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阿部慎之助監督の素顔と父の愛情──息子・大夢さんとの絆に感動の声広がる

2024年6月25日、父であり巨人軍監督である阿部慎之助氏の“親心”がにじむコメントに注目が集まっている。この日、東京ドームで実施された巨人対DeNA戦で、試合後のインタビューに阿部氏の息子、阿部大夢(ひろむ)さんがテレビ番組『人生が変わる1分間の深イイ話』(日本テレビ系)に出演し、その素顔が明かされた。強豪校で野球に打ち込む17歳の高校生が描く将来の夢、父との関係。そして、名門・巨人軍の将来を託された新世代の監督である阿部慎之助氏の新たな一面を見る内容に、多くの視聴者の心が温まった。

阿部慎之助――巨人軍を象徴する名捕手として、その名は野球ファンならずとも一度は耳にしたことがあるはずだ。1979年生まれ、千葉県出身。1999年のドラフト1位で中央大学から読売ジャイアンツに入団。卓越した打撃センスとキャッチャーとしての頭脳的な配球で、球界を代表する存在となった。プロ通算406本塁打、打点は1,285に及ぶ。また、打撃タイトルやベストナインに数度選出され、2012年にはキャプテンとしてチームを日本一に導く原動力となった。重責が課されるキャッチャーというポジションと、主将という立場を両立させながら結果を出し続けた姿勢は、多くの若手選手の手本とされている。

そんな阿部氏が2024年より満を持して巨人の監督に就任し、再建を期す名門に新風を吹き込んでいる。かつての豪快なスイングや勝負強さとは異なる、冷静で戦略家としての顔を見せる現在の阿部監督。就任当初は重圧と期待の中で「勝てるチーム」への舵取りを始め、若手育成とベテランとの融合に腐心している。

その阿部監督が公の場で語る家族、特に息子に関するエピソードは多くない。そんな中、『深イイ話』では、息子・大夢さんが野球に情熱を注ぎながら、父に対して時折“距離”を感じる姿が描写された。番組内で語られたのは、父の偉大さと自身の将来との間に揺れる思春期の少年の等身大の気持ちだった。特に印象的だったのは「すごすぎて比べられるのがプレッシャーだけど、野球は好きだから頑張りたい」という、大夢さんの言葉だ。

大夢さんは強豪・成立学園高校の野球部に所属。成立学園は東京都内でも有名な進学校でありながら、近年は野球部の実力も評価されており、毎年甲子園を目指して熱戦を繰り広げている。そんな環境で捕手として腕を磨く彼にとって、父と同じポジションに立つという事実は、挑戦であり、やはり葛藤もあるのだろう。

一方で、この放送後の囲み取材で阿部監督は、「(大夢には)野球を好きなだけやってほしい。結果なんてどうでもいい」と話した。この言葉には、父としての飾らない愛情と、かつて自身がプレッシャーと戦いながらプロの世界の厳しさを知っているからこその“優しさ”がにじむ。「何よりも頑張ることが大事」と付け加えたこの発言に、ネット上では「本当にいいお父さん」「あの阿部監督がこんなやわらかい表情を見せるなんて」といった、称賛と感動の声があふれた。

野球一家に生まれた少年が、名前の重みと向き合いながらも、「好きなことを貫く姿」に多くの視聴者が共感したのは、まさに“自分の人生を築くために努力する姿”がそこにあったからだろう。

今回の放送は、単に「有名選手の息子」という枠組みを超えた、家族の絆や、自らの人生を切り開く若者の物語だった。そして、それを見守る父・阿部監督の等身大の姿は、名将の顔ともまた異なる“人間・阿部慎之助”の姿を世に伝える貴重な機会になったと言える。

これまでも数多くのプロ野球選手が親子二世代でグラウンドに立つ道のりを選んできたが、その在り方やペースは人それぞれだ。阿部大夢さんがプロの道を選ぶかどうかはまだわからない。しかし、父のように一歩ずつ、努力を重ねて高みを目指す姿勢は、多くの人に勇気と感動を与えるに違いない。

阿部慎之助という時代の申し子。そのDNAを受け継ぎながらも「自分の野球」を探す大夢さんの未来に、既に多くの目が注がれている。そして、誰よりも隣で支え、背中を押す父・慎之助氏の存在がここにある限り、その物語はまだ始まったばかりだ。