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別れたはずが恐怖に変わる時――元恋人がストーカー化した時の対処法と心の守り方

元交際相手がストーカーに…対処法と心のケアを考える

あれほど親しかった人が、別れを境に一転して自分を追いかけ、強い執着や監視、場合によっては恐怖を与える存在になってしまう——。そんな元交際相手のストーカー被害が、近年深刻な社会問題となっています。警察庁の統計によると、ストーカー事案のなかでも「面識のある者」、とくにかつて交際していた相手による被害が最も多いとされており、誰もが当事者になり得る現代の重要な課題です。

今回は「元交際相手がストーカーになった場合の対応策」について、法的措置、日常の対策、そして心のケアといった視点から具体的な対処法をご紹介します。加えて、こうした被害に直面した方々が少しでも安心して過ごせるよう専門機関のサポート情報もまとめました。

なぜ元交際相手がストーカー化するのか?

元交際相手がストーカー行為に至る背景には、さまざまな要因があります。代表的なものは、「相手への未練」や「復縁願望」、「別れの原因に対する憤り」、「自己愛の喪失」などが挙げられます。

とくに、別れ方によっては相手の自尊心が傷つき、『納得できない』『許せない』といった感情が加速し、それがコントロールを失った言動へとつながるケースがあります。一時的な執着なら変化する可能性もありますが、それがエスカレートすると、ストーカー行為に発展することも珍しくありません。

ストーカー行為に該当する行動とは?

ストーカー行為とは、つきまといや監視、無言電話、無断での訪問、SNSでの執拗なメッセージ送信など、相手が明確に拒否しているにも関わらず、それを無視して繰り返される迷惑行為を指します。これらは、ストーカー規制法により刑事罰の対象となる違法行為であり、放置しておくと危険性が増すだけでなく、自分の生活にも大きな支障をきたします。

「たかが元恋人だから…」「一時的な感情でしょ」といった油断は禁物。最悪の場合、傷害事件など深刻な犯罪に発展することもあります。そのため、早期の段階で対応することが大切です。

具体的な対応策

1. 連絡を全て遮断する

まず大切なのは、相手との連絡手段を完全に絶つことです。電話番号の変更、メール・SNSアカウントのブロックや非公開設定、場合によっては引っ越しなどを検討するケースもあります。

ストーカー行為は、「相手が自分に関心を持ってくれている」と歪んだ解釈をされてしまうことがあります。たとえ反論や警告であっても、それ自体が“接点”となってしまうことがあるので、絶対に返信せず、徹底して無視することが有効です。

2. 記録を残して証拠を確保する

相手が嫌がらせメールを送ってきた、待ち伏せされた、無言電話が続いた——こうした行為は、法律に基づいた対応のために記録しておくことが重要です。具体的には、LINEやSMSのやりとりのスクリーンショット、時間や頻度の記録、訪問の写真や監視カメラ映像、音声などを収集しておきましょう。

証拠があることで、警察や弁護士に相談する際に対応がスムーズになりますし、加害者の行動を客観的に判断してもらう手助けにもなります。

3. 警察へ相談・ストーカー規制法による対処

一人で抱えず、すぐに警察へ相談することを強くおすすめします。ストーカー行為はたとえ元恋人でも犯罪行為であり、立派な被害者として扱われます。

警察に相談することで、「警告」や「禁止命令」、「緊急時の一時保護」といった対策が可能になります。2021年の法改正以降、ストーカー規制法はSNS上での迷惑行為やGPSによる追跡行為など、より現代的な手段による被害にも対応できるようになっています。

また、地元の警察署によっては「生活安全課」にストーカー・DV被害専用の窓口がありますので、まずは電話相談から始めても良いでしょう。きちんと相談した記録を残すことで、今後のトラブル防止にもつながります。

4. 民事的措置(弁護士への相談)

刑事的な対応に加えて、民事訴訟や接近禁止の仮処分申請なども有効です。今後の生活の安全を確保するうえで、法的措置による保護命令を申し立てることが可能なケースもあります。費用や手続きに不安がある場合は、弁護士相談を無料で受けられる自治体の支援を調べて利用しましょう。

心のケアも大切

ストーカー被害は、単なる恐怖体験にとどまらず、心身に深い影響を及ぼす可能性があります。常に監視されているような感覚、不安、眠れない夜、外出時の緊張感など、心のストレスは計りしれません。

必要であれば、専門のカウンセラーや、女性支援センター、精神科のクリニックに相談し、心の負担を和らげるためのサポートを受けましょう。また、近しい友人や家族に話すことで、孤立を防ぎ、日常生活に安心感を取り戻す手助けにもなります。

頼れる支援機関を知っておこう

以下のような機関では、ストーカー問題に対して無料で相談を受け付けています。

・警察相談専用電話:#9110
・女性の人権ホットライン:0570-070-810
・内閣府「女性相談支援センター」
・民間支援団体(NPO法人等)によるサポート

また、各自治体ごとに「DV相談窓口」や「法律相談窓口」が設けられています。なかには、弁護士や心理カウンセラーに無料で相談できる日を設けているところもありますので、積極的に活用しましょう。

まとめ:一人で悩まず、正しい手順で自分を守る

ストーカー被害は、誰にでも起こりうる現実です。とくに元交際相手という関係性から、対応に悩んだり、ためらってしまうこともあるかもしれません。しかし、あなたの安全や心の安定が最優先です。

「これはストーカーかも…?」と思ったら、できるだけ早期に証拠を集め、信頼できる家族や警察、支援機関に相談をしましょう。一歩踏み出すことで、自分の人生を取り戻す大きな力になります。

安心できる日々を取り戻すために、一人で抱え込まず、一緒に考え、行動してくれる人たちを頼ってください。あなたには、守られるべき権利があります。どんな状況であっても、声を上げることを恐れないでください。