に警鐘」(Yahoo!ニュース)によると、住宅ローンの返済に困難を抱え、最終的に住宅を手放さざるを得ない「任意売却」や「競売」に至る家庭が増えている現状が浮き彫りになりました。

本記事では、この現象の背景と具体的なリスク、そして将来に備えるための対策について詳しく掘り下げていきます。

■ 「住宅ローン破たん」とは何か?

住宅ローン破たんとは、主に住宅ローンの返済ができなくなることによって、金融機関とのトラブルが発生し、最終的に住宅を手放す事態に至ることを指します。延滞が続くと、住宅は任意売却もしくは競売の対象となり、家を失うだけでなく、信用情報にも傷がつき、再びローンを組むことが困難になります。

破たんに陥った場合でも、残債(ローン残高と売却価格の差額)が発生し、それを返済し続けなければならないケースも少なくありません。

■ 40代以降に急増する破たん件数

報道によると、近年、任意売却の相談件数において最も多い年代は40代で、次に多いのが50代です。この年代は、ローンの返済期間がまだ長期にわたる中で、子育てや教育費、介護といったライフイベントに重なって家計がひっ迫する傾向があります。

また、多くの人が住宅を購入する時期は30代後半から40代前半であり、ローンの返済が継続する中、加齢に伴って収入が頭打ちになることも影響しています。さらに、転職や失職、病気などの不測の事態が起こると、生活のバランスが崩れ、ローンの返済に支障が出るリスクが高まります。

■ フラット35や変動金利の落とし穴

報道では、破たんに至る背景として、住宅ローンの仕組みそのものにも問題があると指摘されています。近年人気の「フラット35」などの長期固定金利型ローンや、低金利が魅力の変動金利型ローンは、初期の条件が魅力的に見える一方、返済額の予測が難しいことがリスクにつながります。

たとえば、今後、物価の上昇や政策金利の変更によって変動金利が上昇すれば、当初の想定よりも返済額が大きくなり、家計への圧迫感が増します。また、見通しの甘い「ライフプラン」や「家計の見積もり」も、返済困難の一因となりかねません。

■ ライフスタイルの多様化と住宅ローンのミスマッチ

近年、日本人のライフスタイルは大きく変わりつつあります。共働き世帯の増加や、働き方の柔軟化、副業やフリーランスなど新たな雇用形態が広がる中、従来型の「終身雇用と定期昇給」に頼った住宅ローンの設計はリスクが非常に高くなっています。

また、「家を所有すること」への価値観自体も変化しており、都会を離れて地方での暮らしを選ぶ人、シェアハウスや賃貸物件を選ぶ人も増えています。しかし、これまで主流だった30〜35年ローンを長期にわたって返済し続ける形は、変化する人生設計に合わないケースも多くなっているのが現実です。

■ 任意売却という選択肢

住宅ローンの返済が困難になった際には、まずは金融機関へ返済のリスケジュール(支払い条件の変更)を相談することが選択肢の一つです。それでも解決が難しい場合、「任意売却」という手段も検討されます。

任意売却とは、債権者(銀行など)と相談の上、住宅を市場価格で売却し、その売却代金をローンの返済に充てる手続きです。競売よりも高値で売却できる可能性があり、手続きも比較的円滑に進むケースが多いとされています。さらに、残債に関しても交渉次第で返済条件の緩和が期待できる場合もあります。

ただし、自己判断では限界があるため、専門の不動産業者やファイナンシャルプランナーと連携することが重要です。

■ 防ぐためにできること

住宅ローン破たんという苦しい状況にならないためには、購入前から慎重なシミュレーションが必要です。年収や現在の家計状況だけでなく、将来の収入の見通し、病気・失業などの不測の事態も想定したうえで、無理のない返済計画を立てることが基本です。

また、次のような対策も有効です。

1. 予算の見極め
国や金融機関が提示する「借入可能額」ではなく、家計にとって無理のない「返済可能額」を軸に住宅の価格帯を決めるのが賢明です。

2. 固定費の見直し
住宅ローン以外の固定費(保険料、通信費、教育費など)を定期的に見直すことで、家計にゆとりを持たせることが可能です。

3. 万が一に備えた貯蓄と保険
病気や失業など、収入が途絶えた時にも生活を維持できるよう、生活防衛資金として最低でも3か月〜半年分の生活費を準備しておきたいところです。また、医療保険や就業不能保険などを活用することも一案です。

4. 情報のアップデート
金利の動向や住宅ローン減税制度、各自治体の支援制度など、常に最新情報にアクセスし、ライフイベントごとにローン内容や返済方法を見直すことも大切です。

■ 最後に

住宅は、多くの人にとって人生最大の買い物です。同時に、長期にわたる責任とリスクが伴います。特に40代以降は、人生の後半戦をどう乗り越えるかが重要なテーマになります。総務省の統計では、定年退職年齢の70歳に達するまで、ローンの返済を続ける人もおり、老後の資金不足にもつながる可能性があります。

「住まい」は人生の基盤であり、家族の安心にもつながるもの。だからこそ、焦らず、自分たちの生活設計に合った判断が必要です。

住宅ローンをめぐるリスクを真剣に受け止め、将来に向けて賢く備えることが、家族の安心と豊かな暮らしにつながります。早め早めの情報収集と対策が、「住宅ローン破たん」という最悪の事態を回避する鍵となることでしょう。