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岩崎ひろみ、夫・平田満の“専業主夫引退”を報告 家庭を支えた20年に感謝と敬意

俳優・岩崎ひろみさん、長く支えてきた“専業主夫”の夫・平田満さんの引退を公表

2024年6月3日、日本の芸能界に静かな驚きと温かい感動が広がった。女優・岩崎ひろみさん(47)が、自身の公式ブログを通じて、俳優の旦那・平田満さん(70)が家庭を支える「専業主夫」としての役割を一旦終えたこと、つまり事実上の“引退”を報告したのだ。

岩崎さんは「今日が最終日でした」という言葉とともに、感謝と敬意が込められた文章を綴った。投稿の中で彼女は、育児と家事を一手に担ってくれた夫への思い、そして今後の夫婦のかたちを前向きに語っている。この投稿は、家庭における役割分担や、夫婦として互いを支え合う生き方に新たな視点を提示するものとして、注目を集めている。

■夫・平田満さんとは

岩崎ひろみさんと結婚した平田満さんは、数々の舞台や映画、テレビドラマで知られる実力派俳優として長年活躍してきた人物だ。1953年、愛知県出身の平田さんは、早稲田大学在学中に演劇活動を始め、劇団「青年座」に所属。その後、唐十郎主宰の「状況劇場(現:唐組)」へ。1980年代を代表する舞台俳優として頭角を現す。

映画において特に記憶に残るのは、1982年公開の小林正樹監督作品『復讐するは我にあり』への出演や、黒澤明監督作『乱』への出演など、日本映画界において重厚な存在感を放ってきた役者だ。また、NHK大河ドラマや連続テレビ小説にも多数出演しており、2020年代に入ってからも、舞台『アルジャーノンに花束を』などで主演を務めるなど、歳を重ねてもなおその演技力には高い評価を受け続けていた。

だが、そんな名俳優が、ある時期から俳優業を控え、自らの役割を“家庭”に置くようになる。彼が専業主夫という選択をした背景には、家族への深い思い、特に3人の子どもたちの成長を間近で支えたいという願いがあった。

■妻・岩崎ひろみさんの再出発

岩崎ひろみさんは、元子役から芸能界に足を踏み入れた人物である。1976年、東京都で生まれ、6歳の頃から劇団いづみに所属。1990年代にはNHK連続テレビ小説『ふたりっ子』(1996年 – 1997年)で大きく注目を集めた。同ドラマでの双子姉妹の役は印象的で、多くの視聴者の記憶に残っている。以降、数々のドラマや映画、舞台で活動し、演技の“芯の強さ”と“柔らかい人間力”を併せ持つ女優として安定したポジションを築いた。

私生活では2000年に平田満さんと結婚。その後、3人の子宝に恵まれたが、家庭と仕事の両立は並大抵のものではなかった。特に、芸能界という不安定な世界で母として、女優として立ち続けるには、家庭でのバックアップが不可欠であった。

岩崎さんはブログで、「3人の子どもたちを育てるために、彼がどれだけの労力と愛情を注いでくれたか」と感謝を込めて語っている。家事と育児の中心を担う“専業主夫”として夫が時に自らのキャリアを後回しにしてでも家庭を支える姿は、多くの人にとって特別であり、また希望となるモデルだった。

■家庭という舞台で演じきった名優

平田満さんが「専業主夫」として20年以上家庭を支え続けた年月は、彼にとって「芸能界のスポットライトを浴びた時間」と同じくらいか、それ以上に意味のあるものだっただろう。彼は、表舞台での名演と同じように家庭という裏舞台でも誠実に、粛々と演じたのである。

今回、平田満さんが“専業主夫”としての役を「引退」する決断をした背景には、子どもたちが成長して独り立ちし、家庭にかかる物理的な負担が少し軽くなったことがあるだろう。また、歳を重ねたことで自らの人生における「次の一幕」への自然な移行だったとも考えられる。

岩崎さんは、「我が家の大黒柱である彼には感謝しかありません。それができる男を支えるのが私の仕事でした」と語っている。一見すると逆のように思われがちな言葉の中に、夫婦としての絆、深い理解、そして互いの人生への敬意が垣間見える。

■夫婦の新たなステージへ

今回の報告は、“引退”という言葉が持つネガティブな印象を覆す清々しさがある。それは、「家庭での役割を終えた後も、夫婦は新しいかたちで並び立つことができる」という、大人の夫婦の理想形を私たちに見せてくれるからだ。

巷間では、「男が外で働き、女が家庭を守る」という旧来型の価値観が今なお残っている部分もあるが、岩崎夫妻のように、夫婦が互いのキャリアや人生のタイミングを尊重し合い、適切に役割を切り替えて協働生活を送る形は、これからの時代に求められる“夫婦像”のひとつだろう。

また、かつては舞台と映画に生きた平田満さんがこれからどのような“第二の人生”を歩むのか、ファンの間でも注目されている。演劇教育への道、エッセイ執筆、あるいはゆっくりと夫婦で世界を旅する生活——。どの道だとしても、大きな拍手が送られるに違いない。

■おわりに

人生には多くの舞台がある──スクリーンの上も、舞台の上も、そして家庭の日常もまた舞台である。そのすべてに真摯に臨み、役割をまっとうした平田満さん、そしてそれを共に歩んできた岩崎ひろみさん。二人の夫婦の姿は、芸能界という枠を超えて、より多くの人にとって希望と勇気を与える存在である。

これからも夫婦として、新たな人生の章を紡ぐ二人の姿が、誰かの「先にある光」となることを願ってやまない。