近年、日本の高校生たちの間で懐かしさと新しさが融合したユニークなトレンドが静かに再燃しています。そのトレンドとは、「バッグにじゃらじゃら」としたアイテムをつけるスタイル。2000年代に一世を風靡したこのスタイルが、令和の高校生たちの間で再び人気を集めはじめました。
この記事では、この「高校バッグにじゃらじゃら」ブームが再燃している背景や、現在のスタイル、学生たちの思い、そして社会全体がどのようにこのカルチャーを受け止めているのかを紐解いていきます。
■ バッグに「じゃらじゃら」と付ける文化とは?
「じゃらじゃら」とは、文字通りバッグにキーホルダーやぬいぐるみ、缶バッジ、ラバーストラップといった装飾アイテムをたくさんぶら下げるスタイルのことを指します。この文化は2000年代初頭に一度盛り上がり、中高生たちの定番スタイルとして定着していました。
当時はプリクラやキャラクターグッズ、アニメなどのアイテムを通じて自分らしさを表現する手段として、バッグをキャンバスに自身の好みや個性を描いていました。数年の自然な衰退を経た後、令和に入りSNS文化の浸透とともに再評価の波が押し寄せてきています。
■ なぜここにきて再流行しているのか?
このスタイルの再流行の大きな要因は、一つにはSNSでの拡散力にあります。TikTokやInstagramなどで、個性的なバッグ装飾を紹介する動画や投稿が人気となり、それを見た全国の高校生たちが「自分もやってみたい」と真似をする形で広がっています。
中でも、自分の「推し(好きなアイドルやキャラ)」を表現する「推し活」が重要なキーワードです。缶バッジやぬいぐるみをバッグに付けることで他の人にも自分の“推し”を知ってもらえる。まさに移動するポスターや看板のような役割を果たしています。
さらに、オンライン上での人とのつながりが中心になる昨今、現実社会において自分を表現できる数少ない場として、通学バッグが選ばれたとも言えるでしょう。
■ どんなアイテムが人気?
バッグに付けられるアイテムは多岐にわたりますが、特に人気なのが「キャラクター系のぬいぐるみ」や「アクリルキーホルダー」、そして「オタク系グッズ」です。特にアニメやゲームで活躍するキャラクターのアイテムは、男女問わず人気があります。
ラバーストラップは色や形状、キャラの個性を手軽に取り入れられるため、手頃な価格帯で多くの学生が購入しています。また、SNSでの「見せ方」を意識したアイテム選びもトレンドの一部。映えるようにカラーコーディネートを工夫したり、写真映えする配置を考えたりと、まさにSNS時代ならではの進化と言えるでしょう。
■ 保護者や学校の反応は?
この「じゃらじゃら」スタイルに対しては賛否両論があります。ある保護者は「個性の表現として良い」と前向きに捉える一方、「通学の安全上や校則の観点から心配」と話す声もあります。
実際、学校によっては「無断でのキーホルダー装着禁止」や「ぬいぐるみによる自己主張を控えるように」という指導も見られます。集団生活の中で個性を尊重しながらもバランスが求められるため、学校側と生徒、保護者の間での対話がこれまで以上に大切になってきています。
しかし近年は多様性への理解が進んできており、「むしろ昔よりも寛容な姿勢になっている」と話す教員もいます。生徒たちが節度を持って自己表現を楽しむことができれば、こうしたスタイルも一つの文化として成立していくことでしょう。
■ 自分らしさと仲間とのつながり
「じゃらじゃら」には単なるファッション以上の意味も含まれています。それは“自己紹介”であると同時に、“仲間意識”の表明です。たとえば通学中、同じキャラクターのぬいぐるみを持っている学生同士が自然と目を合わせて「同担ですね!」と話しかけるような場面も生まれています。
このようなつながりが、特にSNSに慣れ親しんだ世代にとっては重要な意味を持ちます。現代の若者にとって、自分らしさを主張する一方で、人とのつながりを大切にしたいという思いが、バッグという普段使いのアイテムを通して表現されているのです。
■ 今後の「じゃらじゃら」文化はどうなる?
このトレンドは一過性のものにとどまらず、ファッション・カルチャーとして定着する可能性もあります。多くの若者は、自分らしさを表現することの大切さを肌で感じており、それを抑えつけるのではなく、時代に即した形で広がっていくことが期待されます。
今後はよりサステナブルでエシカルな商品が注目されたり、一点もののハンドメイドアイテムによって個性を強調する流れが一層強まる可能性もあります。そして何よりこのスタイルは、自己肯定感を育てたり、人との交流を生む新しいコミュニケーションツールとしても機能していくでしょう。
■ まとめ:個性と多様性を大切にする心
「高校バッグにじゃらじゃら 再流行」という現象は、ただのファッションの流行ではなく、現代の若者たちの心のあり方を象徴するひとつの表現方法でもあります。
自分の「好き」を恐れず表現する力、仲間とつながり絆を深める手段、そして時には悩みながらルールとのバランスを考える姿勢。今を生きる高校生たちは、こうした日常の中に自らのアイデンティティを重ねているのです。
大人たちもこの文化を理解し、否定するのではなく、対話を通じて見守っていくことが、若者たちのより良い成長につながります。
「じゃらじゃら」バッグにぶら下がっているのは、ただの小物ではありません。それは青春の一ページであり、彼ら自身の“物語”なのです。