2024年6月6日、衝撃的なニュースが日本中を駆け巡った。人気お笑いコンビ「ナインティナイン」の岡村隆史(おかむら たかし)さん(54)が、腰の手術のため入院し、一定期間休養することが明らかになったのだ。岡村さんがパーソナリティを務める深夜ラジオ番組『オールナイトニッポン』(ニッポン放送)は、岡村さんの体調を最優先し、しばらく休演とした。これによって番組の放送は特別編や代役によって対応される予定だという。
岡村隆史さんといえば、長年にわたってお茶の間の笑いを支えてきた存在である。「ナイナイ」の愛称で多くのファンに親しまれているコンビ「ナインティナイン」は、お笑い界でもトップクラスの知名度と人気を誇り、岡村さんと相方の矢部浩之(やべ ひろゆき)さんのコンビネーションはテレビ、ラジオに欠かせない存在となっている。
岡村隆史さんは1970年、大阪府に生まれた。身長は小柄ながら、抜群の運動神経とキレのあるツッコミで注目を集め、1990年に矢部浩之さんとともに「ナインティナイン」を結成。2人は吉本総合芸能学院(NSC)の9期生として数々の伝説を築いてきた。1990年代半ば『ぐるぐるナインティナイン』や『めちゃ×2イケてるッ!』でブレイクを果たし、若者から中高年層まで幅広い世代に親しまれてきた。
中でも『めちゃイケ』は岡村さんのコント、リアクション芸、人間性が色濃く反映された番組であり、彼の存在が番組の屋台骨とも言われていた。時にはリーダー的な役割を果たし、時には後輩芸人の“いじり”に回るという、芸人的なバランスが非常に高く評価されていた。
一方で、岡村さんは以前にも体調を崩したことがある。2010年には突発的な体調不良で芸能活動を一時休止し、精神的なケアを受けていた過去がある。この経験から岡村さん自身が心身の健康を重要視し、自らを律しながら芸能生活を続けている。今回の腰の手術も、「大事を取っての手術・休養」とされており、本人が自らの健康を正しく判断して行動に移した結果とも言える。
ラジオ番組『オールナイトニッポン』においては、1994年からおよそ30年近く、岡村さん、そして矢部さんとともにパーソナリティを務めてきた。特に2020年の春からは一時期矢部さんが再登板するなど、さまざまな形でリスナーとの関係を深めてきた。中でも岡村さんの率直なトークや身の回りの出来事をユーモア交えて語る語り口は、ファンの間でも“癖になる”と定評がある。
岡村さんの近年は、テレビだけでなく、YouTubeや配信番組など、新たなメディアにも積極的に取り組む様子がうかがえる。『旅猿』などのロケバラエティでは飄々とした雰囲気を漂わせながらも、現地の人々ときちんとコミュニケーションをとり、「真面目で礼儀正しい人柄」が垣間見えると評判を呼んでいる。芸歴30年を超えても進化し続ける姿は、多くの若手芸人にも刺激を与えている。
今回の入院によって一定期間の休養が必要になるものの、彼の復帰を待ち望む声は多い。SNS上では「岡村さん、無理せずゆっくり治してください」「ナイナイのラジオがないと寂しいけど、まずは体が大事!」というコメントが相次いで寄せられている。所属事務所である吉本興業は、岡村さんの回復を最優先に考え、今後の仕事は医師と本人の判断を踏まえて慎重に調整していくという。
岡村さんにとって、ラジオというのはただのおしゃべりの場ではなく、リスナーとの“つながり”を感じることができる大切な時間なのだろう。彼の言葉には、笑いに込められた人間味があり、何気ない一言にリスナーの心を打つ力がある。そんな岡村さんだからこそ、多くのファンや同業者からも心からの「お大事に」という声が寄せられているのだ。
また、相方の矢部浩之さんは、今回の入院報道後もしっかりとナイナイの名前と信頼感を守るべく、各番組で温かいフォローを続けているという。矢部さん自身もテレビや音楽活動で幅広く活躍しており、コンビとしての調和と信頼は今もなお堅固である。
芸人として一線を走り続けてきた岡村隆史さん。時代がどれほど移ろおうとも、彼の笑いは変わらない。真摯さと職人技が融合した稀有な芸人として、これからも心と身体を大切にしながら、出来るだけ長く私たちの前で活躍し続けてほしいと願わずにはいられない。
今はまず、手術が無事に終わり、しっかりとリハビリを行い、再びあの元気な笑顔で帰ってくるその日を、多くのファンが心から待ちわびている。