2024年の政治において、大きな注目を集めているテーマの一つが「物価高騰への対応策」です。中でも、食料品の価格上昇は多くの家庭にとって日々の暮らしに直結する問題であり、政治家や政党はこの課題にどのように向き合うのかが問われています。こうした中、立憲民主党が発表した新たな公約として、「食料品の消費税をゼロにする」という政策が話題となっています。
この政策は家計を直撃する物価高に対して、具体的な支援を行う狙いから提案されたものであり、特に低所得世帯をはじめとした庶民の暮らしを守ろうという意図が込められています。今回は、立憲民主党がこのような公約を掲げた背景や、その実現可能性、さらには私たちの生活に与える影響について、わかりやすく解説していきたいと思います。
経済の現状と「食料品の消費税ゼロ」政策の狙い
まず、現在の経済状況を見てみましょう。円安や世界的な原材料価格の高騰、輸送費の増加といった要因が重なり、国内でも食料品を中心とした生活必需品の価格が上昇しています。2023年から2024年にかけて、多くの家庭で「スーパーでの買い物にかかる費用が増えた」と実感する声が増えました。
そうした中、「物価高対策」を政治の場でも急務とする声が多く挙がっており、各政党がさまざまな施策を検討しています。その中で立憲民主党が今回打ち出した「食料品の消費税ゼロ」という政策は、消費税という間接税の仕組みそのものに踏み込み、家計への直接的な支援を目指すという点で、特に注目を集めています。
消費税は、所得に関係なく一律に課される税であるため、所得の少ない人にとっては負担感がより大きくなりがちです。そうした背景から、食料品の税率をゼロにすることで、特に低所得世帯や子育て世帯、高齢者世帯などの家計負担をより軽減する効果が期待されます。
「ゼロ税率」とは何か？軽減税率との違い
今回の立憲民主党の政策で重要となるのが、「ゼロ税率」という用語です。現在、日本では食料品について「軽減税率」が適用されています。これは、本来の消費税率10％に対して、特定の生活必需品（食品や新聞など）には8％の軽減税率を適用するという仕組みです。
しかし「ゼロ税率」とはその名の通り、特定の品目に対する消費税を「課税はするが税率を0％にする」ものです。これは軽減税率とは別の制度で、ヨーロッパの一部の国々では実際に導入されています。課税されている体裁を取りつつ、消費者の支払う税負担を完全になくすのが特徴です。
立憲民主党は、この制度を食料品に適用することで、「多くの人々が恩恵を受け、かつ行政側の制度運用としても透明性を保てる」と考えているようです。
政策実現への課題と対応策
もっとも、消費税収は国の財政にとって重要な収入源の一つです。特に高齢化社会が進む中、社会保障費の増大に対応するためには一定の税収が必要とされています。食料品の消費税をゼロにすることで、これらの財源が不足するのではないかという懸念の声もあります。
立憲民主党は、例えば「法人税の見直し」や「高所得者への課税強化」などによって、財源確保を図るとしています。他にも政府の歳出の見直しや、税の使い方の透明化によって国民の納得を得ることが重要とされており、単なる「減税」として終わらせない工夫が求められます。
また、制度の実務的な運用についても課題があります。例えば、「食料品」の定義をどうするのか（外食は含まれるのか、加工食品の範囲はどこまでか）、店舗での対応やレジシステムの変更費用など、細かな制度設計と現場レベルでの調整が重要になってきます。
国民にとってのメリットは？
一方で、もしこの政策が実現すれば、私たちの暮らしにはどのような変化が訪れるのでしょうか。やはり最大のメリットは、日常的に購入する食品の価格が抑えられることです。単純な計算として、毎月の食費が5万円の家庭であれば、消費税ゼロにより約4,000円の支出減が見込まれます。年間では48,000円の節約になり、これは家計にとって非常に大きな差となります。
また、食料品の価格が安定することは消費の活性化にもつながる可能性があり、スーパーや小売店、農業経営者などにも良い影響を与えることが期待されます。消費が安定することで、景気全体の底支えにもつながるかもしれません。
他国の事例と比較して
ヨーロッパを中心に、消費税（または付加価値税）をゼロにしている国や、さらに広範囲に軽減している国々も存在します。たとえばイギリスでは、一部の基礎的な食料品や医薬品に対してゼロ税率が導入されています。これらの例を参考にすることで、日本でも制度を円滑に設計・導入するヒントが得られるかもしれません。
また、税の使い道が明確に示され、その他の部分で公平な課税が行われることで、国民の理解や納得感も得やすくなると言えるでしょう。
おわりに：生活に根ざした政治のあり方を考える
今回、立憲民主党が掲げた「食料品の消費税ゼロ」という公約は、目新しさだけでなく、現実に苦しむ多くの人々の暮らしに向き合おうという姿勢の表れでもあります。もちろん、その実現には多くの課題がありますが、物価上昇という緊急性のある課題に対し、具体的かつ実行可能性のある提案が求められていることは確かです。
日々の生活に直結する政策であるからこそ、国民一人ひとりがこうした政策について関心を持ち、どのように日本の未来を形作っていくかを考えることが大切です。政治とは、私たちの暮らしを支える根幹。その判断材料となる政策の一つひとつに、これからも注目していきたいところです。
