「推し」の地位を揺るがす真剣交際報道──Snow Man・岩本照が世間に突きつけた“アイドルのあり方”とは
2024年6月6日、人気グループ・Snow Manのリーダーである岩本照(いわもと・ひかる)さんが、女優・山本舞香さんとの真剣交際を報じられ、芸能界とSNSを中心に大きな波紋を広げています。この報道は、一部のファンからは祝福の声が上がる一方で、「推しに裏切られた」「夢が崩れた」と落胆する声も見受けられ、ジャニーズ(現・STARTO ENTERTAINMENT)所属のトップアイドルの交際に対する日本のファンダムの複雑な感情を浮き彫りにしました。
「アイドル=恋愛禁止」が暗黙の了解とされてきた日本の芸能界において、今回の報道がもたらす意味は決して小さくありません。しかし、ここで一度立ち止まり、岩本照という人物のこれまでの歩みと、彼が今このタイミングで公となった交際をどのように選んだのかを丁寧に見つめ直すことで、私たちが“アイドルという存在”について再考する契機にもなり得るのではないでしょうか。
Snow Manのリーダーとして、努力でグループを牽引
岩本照さんは1993年5月17日、埼玉県で生まれました。2006年にジャニーズ事務所に入所し、5年後となる2011年に、滝沢秀明氏が率いるジュニア内ユニット「Snow Man」の前身グループに参加しました。その後約8年の下積み期間を経て、満を持して2020年1月にSnow ManがCDデビュー。同時にSixTONESと共に“令和のジャニーズ第1弾”として音楽シーンに登場し、以降続く大ブレイクの流れをつくることになります。
岩本さんは、Snow Manの最年長メンバーであり、精神的支柱としてグループを引っ張る存在です。そのリーダーシップとストイックな姿勢は、メンバーやファンからも熱く支持されています。筋トレが趣味で、「SASUKE」にも出演経験があるほどの肉体派アイドルでもあり、その努力と生真面目な性格は、まさに今までの“アイドル像”を地で行く存在とも言えるでしょう。しかし一方で、彼自身も2020年に“未成年とのラブホ飲酒騒動”で一定期間活動を自粛した経験があり、その際には厳しい目が注がれたものの、誠実な謝罪と地道な活動で信頼を取り戻してきたという過去もあります。
報道の相手・山本舞香さんとは
交際相手とされた山本舞香さんは1997年10月13日生まれ、鳥取県出身の女優・モデル。ファッション誌「ニコラ」の専属モデルとして10代から活躍を始め、その後はドラマ『幽かな彼女』や『チア☆ダン』などで存在感を示し、近年では主演作も多数持つなど、若手実力派として注目されてきました。男勝りな性格と率直な物言い、親しみやすいキャラクターで、女性ファンからの支持も厚い人物です。
彼女もまた、過去には俳優やアスリートとの熱愛が取り沙汰されたこともあり、多くの憶測や噂に晒されてきた存在。それだけに、今回の報道において岩本さんとの真剣交際が「何度か破局と復縁を繰り返したうえで関係を紡いでいた」というニュアンスで伝えられ、2人の間にある確かな信頼関係に注目が集まっています。
報道の衝撃、ファン心理、そして変わりゆくアイドル像
とはいえ今回の報道を受け、SNSでは一部ファンからの動揺や戸惑いの声が止みませんでした。「岩本くんだけは信じていた」「努力家だからこそ、恋愛はしないと思っていた」といった落胆の声が相次ぎ、一方で、「一人の男性として幸せであってほしい」「真剣交際ならむしろ好感が持てる」と祝福の気持ちを示す人も多く見受けられました。
Snow Manは、デビュー4年で『紅白歌合戦』出場、ドームツアーの成功、音楽チャートの連続1位など、名実ともに現代ジャニーズを代表するグループに成長しています。その中で、特に岩本さんは「安心感のあるリーダー」として絶対的な信頼を勝ち得てきた存在です。そして、だからこそ「恋愛=裏切り」と認識されやすい土壌があることも否定できません。
このような反応は、長年にわたって「アイドルは恋愛をしないもの」という不文律が文化として根付いてきた日本だからこそ強く現れるものかもしれません。しかし、時代は確実に変わりつつあります。
世界ではBTSを筆頭に、交際報道に寛容なファンダムが形成されつつあり、韓国や欧米ではアイドルが人生の一部として恋愛や結婚をすることも“応援の対象”となりつつあります。日本においても、King & Princeの平野紫耀さんや木村拓哉さんといった先輩たちがある種の“実績”を重ねてきた今、アイドルといえども一人の人間であり、時間とともに恋愛や家庭を考えるのは自然なこと——という価値観が少しずつ広まってきています。
岩本照が示す“これからのアイドル”の姿
今、岩本照さんに問われているのは、「恋愛が発覚したこと」そのものではありません。本質は、それをどう受け止め、どのようにファンと対話していくか、そしてこれまでと変わらず、あるいはそれ以上のパフォーマンスや誠実さで応えられるか——という点にあるのではないでしょうか。
岩本さんはこれまでも幾多の困難や誤解を乗り越え、努力で信頼を勝ち取ってきました。ファンと向き合う姿勢、リーダーとしての責任感、何より芸能人としての真摯なスタンスは、彼の最大の魅力であり、今回もそれは変わりません。
「推す」という行為が、ただ理想像を追うだけではなく、“その人の人生すべてを見守ろう”とする成熟したファンダムによって支えられる時代が来ようとしています。願わくは今回の報道が、アイドルでありながら一人の人間として幸せを目指す岩本照さんを、より深く理解する一助になることを望みます。
彼の恋愛が、ファンからの信頼と愛を得て「美談」となる日は、きっとすぐそこまで来ているのかもしれません。