俳優の哀川翔(あいかわ・しょう)が、2024年6月10日に公開されたインタビューで語った愛車・トヨタ「FJクルーザー」への熱い思いが、多くのファンの心を揺さぶっている。この記事では、彼のこれまでの経歴とともに、彼がなぜこの車に深い愛着を持っているのか、その背景を掘り下げていく。
哀川翔は1961年、鹿児島県に生まれ、幼少期を北海道で過ごした。その後、上京し俳優としての道を歩み始める。1980年代にはテレビドラマ『ときめきざかり』や『野望の王国』などで注目を集め、またVシネマ(ビデオ映画)界では一時代を築いた存在である。「Vシネの帝王」とも呼ばれた哀川は、ヤクザ映画やアクション映画などで数多く主演してきた。その強面な外見とは裏腹に、バラエティ番組やCMではユーモアに溢れた一面も見せ、広い年齢層のファンに愛される存在となっている。
そんな哀川だが、彼のもうひとつの顔として知られているのが「車好き」だ。特にアウトドアやカスタムカーへの情熱は有名で、自宅にガレージを持ち、自身でも工具を手に取って愛車をいじることも多いという。今回紹介されたトヨタ「FJクルーザー」は、そんな哀川の遊び心とこだわりを形にした一台だ。
FJクルーザーは、トヨタが2006年から製造していたクロスカントリータイプのSUVで、日本国内では2010年から2018年まで販売されていた。ジープのような角張ったレトロなデザインと、オフロード走行を重視したパワフルな性能が特徴で、現在では絶版モデルながら中古車市場でも高い人気を誇る。哀川はそのFJクルーザーを買ってから約10年、趣味のカスタムと日常使いの両方で愛車として乗り続けている。
インタビューの中で哀川は、「この車は自分の“遊びの相棒”」と語っている。アウトドア好きの彼にとって、FJクルーザーの存在は単なる移動手段ではなく、“遊びを通して人生を豊かにするパートナー”なのだ。車の外装はオールブラックで統一され、ノーマルの良さを活かしつつ、細かい部分には独自のアレンジが施されている。特にタイヤやホイールにはこだわっており、「ゴツすぎず、でもしっかりとした存在感を放つカスタムに仕上げたかった」と哀川は語る。
また、哀川のFJクルーザーには、モノトーンカラーの内装や、ナビや音響など最新の装備も搭載され、彼のライフスタイルに合わせた“実用性と個性の共存”が見事に体現されている。そして、多忙な仕事の合間を縫っては、愛車と共にキャンプやドライブに出かけるという。森の中で友人たちと焚き火を囲みながら、哀川は自身の人生を振り返る時間を楽しむのだ。
哀川翔は車だけでなく、虫取りのマニアとしても知られている。特にカブトムシのブリーダーとして雑誌などでも紹介されるほどの腕前を持つ。車いじりと昆虫採集──これらは一見無関係だが、自然と向き合い、自分の手で何かを作りあげるという点で、共通した“職人魂”が感じられる。
多くの人がSUVやクロカン車を“見た目重視”で選ぶ中、哀川翔はそれを“生活の一部”として、自分なりに育て、乗りこなしている。その姿は「飾らないカッコよさ」を体現しており、多くの人が憧れる理由のひとつだろう。
哀川は今後もFJクルーザーに乗り続ける考えで、「この車はもう手放すつもりはない。ちゃんと整備すれば30万キロでも走れるし、まだまだ一緒にいられる」と語っている。車の寿命を単なる“走行距離”では測らず、“思い出の深さ”として捉える哀川の姿勢からは、物への深い愛情と、人とのつながりを何より大切にする彼の人間性が伝わってくる。
人生の中で経験する様々な出会いや別れ、その中で変わらない“道具”として愛車が存在することは、どこか詩的でもある。哀川翔にとってFJクルーザーは、ただの車ではなく、自身の人生そのものを支えてくれる“旅の伴侶”なのだ。
俳優として40年近く走り続けてきた哀川翔。近年は若手俳優との共演やバラエティ番組でも活躍し、新たな世代との交流を楽しみながら、なおも“現役”であり続けている彼の姿は、多くの人に勇気と希望を与えている。そんな彼の原点にはいつも、『本物志向』と『遊び心』、そして“物を大切にする心”がある。
このFJクルーザーには、哀川翔という一人の男の生き方が詰まっている。彼がこの先何万キロ走り続けようとも、その横にはきっと、黒光りするFJクルーザーの姿があるに違いない。