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根拠ない「426地震説」なぜ拡散
近年、さまざまなデマや誤情報がインターネット上で急速に拡散され、多くの人々の不安を煽るケースが増えています。中でも、特に今回注目を集めたのが「426地震説」と呼ばれる根拠のない噂でした。この説は「2024年4月26日に首都圏で大地震が起こる」というもので、SNSを中心に多くの人々に共有されました。しかし、専門家は一貫して「科学的根拠は一切ない」と否定しており、それにも関わらず情報が広がった背景や影響について、今改めて考える必要があります。
■ 「426地震説」とは何だったのか？
「426地震説」とは、2024年4月26日に関東地方を中心に大地震が発生するという噂です。この情報はTwitter（現X）、TikTok、YouTube、そして匿名掲示板など、さまざまなSNSやオンラインコミュニティにおいて拡散され、多くの人々が耳にしました。
発端はごく一部のインターネット投稿だったとされ、特定の預言めいた発言や過去の大地震とのこじつけ、さらには惑星直列といった科学とは程遠い要素を組み合わせたものが「根拠」として示されたケースもありました。しかし、これらはいずれも科学的な裏付けや公式な地震予知とは全く関係がないものでした。
日本では、地震予知に関して「現在の技術では個別の地震発生日時を予測できない」というのが学術界の総意です。気象庁などの公式機関も、今回の流言飛語について早期に「信じないように」と注意を呼びかけましたが、それでも不安に駆られた人々の間で情報拡散は止まりませんでした。
■ なぜ根拠のない噂がここまで拡がったのか？
インターネット時代において、不確かな情報が急速に広がる背景にはいくつかの要因があります。
第一に、「不安」があります。日本は地震大国であり、東日本大震災や阪神・淡路大震災をはじめとする甚大な災害を経験してきました。地震に対する恐怖心や備えの意識が高いため、人々は「万が一」に備える心理が強く、「もしかして本当に起こるのでは？」という不安から情報を拡散してしまう傾向がみられます。
第二に、SNS特有の拡散力です。誰でも簡単に情報を発信・共有できる現在、個人が何気なく投稿した情報でも、タイミングや内容によっては多くの人にリーチし、拡散されてしまう可能性があります。特に不安を煽る情報は感情的な反応を引き起こしやすく、結果的に「いいね」や「シェア」が増え、更なる拡散に繋がるのです。
さらに、アルゴリズムの影響も無視できません。SNSの多くは、ユーザーの興味関心に合わせて情報を提示する仕組みを採用しています。そのため、一度地震関連の情報に触れると、類似の投稿が次々と目に入るようになり、「世の中の多くの人が同じ情報を気にしている」と錯覚してしまうことも要因とされています。
また、TikTokやYouTubeなどのショート動画プラットフォームでは、センセーショナルなタイトルや演出を取り入れることで視聴率を稼ごうとする投稿者も少なくありません。こうした投稿に触れることで、不安が増幅され、さらに拡散するという悪循環が生まれていたのです。
■ 「予言」や「兆候」とは無関係
今回拡散された「426地震説」の根拠として、一部では「直前に動物の異常行動が見られた」「特定の地震雲が観測された」といった未確認情報も添えられていました。しかし、科学的には動物の行動や雲の形状によって地震を予測することは現時点ではできないとされています。
たしかに、過去の現象と地震を無理に結びつけることはできますが、それは事後的な解釈にすぎません。冷静に考えれば、毎日世界中で雲は流れ、動物たちは様々な行動を取っています。それら一つひとつを地震と結びつけることに意味はないのです。
また、預言者を自称する人物が発信した情報や、「宇宙からのメッセージ」なども拡散されましたが、当然ながらこれらも科学的な根拠は一切ありません。地震という自然現象は、現代科学をもってしても、いまだ予知が極めて困難なものなのです。
■ 「正しい情報にアクセスする力」の重要性
今回の件を通じて改めて痛感するのは、「情報リテラシー」の重要性です。つまり、「どのような情報が信頼できるのか」を見極める力が求められているということです。
最も信頼できる情報源は、公的機関による発表や、専門家による意見です。たとえば、気象庁では地震情報や防災情報を公式に発表していますし、大学や研究機関も地震に関するリサーチを続けています。こうした情報にまずアクセスし、「噂話」や「SNSで見た気がする」というレベルの情報に振り回されないことが大切です。
また、「怪しい」と思った情報については、すぐにシェアしないことも大切です。安易な拡散が、無用な混乱や恐怖を広げてしまう可能性があるからです。誰かから送られてきたものでも、まずは立ち止まって考え、「その情報は本当なのか」「誰が言っているのか」「なぜ今、その情報が広がっているのか」を冷静に分析する習慣を持ちたいものです。
■ まとめ −「不安」につけこまれないために
災害はいつ起こるかわからないものです。しかし、だからといって根拠のない噂に振り回されることは、決して私たちを守ることには繋がりません。むしろ、誤った行動を引き起こし、多くの人に不利益をもたらすことすらあります。
大切なのは、「正しい怖れ方」をすることです。いざという時に備えて、日頃から防災グッズを準備したり、家族で避難経路を確認しておいたりすることは重要です。それと同時に、「フェイクニュースに流されない心構え」も防災の一環といえるでしょう。
今回の「426地震説」が示したのは、「不安」そして「情報の氾濫」がいかに私たちの日常に影響を与えるか、という点でした。今後も、正しい情報を見極め、冷静に行動できる力を、個々人が備えていく必要があります。
未来の災害リスクを減らすために、まずできること。それは今日から、情報の取り扱いに注意を払い、科学的事実に基づいた判断を心がけることです。時代が進むほどに情報は溢れていきますが、だからこそ、私たちは自分自身の「情報リテラシー」を高め、防災の一環として役立てるべきなのではないでしょうか。
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