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薬丸裕英、40年越しの青春の約束を果たす──仲間との同窓会ライブに込めた奇跡と感謝

6月15日、東京・代々木第一体育館に大歓声が響いた。元シブがき隊のメンバーであり、現在も俳優やタレントとして活躍する薬丸裕英(やくまる・ひろひで/58歳)が、ついに40年越しの「公約」を実現したのだ。この日行われたのは、故郷・東京都江戸川区立小岩第二中学校(現・小岩第二中学校)で共に青春時代を過ごした友人と交わした約束──「将来、トップスターになったら一緒にライブに出よう」というものだった。

薬丸は、1980年代、アイドル黄金期と呼ばれる時代に一世を風靡した伝説のアイドルグループ「シブがき隊」の一員だった。グループは1981年にデビューし、代表曲「ZOKKON命」や「NAI・NAI 16」などで人気を博した。シブがき隊といえば、やんちゃなイメージ、エネルギッシュなパフォーマンスで圧倒的な支持を集め、現在も「元祖ヤンチャ系アイドル」として語り継がれている存在だ。グループ解散後、薬丸は俳優業、バラエティ番組の司会など多方面で活躍を続け、安定した人気を保ち続けてきた。

そんな薬丸が今回果たした約束の相手は、中学時代のバンド仲間たち。今回のイベントでは、彼らと共にバンド「Y2 Rock Party」を結成し、ライブを開催。バンド名の「Y2」は、薬丸の「や」と、相棒である「よし」の頭文字に由来している。また、「2」という数字は彼らの原点、小岩第二中学校を指している。

彼らは長年離れていたわけではなく、オンラインで連絡を取り合っていたこともあり、今回のイベントは特別な”同窓会ライブ”とも言える。薬丸自身も「40年間の時間が一気に縮まったような、初めて立ったステージとは思えない一体感だった」「彼らと一緒に音楽をやることが、こんなにも楽しいとは思わなかった」と涙ぐむ場面もあった。

ライブでは、シブがき隊時代のヒット曲を中心にパフォーマンスを披露。「ZOKKON命」「100%…SOかもね!」といった代表曲で観客を沸かせたほか、彼ら自身が青春時代に影響を受けたロックナンバーもカバー。全身を使って歌い、踊る薬丸の姿は、58歳とは思えないエネルギッシュさだった。会場には、当時からのファン世代だけでなく、その子供世代まで幅広い観客が押し寄せていた。

薬丸は現在、5人の子どもを持つ父親でもある。中でも俳優として活動している長男・薬丸翔(やくまる・しょう)や、元アイドルとして活動した長女・薬丸玲美(やくまる・れみ)など、子どもたちもエンターテインメントの道に進んでいることで知られる。薬丸自身、「家庭を守りながら、常に悔いのない選択をしてきた」と語っており、今回のライブもまた、家族にとって大きな誇りとなったに違いない。

薬丸の原点ともいえる「仲間との約束を守る」という真摯な姿勢は、彼が長年にわたって信頼を得ている理由の一つだ。シブがき隊時代から応援してきたファンたちも、こうした”人間・薬丸裕英”の真っ直ぐさに惹かれて応援し続けているのだろう。

また、このライブには特別な意味も込められていた。それは、「亡き友人たちへの想い」である。薬丸が語ったところによれば、中学時代のバンド仲間の中には故人となったメンバーもいたという。だからこそ「今ここに立てている奇跡に感謝したい」と語り、ステージの最後には空に向かって手を合わせるシーンも見られた。

現代日本では、SNSやデジタルツールの普及により、人は簡単に繋がれる一方で、リアルな人間関係が希薄になる傾向も指摘されている。そんな中で、「40年越しの約束を果たす」というこのエピソードは、多くの人々に「友情の大切さ」や「言葉の重み」を改めて思い出させるものとなったはずだ。

ライブ後、薬丸は報道陣の取材に応え、「今回限りじゃなく、これからも年に数回はみんなで集まって音を楽しみたい」と語った。その言葉には、表舞台を何度経験してきた彼だからこそにじみ出る”本音”があった。「人生は一瞬一瞬が奇跡の連続」ーー仲間と過ごした青春の日々を、そして今も続く絆を心から大切に生きている薬丸裕英。これからも、彼のひたむきな生き様は、多くの人に元気と勇気を与え続けるだろう。