Uncategorized

新米と古米、驚きの違い──香り・甘み・保存法まで専門家が徹底検証

炊きたてのご飯が食卓に映える季節。新米を店頭で目にすると、ふっくらとした甘みのある味わいを連想し、思わず手に取りたくなる方も多いのではないでしょうか。一方、家庭にはまだ昨年のお米が残っているというケースも少なくないでしょう。気になるのは、新米と古米は本当に味が異なるのか、保存しておいたお米はどのように変化するのか、という点です。

今回、専門家が実際に「新米」と「古米」を炊いて食べ比べ、味や香り、舌触りなどを詳細に分析したというニュースが話題を呼んでいます。この記事では、その内容をもとに、新米と古米の違いや、おいしさを保つための保存方法などについて解説していきます。秋の味覚の代表格であるお米の世界を、少し深掘りしてみましょう。

■「新米」と「古米」の違いとは?

まず「新米」という言葉の定義から確認しましょう。一般に、新米とは「その年に収穫された米で、収穫された年の年内、または翌年の夏前くらいまでに出回る米」を指します。一方、それ以降に出回る前年の収穫米は「古米」と呼ばれます。つまり、表記には明確な基準があるわけではありませんが、消費者が新しさを感じる一つの目安となっているわけです。

お米は時間が経つにつれて水分が抜け、米粒の粒子構造も徐々に変化していきます。このため、新米の特徴である「水分量が多く」「もちもちとした食感」が時間とともに失われていくのです。

■専門家による食べ比べ実験

今回のニュースでは、一般社団法人日本精米工業会の理事であり、お米の保存や品質に関する専門家である大坪宏樹さんが、新米と古米を炊き比べした様子が紹介されています。

使用されたのは、いずれも同じ産地・銘柄のお米。炊き方も完全に同じ手順を用い、違いが味にどう現れるかを徹底比較しています。実際に食べてみたところ、新米は「香りが華やかで、食感はふっくらもちもち、甘みも強い」との評価。一方、古米は「香りはやや落ち着き、粒が固く感じられる。甘みもやや薄れる」といった印象だったといいます。

つまり、同じ産地・品種であっても、時間の経過だけでこれほどまでに違いが出るというのは驚きです。

■おいしさの差は「水分」がカギ

お米のおいしさの違いに関わる大きな要因の1つが「水分量」です。収穫したてのお米には約15~16%の水分が含まれており、これが炊飯の際、もちもちとした柔らかさを生み出します。しかし、時間が経つと自然に水分が抜けていき、結果的に炊き上がりの食感に差が生まれます。

また、水分が抜けることにより、でんぷん質の構造も変化し、炊飯時に甘みを引き出す要素が減るため、風味にも影響が出ます。決して古米が「まずい」というわけではありませんが、お米本来の香りや甘み、食感にこだわるのであれば、新鮮なうちに食べるのがベストです。

■保存状態も味を左右する

とはいえ、購入したお米をすぐに食べきることは難しいもの。そこで重要になるのが「保存方法」です。お米は高温や湿気に弱く、光にも影響を受けやすい食品です。保管する場合には以下のようなポイントを押さえておくと良いでしょう。

1. 密閉容器に入れる
購入した袋ごと保存するよりも、密閉できるプラスチックやガラス容器の方が湿気や酸化を防ぎやすくなります。

2. 低温で保存する
お米は15℃以下の冷暗所での保存が理想です。夏場や室温が高い季節は冷蔵庫の野菜室などを活用するとよいでしょう。

3. 匂いの強いものの近くに置かない
お米は周辺の匂いを吸収しやすいため、石鹸や調味料の近くに置くのは避けてください。

これらのポイントを意識するだけで、時間が経ってもある程度おいしさを保つことが可能です。

■古米でもおいしく食べる工夫

もし家に古米が残っている場合でも、ちょっとした工夫でその味わいを引き出すことができます。たとえば炊飯時に以下のような方法を試してみてください。

・水の量を気持ち多めにする
古米は水分が抜けているため、やや多めに水を加えることでふっくらと仕上げることができます。

・冷蔵庫で一晩浸水する
炊飯前に冷たい水に一晩浸けることで、水をじっくり吸収させることができ、炊き上がりが改善されます。

・少量の酒や昆布を入れる
炊飯時に小さじ1のお酒や昆布を加えると、風味が増し、旨味が引き立ちます。

こうした一手間を加えることで、古米でも十分においしく食べることができ、食品ロスの削減にもつながります。

■お米との付き合い方を見直してみよう

お米は日常的に口にする最も身近な主食の一つです。しかし、「新しいか古いか」で味わいがここまで変化するとは、あまり意識していないという方も多かったのではないでしょうか。

新米の季節は、お米本来の甘みや香りをダイレクトに楽しめる絶好のチャンスです。ぜひお気に入りの産地や銘柄の新米を手に入れ、旬の味を堪能してみてください。一方で、家にある古米も工夫しながら最後までおいしくいただくことができます。無駄にせず、丁寧に食材を扱うことは、食への感謝とともに、日本の食文化を尊重する一歩ともいえるでしょう。

お米は、ただ炊いて食べるだけでなく、「選び方」「保存の仕方」「炊き方」など、小さな工夫でその魅力が何倍にも広がる食材です。この秋、新米と古米の違いを味わいながら、自分なりのお米のおいしさを再発見してみてはいかがでしょうか。