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“踊れないジャニーズ”が切り拓いた道──俳優・風間俊介、唯一無二の存在へ

俳優・風間俊介の柔らかくも芯のある生き方──「ジャニーズなのに踊れない」に見えた希望

2024年6月、俳優・風間俊介がTBS系列で放送される日曜劇場「ブラック・ペアン シーズン2」に出演することが発表され、再び注目を集めている。卓越した演技力と鋭い知性を武器に、テレビドラマや映画、声優業、さらには情報番組やナレーションと幅広いジャンルで活躍する彼は今、俳優として唯一無二の存在感を放っている。

風間俊介は1983年生まれ、東京都出身。芸能界入りのきっかけは、中学1年生だった1997年、ジャニーズ事務所への入所だった。当時、いわゆる「ジャニーズJr.黄金期」。堂本光一や長瀬智也を筆頭に若手イケメンタレントたちがこぞって脚光を浴びていた時代である。

だが風間は、いわゆる「王道のジャニーズ」とは異なる道を歩んだ。ダンスも歌も苦手で、彼自身も「自分は事務所内では異端だった」と、後年振り返っている。しかし、それでも風間は、持ち前の探究心と演技への情熱で新しい居場所を開拓していくことになる。

2000年に放送された『3年B組金八先生 第5シリーズ』で彼は一躍注目される存在となった。演じたのは、薬物に手を染めて自らの人生を狂わせていく問題児・兼末健次郎役。当時まだ10代だった風間は、難しい役どころを繊細かつ圧倒的なリアリティで演じ、「ジャニーズにこんな俳優がいたのか」と視聴者、業界関係者の間に衝撃を与えた。

この作品での表現力が高く評価され、それ以来、連続ドラマや舞台、声優、ナレーションとジャンルを超えて多くの作品に出演するようになった。2011年にはNHK連続テレビ小説『純と愛』でヒロインの相手役を務め、俳優としての評価をさらに高める。2019年には『麒麟がくる』で大河ドラマにも初出演を果たし、着実にキャリアを築いていった。

特筆すべきは、タレント・司会業での存在感だ。彼の冷静沈着かつ穏やかな語り口、確かな知識力で、TBS『王様のブランチ』ではリポーターとして、朝の情報番組『ZIP!』では月曜メインパーソナリティとしてレギュラー出演。アイドル出身でありながらニュース原稿を安定して読める数少ない存在として信頼を獲得した。

まさに「アイドルにとって演技は付随的なもの」という固定概念を壊し、「ジャニーズ出身」に縛られず、自らの足で人生を切り拓いてきたのが風間俊介である。

そして今、彼が俳優として再び注目されている作品が、日曜劇場『ブラック・ペアン シーズン2』だ。

今作で彼が演じるのは、主人公・渡海征司郎(演:二宮和也)のライバルとなる冷徹な外科医・西崎啓介。前シーズンで天才的な腕と孤高の性格をもった渡海というキャラクターを創り上げた二宮と、実は旧知の仲である風間。この二人は、1999年頃からジャニーズJr.時代をともに過ごした“同期”として知られており、風間、二宮、そして生田斗真を合わせて“ジュニア黄金期の演技派三羽烏”と称されたこともある。

久々の共演となる風間と二宮だが、テレビ画面には決して年齢も芸歴も感じさせない緊張感がある。彼らの演技のぶつかり合いは、単なるエンタメ要素にとどまらず、日本のテレビドラマ界の新しいトレンドを牽引する瞬間でもある。

風間俊介はかつて、あるインタビューでこう語っている。

「一歩一歩、自分の実力で進んできたかった。だからグループデビューに固執はなかった。俳優として通用する現場に立ちたかったんです。」

その言葉通り、彼のキャリアには“地道な努力“と“変化への柔軟な適応”が内包されている。今では後輩たちにも慕われる存在。後輩俳優である中島健人や平野紫耀らが彼の演技を参考にし、時に助言を求めるというのも、彼が業界内で信頼されている証である。

また、家庭人としての側面も注目に値する。2013年、一般女性と結婚し、現在は一児の父。プライベートでは育児にも積極的に関わり、情報番組などでは「家族との時間が仕事のエネルギーになっている」と語るなど、温かな家庭人としての顔も垣間見える。

風間俊介の存在は、アイドルだから歌って踊ってキラキラしなければならない、という固定観念に一石を投じている。彼は不器用でも、ひとつひとつの役に真摯に向き合い、丁寧に積み上げていくことで、唯一無二の道を築いてきた。

今後、『ブラック・ペアン』という大舞台で風間俊介の演技がどんな“化学反応”を生み出すのか。彼の新たな一面を発見することになるだろう。

そしてこれからも、彼が歩む道は、歌も踊りも苦手でも、自分らしさを信じて試行錯誤を重ねてきたすべての人へのエールになっていくはずだ。