2025年に開催される大阪・関西万博に向けて、多くの期待と準備が進められている中、ひときわ注目を集めているのが「万博おばあちゃん」として知られる80代の女性、岡本文子(おかもと・ふみこ)さんです。彼女は、これまでの歴代万博をすべて現地で体験してきたという驚くべき記録を持つ女性であり、まさに日本の「万博史」を体現している存在です。
そんな岡本さんが、2025年大阪・関西万博の開幕500日前を迎えた記念式典に参加し、特別ゲストとして登場しました。今回は、その式典の様子や岡本さんのこれまでの万博への歩み、そしてこれから開催される大阪・関西万博への期待についてご紹介いたします。
万博を愛し、万博に愛された女性
岡本文子さんが初めて万博を訪れたのは1970年、大阪で開催された「日本万国博覧会(通称:大阪万博)」がきっかけでした。当時30代だった岡本さんは、未来と進歩を感じさせる万博の雰囲気に感銘を受け、それ以降、世界中で開催される万博に足を運び続けてきました。
歴代の万博には、スペインのセビリア万博(1992年)、ドイツのハノーバー万博(2000年)、中国の上海万博(2010年)、そして直近ではアラブ首長国連邦のドバイ万博(2020年開催、実際にはCOVID-19の影響により2021年〜2022年にかけて開催)などが含まれています。これらすべてを現地で体験したという事実は、多くの人々に感動と尊敬の念を抱かせています。
その行動力と継続力はもちろんのこと、万博を通じて世界の文化や技術の進歩を自分の目で見続けてきた岡本さんは、まさに生きた「万博アーカイブ」とでも言える存在です。
2025年大阪・関西万博への思い
今回、500日前の節目を祝う記念イベントでは、岡本さんが特別ゲストとして登壇し、自らの万博への思いや思い出を語りました。そのスピーチでは、1970年の大阪万博の「太陽の塔」に初めて出会ったときの衝撃、アジア初の開催として注目を集めた上海万博のスケール感、そしてドバイ万博での持続可能性への取り組みなど、多くの貴重な体験談が披露されました。
「私は万博に夢をもらった。そして、世界に目を向けるきっかけをもらった」と語る岡本さんの言葉には、重みと説得力がありました。自らの万博体験を次世代に伝えることにも意欲的で、今では大学での講演や地域のセミナー、SNSでの発信など、精力的に活動を続けています。
また、これまでの万博では目にする機会がなかったような新しい技術、たとえばAIやIoT、カーボンニュートラルな建築物などが、2025年の大阪・関西万博では数多く展示される見込みです。岡本さんは「大阪万博のときは未来の乗り物として空中交通を想像していた。今まさに、それが実現する時代が来ている」と語り、未来への希望を抱き続けるその姿勢が印象的でした。
式典での感動的な一幕
この日の記念式典では、岡本さんの過去の万博訪問の記録をもとに制作された映像が上映されました。映像の中には、世界各国のパビリオンを前に笑顔を見せる岡本さんの姿や、現地での交流風景などが収められており、会場に集まった人々の中には思わず涙ぐむ人の姿も見受けられました。
主催者側からは、岡本さんの長年にわたる万博への貢献と情熱に感謝の意を込めて、特製の記念メダルと花束が贈呈されるサプライズもありました。また、岡本さんがこれまでに訪れた万博の入場券コレクションも特別展示され、まるで一人の人生を通じた万博史のようでした。
未来を担う若者たちへのメッセージ
式典の終盤、岡本さんは来場していた学生たちに「世界にはまだまだ知らないこと、素晴らしい出会いがある。ぜひ、自分の目で確かめてほしい。人とのつながりが未来を切り開く」と熱いメッセージを送りました。
岡本さんの話に耳を傾けていたある大学生は、「自分の祖母と同じような年齢の女性が、こんなにもアクティブに世界を旅していたなんて信じられない。自分も万博をきっかけに視野を広げたい」というコメントを残しており、まさに彼女の物語が世代を超えて人々の心に届いた瞬間でした。
大阪・関西万博に向けて、私たちができること
岡本さんのように、万博という舞台を通じて新たな世界とつながるチャンスを手にしてきた人々の存在は、私たちにとって大きなインスピレーションです。大阪・関西万博は2025年4月13日から10月13日まで開催される予定であり、そのテーマは「いのち輝く未来社会のデザイン」と定められています。これは、テクノロジーの進歩と人間性の調和を目指し、「自分ごと化」できる未来を探る場となるでしょう。
万博は世界中の人々が集い、文化と技術、価値観を共有する場所です。今回の式典を機に、「行ってみたい」「参加したい」と思う方が増えたなら、岡本さんの情熱は確実に次の世代へと受け継がれていると言えるでしょう。
岡本さんのように、誰もが「最初の一歩」を踏み出すところから万博との物語が始まります。2025年、未来を体験する絶好の機会が私たちを待っています。この貴重なイベントを、ぜひ皆さんの人生のページに加えてみてはいかがでしょうか。