近年、日本音楽界において新たな才能として注目を集め続けてきたバンド「King Gnu」のフロントマン、常田大希（つねた だいき）さんが、このたび自身のソロプロジェクト「millennium parade（ミレニアムパレード）」の新曲を発表し、同時にその活動にかける想いや今後の展望を語った。この記事では、常田大希という人物にフォーカスを当てながら、彼が歩んできた独自の音楽人生と、最新曲に込めた熱い想いについてご紹介する。
■ 凄まじい経歴を持つ異才・常田大希
常田大希さんは1992年生まれ、長野県伊那市出身。幼少期からクラシック音楽に親しみ、5歳でチェロを始めたという。中学生の頃には全国レベルの音楽コンクールでも勝ち上がるほどの実力を持ち、まさに「神童」と呼ぶにふさわしい存在だった。
高校卒業後は、東京藝術大学音楽学部器楽科（チェロ専攻）に進学。日本最高峰の音楽教育機関においてもその才能は群を抜いていた。しかし、その枠には収まりきらない独自の感性に導かれ、わずか1年で中退。クラシックという既成の枠組みを越えて、自らが思い描く音楽世界を創造すべく、独自の道を歩きはじめる。
その後2015年に結成されたのが「King Gnu（キングヌー）」だ。ジャンルレスな音楽性、多層的なサウンドメイク、そして鋭い社会性を持つリリックで瞬く間に頭角を現し、楽曲「白日」で一躍全国的なブレイクを果たした。
しかし、常田さんの才能はKing Gnuにとどまらない。彼がより個人的で実験的な音楽表現を追求する場として立ち上げたのが、もう一つのプロジェクト「millennium parade」だ。
■ 世界基準を見据えたプロジェクト「millennium parade」
millennium paradeは、常田さんがリーダーとなり、映像作家、デザイナー、プログラマーなど様々な才能を集めたクリエイティブ集団。日本の伝統文化に根ざしつつも、アニメーションと3DCGを駆使した圧倒的なビジュアル表現と、先鋭的な音楽スタイルで、いわば“日本発の世界標準”を目指すプロジェクトである。
2021年にリリースされたデビューアルバム『THE MILLENNIUM PARADE』では、国内外問わず高い評価を獲得。特に収録曲「Fly with me」はNetflixオリジナルアニメシリーズ『攻殻機動隊 SAC_2045』の主題歌に起用され、millennium paradeの名を世界中に知らしめた。
■ 最新曲に込めた決意と未来へのメッセージ
今回発表された新曲は、そんなmillennium paradeの更なる進化を示すものだ。常田さんはインタビューで「自分たちの音楽を、これまで以上に自由に、そして遠慮なく世界にぶつけていきたい」という覚悟を語っている。
最新曲では日本語と英語を自在に行き来するリリック、多彩な民族音楽の要素を吸収したリズムアンサンブル、そして人工知能によるリアルタイム作曲支援といった最新技術も導入。もはやジャンルという枠組みすら無意味に感じさせる、自由奔放な音楽世界を展開している。
常田さんは、「2020年代をポストジャンル時代と位置づけたい」とも語った。ジャンルや言語、国や文化といった違いにとらわれず、純粋に「かっこいい」と思えるものを創造し、それを世界中のリスナーと共有したい——そんな未来への強いメッセージが込められているようだ。
■ 不安定な時代に「自分だけの旗」を掲げる
世界が様々な課題を抱え、不確実性が高まるなかで、アーティストたちもまた「自分に何ができるのか」を問い続けなければならない時代に突入している。
常田さんは、「不確かな世界だからこそ、自分の旗だけはしっかり掲げたい」と語る。その旗とは、音楽であり、創造性であり、自由な表現の追求だ。
彼の音楽は、単なる娯楽ではない。聴く人に自己肯定感を与え、変化を恐れずに一歩踏み出す勇気を授ける。それは、芸術の本来的な力を思い出させるものだ。
また、millennium paradeの活動を通じて、常田さんは「日本から世界へ」というテーマも大事にしている。日本独特の美意識、歴史、文化を大切にしながら、それを現代的に昇華し、グローバルな舞台で勝負する。その姿勢は多くの若いアーティストたちにも大きな影響を与えている。
■ 常田大希が示す未来
常田大希というアーティストは、型破りでありながらも、非常に誠実だ。自分のルーツに正直でありながら、進化を恐れない。トレンドに迎合せず、自分の音楽を創り続ける。
最新曲に触れたリスナーからも、SNS上では「鳥肌が立った」「これが日本から生まれた音楽なのか」と驚嘆する声が相次いでいる。
今後、millennium paradeが世界ツアーを行う可能性についても示唆されており、常田大希という存在がますますグローバルに羽ばたいていくことは間違いないだろう。
常田さん自身が語るように、「僕らの旅はまだ始まったばかり」だ。その旅の行く先にはきっと、ジャンルも国境も超えた、真に自由な音楽の世界が広がっているだろう。
これからも、一音一音、その旅路を見守り、体感していきたい。常田大希とmillennium paradeが奏でる未来の音楽が、どんな景色を私たちに見せてくれるのか、本当に楽しみでならない。
