デヴィ夫人が設立した政党「オネスト」解散を発表 ー 短期間での挑戦に幕
2024年6月、芸能界や社会活動で長年にわたり幅広く活躍してきたデヴィ・スカルノ（通称：デヴィ夫人）氏が、自ら掲げた政治への挑戦に一区切りをつけました。2024年4月に自ら立ち上げた政治団体「オネスト」の解散を、自身の公式SNSを通じて公表したのです。
「オネスト」という名前には、「正直であること、誠実であること」という意味が込められており、「真に日本の未来を憂い、国のために本気で働く人を支えたい」との思いから設立されたと言われています。そんな理念のもと、新たな政党として多様な社会問題に取り組む姿勢を見せていたこの団体。しかし、設立からわずか2カ月あまりという短い期間での解散発表は、多くの人々に驚きと関心をもたらしています。
本記事では、「オネスト」設立の背景、活動の概要、そしてなぜ解散という結論に至ったのかという経緯を振り返りながら、デヴィ夫人の政治的チャレンジの意味を改めて考えてみます。
政治参加への強い想いから生まれた「オネスト」
「オネスト」は、元内閣総理大臣・岸信介氏を敬愛し、保守的な思想を支持する立場を表明してきたデヴィ夫人が、長年にわたって日本社会への問題意識を蓄積してきた中で誕生しました。設立会見では、自らの理念として「現代の政治に足りないのは本音と誠実さ。口先だけの政治ではなく、実行力と信念を大切にする政治家を後押ししたい」と語り、多くの注目を集めました。
特に、少子高齢化、教育、男女平等、国際社会における日本の立ち位置の強化など、多岐にわたる政策テーマを掲げ、「未来の日本のために声を上げる人を集めたい」という強い意志を示していました。政治団体という形をとったのは、既成の政党とは違う独自の視点と柔軟な発想で、国民の目線に立った政策提言を行っていきたいという考えからでした。
また、立ち上げ当初から、参議院選挙や地方選挙への出馬を目指すのではないかという憶測も流れていましたが、実際には選挙対策ではなく“国民と対話するための場”として活動する意向を示していた点も、興味深い特徴のひとつでした。
目指したのは「政治をもっと身近に」
デヴィ夫人は、芸能人でありながらも長く社会貢献活動や国際的なボランティア活動などに熱心に取り組んできた人物として知られています。そのため、「オネスト」の設立には、彼女なりの社会への恩返し、次世代への責任といった意味も込められていたと考えられます。
SNSでの発信力もあるデヴィ夫人は、若い世代や政治に関心が薄い層にも情報を届けることができる存在であり、そうした影響力を政治の場にも活かすことが期待されていました。「政治に縁遠い人々が関心をもつきっかけになれば」との思いで、新しいスタイルの政治対話を模索していた様子が見て取れます。
短期間での解散、その背景は
しかし、設立からわずか2カ月での解散という結論には、多くの人が驚きを隠せませんでした。解散の理由について、デヴィ夫人自身は「信念を持って取り組んできたが、時間や体力の限界、そして政治活動に対する理解とのギャップもあった」と説明しています。
本格的な政治活動には、多くの人員、資金、運営ノウハウが必要であり、また政治団体として広く支持を拡大していくには相当の準備と時間が求められます。それらを短期間で整えるのは非常に難易度が高く、特に一人のリーダーシップに依存している場合は、その負担も大きくなります。デヴィ夫人自身も80代という年齢を迎えており、「これから残りの人生は、より直接的に人を助ける活動に専念したい」とまとめています。
このように、最後まで前向きな姿勢を貫いた形での解散となりました。たった2カ月の活動期間で終わったとはいえ、その問題提起や意義は小さくないといえるでしょう。
「挑戦」するその姿が、次へのきっかけになる
政治という分野は、多くの人にとって縁遠い存在であり、その仕組みや実態はなかなかわかりにくいものです。しかし、デヴィ夫人のように、著名人が自ら立ち上がり、一石を投じることで、こうした話題が広く注目を集めるきっかけになることには意義があります。
「1人ひとりが声を上げることの大切さ」「立場を超えて意見を発信する勇気」—— これは、政党の存続の有無以上に、現代社会に求められる価値であるように思われます。設立から解散までの短い歩みの中で、デヴィ夫人が訴えてきた「誠実な政治」や「民意と向き合う姿勢」は、今後の社会・政治のあり方を見つめ直すうえでのヒントになるかもしれません。
また、特定の立場や思想を押しつけるのではなく、あくまでも国民目線で「何が必要とされているのか」を考えたこの取り組みは、そのシンプルなメッセージ「オネスト＝正直」に集約されていたのではないでしょうか。
政治や社会問題に対して「どうせ自分とは無関係」という疎外感ではなく、「もっと話して、考えて、提案していいんだ」と思える空気が広がること——デヴィ夫人のこの一歩は、そうした方向へのきっかけとなったのかもしれません。
今後もデヴィ夫人は、国際的な支援活動などを中心に精力的に活動していく意向を表明しています。表舞台に立ち続けてきたからこそできることを信じて、その経験と熱意を新たな形で社会に還元していくのでしょう。
まとめ
短期間での設立と解散ではありましたが、「政治に本気で関わってみたい」「自分の思いをカタチにしたい」という率直な思いが結実した「オネスト」プロジェクト。それは、日本社会においても依然として難しい“個人の政治参加”というテーマに、希望と問いを投げかけました。
私たちがこの出来事から学べること、それは「誰もが政治に関われる」「声を上げる権利がある」という事実の再認識です。たとえ一歩が小さくとも、その小さな一歩が社会に波紋を広げることもあるのです。
デヴィ夫人の挑戦は終わりましたが、その行動が残したもの——それは、私たち一人ひとりが社会をより良くするために、どのように意思を表現していくべきかを考える貴重なきっかけとなるのではないでしょうか。
