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大人もハマる“ねるねるねるね”現象──懐かしさと体験が織りなす新たなブーム

かつて一世を風靡した知育菓子「ねるねるねるね」。1986年にクラシエ(当時はカネボウ)のロングセラー商品として登場して以来、子どもたちの「作る楽しさ」「食べるおもしろさ」を体験できる菓子として、30年以上にわたり多くの家庭に親しまれてきました。そんな「ねるねるねるね」が、今、新たなターゲットとして20代以上の大人世代にもリーチし始めているというニュースが注目を集めています。

今回は、この「ねるねるねるね」がなぜいま再び脚光を浴びているのか、大人に支持されている背景、メーカーとしての狙い、そしてSNSなどを通じたユーザーとの新しい接点などを中心に、その魅力と展望を探っていきます。

子どもたちの夢が詰まった「ねるねるねるね」

「ねるねるねるね」は、水に粉を混ぜて練ることでふわふわした不思議な食感のキャンディができあがるという“作る過程”を楽しめる知育菓子です。原色に近い鮮やかな色合い、泡立つ音と視覚のインパクト、そして何より「魔法のように姿が変わる」過程が話題となり、発売当初から爆発的な人気を誇りました。

あの特徴的なCM、「ね〜るねるねるね」は、練れば練るほどおいしくなる〜、という軽快なキャッチフレーズや、不思議なおばあさんのキャラクターが登場するインパクト満点の映像は、今でも記憶に残っている人も多いのではないでしょうか。小学生時代に一度は体験したという人も少なくないでしょう。

時代を超えて愛される商品でありながら、やはりその主なターゲットは子どもたちでした。しかし令和の今、新たな動きが生まれています。

Z世代・ミレニアル世代の“懐かしさ”にリーチ

クラシエの調査によれば、「ねるねるねるね」は10代だけでなく、20代以上の購買層もじわじわと拡大しているとのことです。とくに、20代~30代の若年成人層が中心となって、「懐かしいお菓子」としての位置づけで購入するケースが増えています。

この動きの背景には、彼らが子どものころに体験した“思い出のお菓子”としての心理的効果があるでしょう。幼少期に親しんだ商品を、大人になって改めて手に取ることで、懐かしい記憶がよみがえり、ちょっとした癒しや話のタネになるのです。

また、近年のライフスタイルの変化やSNS文化の浸透も、こうした復刻的消費を後押ししています。何気ない日常の中で「おうち時間」を楽しむ、大人同士で童心に返って遊ぶような感覚、またはInstagramやTikTokで「懐かしい商品をやってみた」と話題にするなど、「思い出」と「新しさ」を融合させたコンテンツとして再評価されています。

そのため、クラシエでは2024年から大人をターゲットにしたマーケティング施策を本格化。パッケージデザインやコンセプトにおいても、従来の子ども向けのポップな印象だけではなく、大人が手に取りやすいように意識した展開を行っています。

“美味しさ”よりも“体験価値”を重要視

「ねるねるねるね」の魅力は、単なる味の良さだけでは語れません。このお菓子の最大の特徴は、「自分の手で作り、自分で変化を楽しむ」というプロセスです。

近年、流行しているDIYやセルフメイド文化、または“体験消費”というキーワードは、この商品と非常に相性が良いのです。多くの消費者は「自分で作る楽しさ」「科学実験のような面白さ」に価値を見出しています。そして、それをSNSで発信することで、誰かと共有できるのが、また一段と楽しい。

クラシエ側も体験価値をPRの柱としており、「食べる前のプロセスがこれほど楽しいお菓子は他にないのでは」との自信がうかがえます。

さらに、2024年には「超ねるねるねるね」といった期間限定・企画型パッケージや、新しいフレーバーの展開なども実施されています。従来の子ども向けグレープ味などだけではなく、レモンやソーダといったスッキリ系の味わいも増えたことで、より幅広い層が楽しめるようになってきました。

親子で楽しむ“共体験”に

今日の家族の過ごし方もまた、「ねるねるねるね」復活の追い風になっています。親になった世代──つまり、かつて子どもだった20代後半〜30代の親たちが、自分の子どもと一緒に「ねるねるねるね」を作るという、いわば“親子での共体験”が実現しているのです。

「自分が小さい頃に食べていたお菓子を今、子どもと一緒に作って楽しむ」。そんなエモーショナルなストーリーは、ファミリー層の心をつかみ、自然とSNSや口コミを通して話題が広がっていきます。

代々続く“文化継承”とまでは言えないかもしれませんが、手軽な家庭内の楽しみとして、現代のライフスタイルに寄り添った商品であることは間違いありません。

今後の展望:リブランディングとさらなる進化へ

クラシエは今後、さらに“ねるねるねるねブランド”の再強化に力を注ぐとしています。新たな大人向けフレーバーの開発、SNSとの連携企画、有名クリエイターとのコラボレーションなど、柔軟な戦略が進行中です。

近年では、食品そのものが「体験」として消費されるケースが増加しており、ただ味や値段だけでない「楽しさ」や「驚き」が購買動機の1つとなっています。「ねるねるねるね」はまさにそのニーズを満たすユニークな存在であり、今後もさまざまな形で生活者の心をつかんでいくことでしょう。

まとめ:童心に返る魔法の粉、“ねるねるねるね”の可能性

かつて子どもたちの夢中になったお菓子が、大人になっても再び人々の心をくすぐる。それは「ねるねるねるね」がただの食品ではなく、記憶とつながる“体験”であるからこそと言えます。

日々忙しく過ぎる生活の中で、ちょっとした「遊び心」や「癒し」を求めたとき、手に取る選択肢として“ねるねるねるね”がある。そんな未来が、今まさに現実のものとなりつつあります。時代を超えたロングセラー商品が、第二の黄金期を迎えようとしているのです。

ぜひ、皆さんも童心を思い出して、もう一度「ねるねるねるね」を楽しんでみてはいかがでしょうか。きっと、新しい発見と小さなワクワクが待っていることでしょう。