東京ディズニーリゾートで広がる「ぬい活」ブームと運営側の見解について
今、東京ディズニーリゾート(TDR)を訪れる若者の間で「ぬい活(ぬいぐるみ活動)」が話題となっています。ぬい活とはお気に入りのぬいぐるみを持ち歩いたり、写真を撮影したりして、そのぬいぐるみとの日常を楽しむ活動です。このぬい活がTDRの来園者の間でも盛んになってきており、SNSを中心に多くの投稿が見られるようになりました。しかしながら、その一方でマナー面に関する問題も指摘されており、議論が分かれています。
そのような状況を受けて、TDRを運営するオリエンタルランドが公式に見解を示しました。それによると、ぬい活そのものは楽しみ方の一つとして歓迎されているものの、他のゲストに迷惑をかける行為は控えて欲しいというのが基本的なスタンスです。本記事では、TDRにおけるぬい活の実態、賛否の声、そして運営側の対応について詳しく見ていきます。
ぬい活とは?若者を中心に広がる新しい楽しみ方
「ぬい活」という言葉は、近年SNSでも頻繁に使われるようになった造語で、ぬいぐるみを主役にしたアクティビティ全般を指します。お気に入りのキャラクターのぬいぐるみを外に連れて行き、風景とともに写真を撮影して思い出を残す人もいれば、ドール服を着せ替えたり身の回りのグッズを揃えたりすることで、より個性的で愛着のある存在に仕上げる人もいます。
TDRの場合、多くのゲストがディズニーキャラクターのぬいぐるみ、特にダッフィー&フレンズシリーズをお供に来園しています。特に最近では、ぬいぐるみ用の小型ベンチやカート、バッグなどを用いて“ぬい撮り”(ぬいぐるみの写真撮影)を楽しむ来園者が増加しており、その投稿はInstagramやTwitterなどで「#ぬい活」「#ぬい撮り」「#ダッフィー」で検索すると多数閲覧できます。
このように、ぬい活は単なるぬいぐるみ好きの趣味にとどまらず、来園者自身の体験をより豊かに演出する手段として支持を集めています。
ぬい活の中で生じるマナーの課題
一方で、ぬい活が盛んになるにつれて、多くの人が集まるテーマパーク特有の問題も顕在化しています。主に指摘されているのは、以下のような点です。
1. 撮影のためにスペースを占有する
ぬい撮りのためにアトラクション前やフォトスポット、レストランのテーブル上などにぬいぐるみを配置し、長時間場所を占有してしまうケースが問題視されています。特に混雑時においては、他のゲストが写真を撮る妨げになりかねないとの意見もあります。
2. 撮影補助器具の使用
一部のゲストは、ぬいぐるみの複数配置や安定性を保つために撮影用スタンドやカートを持ち込むケースがあります。これらは通行の邪魔になったり、誤って倒れて他のゲストに当たることがあるなど、安全面での懸念が示されています。
3. 一般ゲストとの感覚の違い
ぬい活に情熱を注ぐゲストにとっては、ごく自然な行為でも、ぬい活に馴染みのない一般のゲストからすると「過剰に感じる」「浮いて見える」といった声もあり、そのギャップが目立ちつつあります。
オリエンタルランドの公式見解
これらの批判的な声や混雑時のマナーに関する指摘が増えてきた中で、TDRの運営元であるオリエンタルランドは、公式に取材に応じ、明確なスタンスを示しました。
まず、ぬい活そのものについて「多様な楽しみ方の一環であり、皆様にご自身のスタイルで楽しんでいただけることを歓迎しています」としています。つまり、ぬい活はTDRでの一つの楽しみ方として認識され、全面的に否定されているわけではありません。
その一方で、「他のお客様のご迷惑とならないようお願いしています」とし、特に下記のような行為については注意喚起を行っています。
・公共のスペースや通路をふさぐような撮影行為
・レストランなどでの長時間のテーブル占有
・撮影用の大型機材やカートの使用
運営側としては、すべてのゲストが快適に楽しめる環境作りに努めたいという立場を強調しており、一部の迷惑行為がぬい活全体の印象を損なうことへの懸念も示しました。
ファンによる自制と配慮の大切さ
ぬい活は比較的新しい文化ではありますが、それが急速に広がった背景には、ディズニーキャラクターに対する深い愛着と、思い出を大切にしたいという来園者の想いがあります。その想いが形になって「ぬい活」という表現に結びついている以上、この楽しみ方を否定するのではなく、どう共存していくかを考えることが求められます。
実際に多くのぬい活を楽しむファンの中には、「周囲の目に配慮して、撮影は空いている場所や時間帯を選ぶ」「撮影は短時間で終えるようにしている」など、自覚的にマナーを意識して行動している人も多く存在します。
また、SNS上では自ら撮影の工夫やマナーの心がけを発信することで、ぬい活に興味を持った人たちへ正しいマナーを広めようとする動きも見られています。ぬい活文化を末永く続けていくためには、こうした一人ひとりの意識と行動が何よりも大切です。
まとめ:誰もが気持ちよく楽しめるテーマパークへ
東京ディズニーリゾートは、子どもから大人まであらゆる世代が夢の世界を楽しめる特別な場所です。その中でぬい活が一部のゲストにとって欠かせない楽しみ方となっていることは、今の時代の多様な価値観を象徴する変化とも言えるでしょう。
しかし、どれほど素晴らしい文化であっても、他のゲストの快適な体験を阻害してしまっては本末転倒です。「自分たちさえ楽しければ良い」という姿勢ではなく、「みんなが気持ちよく楽しめる空間を一緒に作ろう」という意識が求められる今だからこそ、運営側とゲストそれぞれの歩み寄りが重要です。
ぬい活をめぐる今回の運営側からの見解は、決して禁止を意味するわけではなく、あくまで適切なマナーとバランスを保ちましょうという提案でした。ぬいぐるみとの大切な時間をより素敵なものにするためにも、是非とも周囲への配慮を忘れずに、これからもぬい活文化を楽しんでいきましょう。