囲碁界に驚きのニュースが飛び込んできました。史上最年少の14歳で棋士になった仲邑菫三段が、女流タイトル戦「扇興杯」本戦で勝利し、史上最年少でのタイトル獲得に王手をかけたのです。彼女の目覚ましい活躍は多くの囲碁ファンを魅了し、また将棋界の藤井聡太八冠を彷彿とさせる存在感を放っています。今回は、仲邑菫三段の経歴や背景を交えながら、彼女がどのような道のりを歩み、今どのような挑戦に挑んでいるのかを詳しく紹介していきます。
—未来のスター、仲邑菫三段—
仲邑菫（なかむら すみれ）三段は、2009年3月2日生まれ、大阪府出身です。囲碁一家に生まれ育ち、父・仲邑信也九段も現役のプロ棋士。囲碁と共に歩む環境に恵まれた彼女は、幼少期からその才能を見出され、驚異的なスピードで成長していきました。特に注目されたのは、2019年のプロ入りです。わずか10歳で日本棋院の特別採用試験に合格し、史上最年少でプロ棋士の仲間入りを果たしました。この時のニュースは、日本国内だけでなく、海外メディアにも取り上げられ、「囲碁界のスーパー少女」として一躍有名になりました。
仲邑三段は、プロ入り後も順調に実力を伸ばしてきました。初勝利を飾ったのは、プロデビューからわずか1か月後のこと。以来、年齢を重ねるごとに着実に棋力を上げ、現在はすでに三段に昇格しています。囲碁界において、三段まで昇ること自体が容易ではなく、それを十代前半で達成する彼女の実力は、まさに驚異的です。
—「扇興杯」での快進撃—
今、彼女が挑んでいるのは「扇興杯 女流最強戦」です。この大会は日本の女流棋戦の中でも特に権威が高く、女流棋士たちの頂点を競う場とされています。今年の扇興杯では、仲邑三段が本戦に進出し、強豪棋士たちを次々に撃破しました。特に注目されたのは、準決勝での井澤秋乃四段との対局です。井澤四段はベテランの実力派であり、経験豊富な棋士ですが、仲邑三段は最後まで冷静な指し回しを見せ、見事勝利を収めました。
この勝利により、仲邑三段は決勝進出を果たし、タイトル獲得に王手をかけています。実現すれば、史上最年少での女流タイトル獲得という快挙になります。この記録は、これまで藤沢里菜女流三冠（当時）の14歳10か月を更新するものとなり、「新時代の幕開け」とも言える歴史的な瞬間になるでしょう。
—家族の支えと、国際経験—
仲邑三段の成長を語るうえで欠かせないのが、家族の支えです。父・仲邑信也九段は、彼女の師匠的存在として若い才能を磨き続けてきました。また彼女は、よりレベルの高い囲碁環境を求め、小学校入学前から韓国に囲碁留学を果たしています。韓国は世界最強クラスの囲碁棋士を多く輩出してきた国であり、プロ棋士になるための競争も非常に激しいことで知られています。この韓国留学で培った経験が、仲邑三段独特の、緻密で大胆な打ち回しに結びついています。
さらに彼女は国際棋戦でも積極的に経験を積んでおり、国内だけではなく世界の舞台でも戦えるポテンシャルを見せています。これからの彼女のキャリアを考えると、国内タイトルだけでなく、世界タイトルに挑戦する未来も遠くないかもしれません。
—若き才能たちの切磋琢磨—
囲碁界においても、若手棋士たちの台頭が目覚ましい時代となっています。同年代では、外柳是聞二段をはじめ、次世代のスター候補が次々に育ってきています。彼らとの切磋琢磨が、仲邑三段をさらに強くしていくことでしょう。藤井聡太八冠が将棋界に革命をもたらしたように、仲邑三段が囲碁界の常識を次々と塗り替えていく可能性は十分にあります。
—今後の展望—
仲邑三段の今後の最大の関心事は、もちろん「扇興杯」のタイトル挑戦です。決勝の相手は実力者の藤沢里菜女流本因坊。現在、女流棋界のトップに君臨する藤沢女流本因坊は、仲邑三段にとって高い壁となります。しかし、これまで幾多の強敵を乗り越えてきた彼女ならば、大舞台でもひるむことなく、自分の碁を貫いてくることでしょう。
仮に今回タイトル獲得を逃したとしても、それは彼女にとって貴重な経験になるに違いありません。囲碁界は長い年月をかけて牙城を築いていく世界です。若くして頂点を目指す彼女の挑戦は、多くの人々に夢と希望、そして新たな刺激を与えるでしょう。
—最後に—
仲邑菫三段という才能は、囲碁界に新しい風を吹き込んでいます。彼女がこれからどのような歩みを見せ、どんな時代を築いていくのか。今後も彼女の一手一手から目が離せません。タイトル奪取へ向け、14歳の挑戦は続きます。多くの囲碁ファンが、そして初めて囲碁に興味を持った人たちも、新たなスターの誕生を心待ちにしています。
