春から夏への移り変わりを感じるこの季節、多くの飲食チェーンが一足早く「夏の味覚」を届ける準備を進めています。2024年4月、全国展開する大手チェーン各社が、例年よりも早い時期に夏季限定の新メニューを発表し、話題を呼んでいます。今年の傾向として、さっぱりとした味わいや冷たいメニューが充実しており、「暑さ対策」と「季節感」の両立がキーワードとなっています。
本記事では、「大手チェーン 4月に夏メニュー」というテーマに沿って、2024年4月に発表された主要チェーンの夏メニュー各種を紹介するとともに、その背景にある消費者ニーズの変化や企業の取り組みについて掘り下げていきます。
早期の夏メニュー投入の背景
例年、夏メニューの開始は5月下旬から6月にかけて行われることが多い中、2024年は4月から始動するチェーンが増加しています。その背景には、気候の変動に伴う気温の上昇があります。過去数年、初夏にあたる5月や6月でも30℃を超える真夏日の出現が増加傾向にあり、それに備える形で飲食業界が早めの対応を強いられているのです。
加えて、コロナ禍以降、健康志向や“冷やし系”メニューへの需要が増していることも一因と考えられます。消費者が疲れを感じやすい暑い時期には、さっぱりと食べられる冷麺やサラダ、冷製スープ、フルーツドリンクなどの需要が高まりを見せており、そのニーズに応える形での展開といえるでしょう。
ファミリーレストラン大手の工夫と戦略
すかいらーくグループが展開する「ガスト」では、4月から「冷やし担々麺」や「夏野菜とチキンのサラダボウル」が登場。辛味と酸味が程よく、食欲をそそる味付けで暑さに疲れた身体にちょうどよいさっぱりしたメニューとして注目を集めています。また、甘酸っぱいフルーツを使ったデザートも新たに追加され、家族連れの客層から高評価を得ています。
同グループの「バーミヤン」でも、例年好評の「冷やし中華」がパワーアップ。今年は香味野菜をふんだんに使い、より涼やかで風味豊かな一品に仕上げているとのこと。薬味のユズやショウガなどがトッピングされ、見た目にも涼しげな演出が施されています。
カフェ・ファーストフード系でも個性が光る
スターバックスコーヒーでは、新作フラペチーノ「瀬戸内レモンフラペチーノ」が、早くもSNSや口コミで話題になっています。甘さ控えめで爽やかなレモンの香りが暑さを吹き飛ばすような感覚を与えてくれます。さらに、低脂肪ミルクや豆乳など各種カスタマイズにも対応しており、ヘルシー嗜好のユーザーからも支持を集めています。
また、マクドナルドは今年、「冷製チキンマフィン」と銘打った朝食限定メニューをリリース。マフィンに挟まれた冷たくほぐしたチキンとシャキシャキのサラダが特徴で、朝から重すぎず、さっぱりとした食事を望むユーザーにフィットしています。
コンビニエンスストアも夏仕様にシフト
コンビニ各社も夏に備えた商品ラインアップを拡充させています。セブン-イレブンでは「冷やし中華シリーズ」に新たなバリエーションが登場し、ゆず胡椒を効かせた「ゆず香る冷やし塩ラーメン」など、バラエティ豊かな冷やし麺が支持を広げています。
ローソンでも「冷やし寿司ロール」や「具だくさん冷製スープ」などが紹介され、見た目の涼しさ、美味しさ、食べ応えを1つにまとめた商品が増えています。オフィス層やテレワークの合間にさっと食べられる点が人気の理由です。
ファミリーマートも「夏素材のサラダチキン」や、マンゴーやスイカなどのフルーツを生かしたスイーツ類を投入。特に「マンゴープリンパフェ」はSNS映えのする見た目から若年層を中心にヒットしています。
消費者の反応と企業の今後の展望
このような「夏先取りメニュー」への反応はおおむね好評で、「暑くなる前にさっぱりしたものを食べたい」「冷たいメニューが早く欲しかった」といった声が多く見られます。なにより、春から初夏への季節の変化を食を通じて感じられる点に共感が集まり、食事への楽しみが広がっているのです。
企業側もこの流れをチャンスと受け止め、期間限定メニューながら顧客獲得とロイヤリティ向上を狙ってさまざまな施策を展開しています。アプリ経由のクーポン配布や、SNSとの連動キャンペーンなど、デジタルを活用したプロモーションもますます強化されている傾向です。
おわりに 〜食卓から感じる日本の四季〜
食事は、季節の移ろいを感じる大切な要素のひとつです。特に気温や湿度の影響が大きい日本においては、冷たいメニューやさっぱりした味が恋しくなる季節の変わり目に、それに応じた料理が登場することは大きな喜びとなります。
大手チェーン各社が先駆けて夏のメニューを提案することで、私たちの毎日の食事がより豊かなものになります。4月という新生活が始まるタイミングに、気分までリフレッシュさせてくれるようなメニューの数々。味わいと共に感じる季節の息吹――それこそが「食の力」なのかもしれません。
今年も暑くなりそうな日本の夏。その一歩手前で、夏を先取りしたメニューを楽しみながら、これからの季節をゆっくりと迎えていきましょう。