子どもに「はい論破」と言われたら?親として知っておきたい対処法
最近、インターネットやSNSの影響で、「はい論破」という言葉を使う子どもたちが増えてきています。親が子どもに注意や教えをしようとしたとき、「はい論破」と返されてしまうと、戸惑いやイライラを感じる方も多いのではないでしょうか。
今回は、そんなときに親がどのように対処すればよいのか、専門家のアドバイスをもとに詳しくご紹介します。子どもとのコミュニケーションをより良いものにするために、ぜひ参考にしてみてください。
■ 「はい論破」とはどんな言葉なのか?
「はい論破」という言葉は、もともと議論に勝った際に相手を言い負かしたことを強調する、ネットスラングとして広まりました。相手の主張を反論し、自分の優位性をアピールする意図が込められています。
最近では、これが子どもたちの間にも広がり、親や先生に対しても「はい論破」と使うケースが見受けられるようになりました。この背景には、YouTubeやTikTokといったインターネット媒体で影響力を持つインフルエンサーたちが、冗談交じりにこの言葉を使っていることも挙げられます。
■ なぜ子どもは「はい論破」と言うのか?
子どもが「はい論破」と言う理由はいくつか考えられます。一つは、単純に言葉遊びとして使っている場合。難しい議論をしているわけではなく、「言い返せた」という達成感を得るために使っていることもあります。
また、反抗期に入った子どもであれば、親の支配から自立しようとする気持ちの表れであることも。親の指示に従うだけではなく、自分自身の意見を持ちたい、自分の存在を尊重してほしいという願いが隠されている場合もあります。
このように、「はい論破」という言葉に込められた子どもの真意は一様ではないため、親としてはまず、表面的な言葉だけで判断せず、背景にある気持ちや状況を考えながら対応することが大切です。
■ まずは冷静になることが大事
子どもに「はい論破」と言われたとき、多くの親御さんは「こんな口の利き方は許せない」と感情的になってしまいがちです。しかし、感情で返してしまえば、子どもとの溝は深まる一方です。
重要なのは、ぐっとこらえて冷静さを保つこと。「また子どもが反抗しているな」と俯瞰して受け止めることで、親自身がその後の適切な対応を取りやすくなります。
その場で無理に言い負かそうとするのではなく、「この子は今、何を伝えたがっているのだろう?」という視点で子どもと向き合うことが、長期的には健全な親子関係の形成に繋がります。
■ 「論破」ではなく「対話」を心がける
「はい論破」と言う子どもに対して、大人が同じように勝ち負けで応じてしまうと、親子は敵対関係になりかねません。そうならないためにも、重要なのは「論破」ではなく「対話」を意識することです。
たとえば子どもが何か意見してきたときには、まずはその意見に対して耳を傾けましょう。そして、「なるほど、あなたはそう考えたんだね」と共感を示してから、自分の考えを伝えます。
このとき、「でも」「しかし」から話を始めると、子どもは否定されたと感じやすくなります。できるだけ、「それも一理あるね」「一緒に考えよう」といった前向きな言葉を使うと、子どもも心を開きやすくなります。
■ 一方で、ルールはしっかり伝える
対話を心掛けることは大切ですが、すべてにおいて子どもの言い分を受け入れるべき、というわけではありません。家庭には家庭のルールがあり、それを守るべき理由については、しっかりと説明する必要があります。
たとえば、夜遅くまでゲームをしている子どもに対して、「健康のために夜はしっかり寝る必要がある」と説明し、納得させることが大切です。単に「ダメだからダメ」と突き放すのではなく、「なぜそのルールが必要なのか」をセットで伝えるようにしましょう。
納得感をもってルールを受け入れられれば、子どもも反発心を持つことなく、規律を守れるようになります。
■ 親も「負け」を恐れない姿勢が大事
親の中には、「子どもに言い負かされるのは親として恥ずかしい」と感じる方も少なくないでしょう。しかし、親だって完璧ではありません。ときには子どもの指摘が的を射ていることもあるでしょうし、それを認めることは決して恥ではありません。
むしろ、「間違いを素直に認める」親の姿勢を見せることは、子どもにとって大きな教育効果を生みます。「間違っても大丈夫」「正しいことを受け入れることはかっこいいことなんだ」と、自然に学べるからです。
子どもとのコミュニケーションにおいて、勝ち負けにこだわるのではなく、「どうすればお互いにより良い関係を築けるか」を重視することが大切だといえるでしょう。
■ 子どもの成長を喜びに変えよう
そもそも、親に論理的に反論しようとする子どもの姿は、成長の証でもあります。幼いころは何もわからず親に従っていた子どもが、自分の考えを持ち、それを言葉にできるようになるのは、大きな進歩です。
もちろん、言い方や態度については改善の余地があるかもしれません。しかしその根底にある「自分で考える力」「自己主張する力」は、これからの時代を生き抜くために欠かせない力でもあります。
だからこそ、子どもが「はい論破」と言ってきたときも、「また成長してるんだな」と温かい目で見守る気持ちを持つことが大切です。
■ まとめ
子どもに「はい論破」と言われたら、つい焦ったり、カッとなったりしてしまうものです。しかし、それは子どもの健全な成長の一環かもしれません。親としては、感情的にならず、冷静に受け止め、対話を通じて子どもとの関係を深めていくことが大切です。
– 冷静に対応する
– 子どもの意見を受け止める
– 家庭のルールを論理的に説明する
– 親も間違いを認める姿勢を見せる
– 子どもの成長を前向きに捉える
これらを意識することで、子どもとの信頼関係を強め、より豊かな親子関係を築いていくことができるでしょう。「はい論破」という一言に隠された子どもの成長の芽を、ぜひ大切に育んでいきたいですね。