2024年5月30日、元横綱・白鵬(現・宮城野親方)が日本相撲協会に退職届を提出した、というニュースが大きな話題となっています。数々の歴史的偉業を成し遂げ、「平成・令和の大横綱」としてその名を刻んだ白鵬関の引退後の進路に関するこの突然の発表は、多くの相撲ファンにとっても予想外だったのではないでしょうか。
本記事では、元白鵬が築いてきた土俵人生を振り返りつつ、今回の退職届提出の背景や今後の展望について、多くの方にわかりやすくお伝えいたします。
■ 史上最多優勝を誇る元横綱・白鵬
白鵬翔(はくほう しょう)氏は1985年モンゴル・ウランバートル出身。本名はムンフバト・ダヴァジャルガル。父はオリンピック銀メダリストであるジグジド・ムンフバト氏という格闘技一家の血を引き、日本相撲界においてもその圧倒的な強さで知られてきました。
2001年に来日し、宮城野部屋に入門。2004年には史上3番目の若さ(当時)で幕内昇進。以後、めきめきと頭角を現し、2007年には第69代横綱に昇進しました。以降は相撲界を牽引し続け、2021年に引退するまでに幕内優勝回数45回、最多勝通算1187勝という前人未到の記録を残しました。特に2010年前後には、まさに「白鵬時代」ともいえるほどの圧倒的な強さを誇り、相撲人気の立て直しにも貢献しました。
■ 引退後は宮城野部屋を継承
2021年に現役を引退し、横綱から親方へと転身した白鵬氏は、それまで在籍していた宮城野部屋を継承し、指導者としての新たな道を歩んできました。これまで多くの力士の育成にも力を注ぎ、「育てる相撲」への挑戦にも積極的な姿勢を見せていました。
若い弟子たちには自ら稽古をつけ、しばしばスパーリングも行い、「現役以上に稽古をしている」と言われるほど。相撲に対する真摯な姿勢は、相撲ファンだけでなく関係者からも注目されていました。
■ 今回の退職届提出の背景
今回の退職届提出の背景について、報道によれば、かねてより元白鵬と日本相撲協会との間にはいくつかの問題が指摘されていました。まず、監督責任を問われた不祥事や、弟子による不適切な行動などにより、理事会からのけん責処分を受けたこともあります。
今年に入ってからは、宮城野部屋の運営に関して協会から調査が入り、親方業務に関する問題が取り沙汰されていました。そうした背景が続いた末に、今回、自ら退職届を提出された可能性が高いとみられています。
なお、相撲協会は退職届を受理するかどうかを現在も検討中であり、正式に退職が認められるには理事会での審議が必要とされています。したがって、現時点では「退職届が提出された」が、事実として確認されている情報です。
■ 元白鵬に対する多くのファンの声
この知らせを受けて、多くのファンからSNSなどでさまざまな反応が寄せられています。
「引退してからも相撲界を盛り上げようとしていた白鵬さん、お疲れ様です」
「やっぱり白鵬は偉大な横綱だった。退職は残念だけど、これからの道での成功を祈る」
「色々な意見があるけれど、記録にも記憶にも残る相撲人だったよね」
など、惜しむ声とともに、今後の活動にエールを送るコメントが多く見受けられます。もちろん、指導のあり方や組織内での立場をめぐり、さまざまな議論もあるとは思います。しかし、それを乗り越えてきた過去があり、この経験を今後にどう活かしていくかが注目されています。
■ 引退後のビジョンについて
白鵬氏は常々、「相撲のグローバル化」や「相撲道の継承」に関心を持っていると語ってきました。特にモンゴルと日本、両国の文化を繋ぐ架け橋としての役割を意識しており、海外との交流事業や相撲の普及活動にも積極的でした。
将来的には、母国モンゴルでの相撲普及やスポーツ振興、また次世代を担う若手力士の育成を通じて、相撲界全体の発展に寄与したいという思いも強いようです。
今後、親方としてではなく、別の形で相撲界と関わる可能性も十分に考えられます。プロスポーツの世界では、競技者としてだけでなく、文化アンバサダーや育成者、解説者など、多様な関わり方が模索されている時代です。白鵬氏もその一員として、新たなステージでの活躍が期待されます。
■ おわりに:白鵬の相撲道はどこへ続くのか
元白鵬は、現役時代には前人未到の記録で相撲界の歴史を塗り替え、引退後も宮城野部屋の親方として若手育成に力を注ぎました。その熱い情熱と行動力があったからこそ、これだけ多くの人々の記憶に深く刻まれているのだと思います。
たとえ形式的に協会を退職したとしても、その功績や思いは、多くの相撲ファン・スポーツファンの心に残り続けるでしょう。そして何よりも、彼がこれからどのような形で日本やモンゴル、世界に貢献していくのかという点に、大いなる期待が寄せられています。
これまでお疲れさまでした。そして、これからも新たな挑戦に向けて、どうかその道が明るいものでありますように。
また、相撲界がこうした個人のあり方を柔軟に受け止め、多様な価値観を持つ人々が活躍できる場であり続けることを、いちファンとしても願ってやみません。